2024/01/01

エレキット TU-870R 真空管アンプ

エレキット TU-870R 真空管アンプの紹介です。2008年発売の真空管アンプ・キット23,800円(税抜き)の製品です。現在は販売終了となっています。無垢のアルミのボリュームツマミと前面アルミパネル、大型のインシュレータ、黒い梨地のボディーにより高級な雰囲気を持ったアンプです。

真空管にはRussia製6BM8シングル(5極管接続)が実装されていました。

入力は2系統ありセレクタで切替できます。出力は2.0W+2.0Wですが十分な音量で聴かせてくれます。

Lchにノイズが乗っているので底板を外して内部を覗いてみます。プリント基板に実装するタイプのアンプです。回路はオリジナルのままで改造はされていないようです。特に部品が劣化したり焼けたような形跡はみられません。電源部の電解コンデンサーは100μF×1,47μF×2です。100μF×1を増設できる余地が残されていますが、個人的には真空管の劣化を早めるので増設はしたくありません。突入電流が大きくなり現状の値が限界かと思います。

電源を入れてみます。0.4Aですぐに安定して変動もありません。各電圧を確認しますが、ほぼ回路図の数値で異常は見られません。真空管を左右入れ替えてもLchからノイズが出ています。

C1:0.1μF,C3:0.022μF、C7:220μFを試しに交換しますがノイズが消えません。コンデンサーなどの故障ではなさそうです。ボリュームを触っただけでLchからのノイズが変化することに気づきました。ボリュームの故障かもしれません。テスターで実装したままのボリュームの抵抗を測定してみます。Lchの抵抗値が変動して安定しません。ボリュームの故障ではなくハンダ付け不良です。一見、正常にハンダされているように見えます。周囲のハンダを見るとお団子状で光沢もありません。一度ハンダを吸い取り、再度ハンダ付けしました。ボリュームの抵抗値の変動もなくなりノイズは完全に消えました。最後にプリント基板全体を再度ハンダし直して修理は終了です。

ヒヤリングしてみます。2.0W+2.0Wとは思えいない十分な音量です。一聴してS/Nが良い静寂性に優れたアンプです。中高音を繊細でクリアな音で聴かせてくれます。低音は出ていますが中高音寄りのバランスです。元気の良いデジタル音源を聴くのに向いているアンプです。出力段が5極管接続なので3結にすれば、音色は一変して面白いかもしれません。改善余地がある真空管アンプなので色々楽しめそうです。

TU-870Rの6BM8のオレンジ色の優しい光りが魅力的です。小型で低価格ですが音は本格的なアンプです。入門的な位置づけの製品ですが真空管の魅力を十分に堪能できる製品かと思います。