ゲルマニウラジ用アクティブ・アンテナをご紹介します。近頃はゲルマニウムラジオや鉱石ラジオを製作する機会が多くなりました。自宅は電波環境が悪く、かなりしっかりした鉱石ラジオ用のアンテナとアースが必要です。ラシオを製作するたびにアンテナとアースを用意するのが面倒なので、テスト用アクティブ・アンテナを製作してみました。
上の構成により電波の弱い地域でもゲルマニウムラジオが聞けるようにしたいと思います。 この構成は真空管時代の古典ラジオの高周波増幅+検波器の回路構成と同じ発想かもしれません。ゲルマニウムラジオのリード線の先に仮想的な「強電界の空」をつないだ事になります。今回の製作はゲルマニウムラジオ用の「強電界の空」の再現です。
今回は手元にあるループアンテナ(TECSUN AN-200)を使います。AN-200は場所を取らずどこでも持ち運べます。しかし自宅ではTECSUN AN-200だけでは電波が弱くゲルマニウムラジオや鉱石ラジオで受信することが出来ませんでした。
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| アンテナブースター基板 |
送られて来たブースターキットはビニール袋に上の写真の部品が入っているだけです。説明書はありません。販売ページのプリント基板の部品配置の写真を参考に組みたてます。
| カードケースに収めたブースター基板 |
組み立てたプリント基板はカードケースに入れて、ループアンテナ入力にはミニジャック、ゲルマニウムラジオのアンテナへの出力にはRCA端子を付加しました。元々あるループアンテナ接続用ネジはそのまま残しておきます。
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| アンテナブースター基板 結線図 |
| アンテナ、ブースター、ラジオを結線した様子 |
ゲルマニウムラジオには電子ブロックSRを使用し、電波強度の確認用に50μAの電流計を追加してあります。結線はAN-200とアンテナブースターをピンジャックで接続し、アンテナブースターの出力をゲルマニウムラジオのアンテナとアースにワニグチクリップで接続します。この構成ではアースを接続しないと受信できませんでした。
アンテナブースターのボリュームは最大にします。AN-200にはポリバリコンが内蔵されておりループアンテナにアンテナチューナーの機能も搭載されています。AN-200のツマミを左いっぱいでAM放送の下限、右いっぱいでAM放送の上限と想定して、受信したい放送局のおおよその位置にツマミを調整しておきます。最後にゲルマニウムラジオで放送局を受信します。受信できたらAN-200とラジオの双方で最大の音量になるように調整すれば終了です。
受信音量が最大のとき、電流計を見ると上の写真では2μA(前回の測定では12μA)と読むことができます。平均して2~5μAです。期待していた程大きな電流ではありませんした。しかし弱電界地域ですが立派に受信できていることがわかります。ただし、電流計の数値が最大でもアンテナブースターでは雑音も同時に増幅されるのでラジオ放送の音が大きな時に読み取ります。電流計の振れ幅はゲルマニウムラジオの抵抗値もしくはブースターのボリュームを変更することで増減させることができるので、お住まいの電波強度に合わせて変更してください。
ループアンテナ用ブースターとAN-200の組合せによる簡単な工作です。弱電界地域でのゲルマニウムラジオ・テスト用アンテナとして十分な性能です。弱電界地域でゲルマニウムラジオや鉱石ラジオ、鉱石検波器などの工作を断念せざるを得なかった方には特にお勧めかと思います。 今回製作したループアンテナ用ブースターとAN-200は「強電界の空」の再現です。ゲルマニウムラジオに「強電界の空」をつなげてラジオを楽しんで頂けたら幸いです。
2026.1.12 電子ブロックSR:1石アンテナブースター
ゲルマニウムラジオに電子ブロックSRをつかいました。折角なので電子ブロックSRで1石アンテナブースターを作成しました。
| トランジスター:2SA353 |
手元にある電子ブロックSRのトランジスタには2SA353が使われています。ラジオの初段に使う高周波用です。この2SA353を1石アンテナブースターに利用します。
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| 1石アンテナブースター回路図 |
上の図が1石アンテナブースターの簡単な回路図です。
| 電子ブロックによる1石アンテナブースター |
上の写真は電子ブロックSRによる1石アンテナブースターを組み立て様子です。ブロック部品間の配線が短くなるようにブロックを密に組み合わせています。
| アンテナ、ブースター、ラジオ間を配線 |
| ブースターとラジオ間はリード線1本 |
左は1石アンテナブースター、右はゲルマニウムラジオの順に並べてあります。1石アンテナブースターとゲルマニウムラジオ間はブースターの0.01μFからリード線1本でラジオのアンテナにそっと接続しています。 今回作成したブースターは基板タイプよりゲインはとれませんが十分に役割を果たしてくれます。アンテナブースター基板よりQが改善しました。音量が低くなるため電流計は取り外しています。古い電子ブロックSRですがいまだ現役で活躍してくれます。電子ブロックをお持ちの方はアンテナブースターを作成できますのでチャレンジしてみてください。
2026.1.17 ゲルマニウムラジオ・アンテナ用インピーダンス変換プラグの製作
アンテナブースター基板を使ってのモヤモヤ感が晴れません。アンテナブースター基板の出力インピーダンスは50Ω。方やゲルマニウムラジオの同調回路の入力インピーダンスは数kΩ~数十kΩです。インピーダンス不整合でも無理やりゲルマニウムラジオを鳴らしているように感じます。アンテナブースター50Ωとゲルマニウムラジオ数十kΩのインピーダンス整合をするため変換プラグを作成してみました。
| 75Ω:300Ωインピーダンス変換プラグ |
| 分解した変換プラグのフェライトコアの様子 |
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| 75Ω:300Ω変換プラグの回路図 |
上の図は市販のインピーダンス変換プラグの回路図です。巻線比1:2で75Ω:300Ωに変換しています。この300Ω側のコイルを巻きなおしてインピーダンス変換プラグを作成します。
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| 50Ω:20kΩ変換プラグの回路図 |
ゲルマニウムラジオ側のインピーダンスは、Z=50×(20/1)²=50×400=20kΩ、巻線比1:20とします。ゲルマニウムラジオ・アンテナ用インピーダンス変換プラグ(マッチングトランス)は50Ω:20kΩ、巻線比1:20で作成することにしました。
| 50Ω:20kΩ、巻線比1:20の完成した様子 |
フェライトコアには2つの穴があり、それぞれ20回エナメル線を巻き付けます。上の写真では0.06mmのエナメル線を使って作成しています。高インピーダンスレシーバー用の0.06mm極細を代用したので、もう少し太い線でも作成は可能です。
| 完成した変換プラグと使用した0.06mm極細線 |
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| インピーダンス変換プラグを入れた結線図 |
| フースター基板に変換アダプターを接続 |
簡単な事前チェックでは感度は上がっていることが確認できました。
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| 構成別動作確認一覧 |
① アンテナブースター基板:ゲルマニウムラジオは鳴りましたが音量は小(小さすぎるほどではありません)、電流は2~5μA、ラジオのQは低いです。ブースター基板とゲルマニウムラジオ間のアースを接続しないとラジオが鳴りませんでした。ブースター基板の出力インピーダンスが50Ωと低いことが原因かと思います。
② 1石アンテナブースター:1石ブースターとゲルマニウムラジオ間のアースを接続しないほうが感度が良いです。音量は小、電流は2μA、ラジオのQは中程度になります。
③ アンテナブースター基板+インピダンス変換アダプター:インピーダンス変換アダプターとゲルマニウムラジオ間の「アースあり」「アースなし」の2つのパターンを確認しています。
・アースあり:音量は大、電流値は10~20μA、ラジオのQは中程度です。
・アースなし:音量は大(今回の一番の音量)、電流値は20~30μA、ラジオのQは中程度です。
以上が構成別の試験結果です。ノイズに関しては音量と比例して増減しているため優劣ありませんでした。アンテナブースター基板はインピーダンス整合(変換アダプタ)も一緒に製作したほうが良いとの結果です。意外にも1石アンテナブースターの出力インピーダンスは数kΩあるためラジオのQが良かったみたいです。
ゲルマニウムラジオの同調回路とのインピーダンス整合がラジオの受信性能に大きな影響を与えることを如実に表す結果となりました。測定した本人が一番驚いています。 今回は仮想的な「強電界の空」の再現がテーマでしたが、ゲルマニウムラジオの奥深さを改めて知る機会となりました。
部品の入手先







