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2026/04/13

Topping DX3proのTCXO化(ジッタ低減による音質向上)

Topping DX3pro

前回は、Topping DX3pro 推奨値とは異なる実装の改善により音質向上を実施しました。今回は、Topping DX3proのマスタークロックをTCXOへ置き換え、ジッタ低減による音質改善を試みます。参考:TCXOとは、Temperature Compensated Crystal Oscillatorの略で、日本語では温度補償型水晶発振器と呼ばれています。

改造の方針 

Topping DX3proのプリント基板

Topping DX3proのプリント基板を眺めて音質が改善できないか思案していました。写真の右側の電解コンデンサやフィルムコンデンサは前回の改善です。

今回の改造は以下のとおりです。

・不要Bluetoothモジュールの取り外し 

クロックの高精度化(TCXO化) 

Bluetoothモジュールの取り外し

Bluetoothのモジュール

使っていないBluetoothモジュールの取り外しです。不要なノイズ源をなくすことと、TCXOの電源として利用します。

QRコードを剥がしたBluetoothモジュール

モジュールに貼ってあるQRコードのシールをはがすと型番がわかります。BluetoothモジュールにはCSR8675CGが使われていました。

クロックの高精度化(TCXO) 

3つのXOモジュール
 
44.1k系と48k系のXOモジュール

プリント基板をよく見ると、2.5mm×2mm(2520パッケージ)のXOモジュールが3個ありました。45.1584MHzと49.152MHzはオーディオ信号処理・DAC の時間軸(44.1k 系/48k 系)です。もう一つの24MHzは通信・制御まわり(USB/BT/MCU)に使用されています。ジッタを低減するために、44.1k 系/48k 系のXOモジュールを高精度のTCXOに交換します。24MHzは音質への影響が小さそうなので今回は対象外としました。参考:XOとは、X'tal(crystal) Oscillatorの略で、日本語で水晶発振器と呼ばれています。

TCXOの製品選定 

購入したTCXOモジュール

一般にTCXOは周波数精度(ppm)の向上が注目されますが、音質に影響するのはむしろ短期的な時間揺らぎであるジッタです。TCXOは温度補償により長期安定性を向上させるだけでなく、発振回路の品質が高い製品では位相雑音(フェーズノイズ)が低く、結果としてジッタ低減が期待できます。

以下の製品を選定しました。

・製造:Shenzhen Hongchip Micro Technology Co.,Ltd

・周波数:45.1584MHz/49.152MHz 

・電源:3.3V

・精度:0.5ppm

・パッケージ:7050(7mm×5mm)

・消費電流:MAX10mA

・他:CCHD-575シリーズとの互換あり

電源の検討

今回のTCXOは3.3V MAX10mAの電源を必要とします。今回はXOモジュールの電源を利用せずにBluetoothモジュール用の電源20〜40mAを利用します。Bluetoothモジュール用の電源はデジタル処理系から分離された専用電源のため、クロック用電源として流用することでノイズ混入の低減が期待できます。

実装作業 

プリント基板の取り出し 

プリント基板の取り出し

前回と同様にTopping DX3proの本体からプリント基板を取り出します。

モジュールの取り外し 

XOモジュールとBluetoothモジュールの取り外し

プリント基板から、44.1k 系/48k 系のXOモジュールとBluetoothモジュールを取り外します。

TCXOの実装方法

2520パッケージと7050パッケージ
取り外したXO(2520パッケージ)と交換するTCXO(7050パッケージ)では、形状に互換がないため、そのままでは基板に実装できません。

手持ちの変換基板を利用しました。今回の変換基板ははんだがやり難く、はんだの状態が確認できないなどのデメリットがあります。専用変換基板があればそちらを推奨します。

TCXOのピンアサイン 

TCXOのピンアサイン

TCXOのピンアサインとXOのピンアサインは同じなので、同じピン番号をそのまま接続しても動作します。

TCXO基板の実装(真上)

TCXO基板の実装(横)

配線の手順

・基板の固定:Bluetoothモジュールの跡はプリント配線がないので穴あけしてTCXO基板をプラスチックのスペーサで固定します。

・VCC(赤):BluetoothモジュールのCSR8675CGの43番端子PWR(BT3.3V電源)跡と接続します。  

・GND(青):プリント基板のDGNDと接続します。

・OUT(黄):44.1k 系/48k 系のXOモジュールの3番端子にそれぞれ接続します。 

 ・電源デカップリング:TCXOのVCC(4番)とGND(2番)の間に、10μFチップコンデンサと0.022μFセラミックコンデンサを追加します。

VC端子(1番):未使用のためGNDへ接続しています(データシート準拠)。

以上でTCXO基板の配線は終了です。

動作確認 

44.1kHzPCMで起動した様子
Topping DX3proをPCに接続して再起動します。表示画面には44.1kHzPCMと表示されて正常に起動したことがわかります。また、フル・デジタル・チューナーからのCOX入力により表示画面には48kHzと表示され正常に動作していることを確認できました。

ヒヤリング

TCXO化による音質の変化は明確に感じられます。外気の新鮮な空気を味わうような、澄みきった空気感が印象的です。

第一印象は音の奥行が深くなっています。音と音の間の静寂性が増し背景がより静かになっています。余分な音が抑えられ、雑味のないクリアな音へと変化しています。音の粒子は非常に細かく、空間全体に自然に広がる印象です。余韻が美しい。

これはジッタ低減により時間軸の揺らぎが抑えられ、微小信号の再現性が向上したためと考えられます。 

まとめ

今回のTCXO化により、クロックの時間軸安定性が向上し、静寂性や空間表現の改善といった音質向上が確認できました。

特に、音の奥行きや余韻の表現に変化が見られ、クロックの品質が音質に与える影響の大きさを改めて実感しました。

今後は位相雑音特性の異なるTCXOの比較や、電源のさらなる低ノイズ化についても検討していきたいと思います。

前回の改造ブログ「 Topping DX3Pro(推奨値とは異なる実装の改善)」も参考にしてください。

免責事項

表面実装部品(特に2520パッケージのXO)の取り外しはパターン剥離のリスクが高い作業です。「改造は自己責任でお願いいたします」。 



2025/01/18

Topping DX3Pro(推奨値とは異なる実装の改善)

Topping DX3Pro

Topping DX3Proは2018年発売の少々古いUSB DACの紹介です。今回はToppingDX3proユーザーさん向けに書いたブログです。本記事は製品レビューや音質評価を目的としたものではなく、DX3Proの実装を観察しデータシート上の推奨条件との違いがどのように現れているかを確認した技術的メモです。本機の性能はすでに測定限界に近く、手持ちの測定環境では有意な差を示せないため数値測定は行っていません。本稿は測定値の優劣ではなく、実装とその考え方を記録することを目的としています。

現在は、Topping DX3Proにはエーワイのアナログ電源と自作したデータ専用USBケーブルを使っています。この2つの対策でも十分に満足のいく音がでています。今回のTopping DX3Proのコンデンサ交換の紹介については海外フォーラムの事例を参考にしています。海外フォーラムの事例からはデジタル機器に対する暗黙の示唆を感じます。DX3proは本機はスペック上の性能を維持したまま、コストおよび実装面積の最適化が図られています。しかし、その最適化が聴感上の余裕や時間軸方向の安定性まで担保しているかについては検証の余地があると感じます。本機でもD/Aコンバータ周辺を含め、必ずしもチップメーカーの推奨値通りとは言えない実装が見受けられます。今回は、そうした点に着目して実装状態の確認と推奨値どおりの部品交換により音の変化を確認します。※注:ここで言う「推奨値」とは、ICメーカーのデータシートに記載された標準的・代表的な使用条件であり、必ずしも製品設計で厳守されるべき数値ではありません。

Topping DX3Pro:Amazonへのリンク

背面パネルの取り外し

早速、Topping DX3Proを分解してみます。最初に背面パネルを取り外します。アンテナのナットも取り外します。

工具による前面パネルの取り外し 

次にTopping DX3Proの前面パネルと本体ケースを連結する左右2つの六角穴付きボルトを外す必要があります。特殊な工具(軸長が16cm以上ある2mm六角ドライバー)を差し込み取り外します。私は”BONDHUS(ボンダス) 六角ループ・T-ハンドル ロング 2mm [全長:249mm 軸長:229mm ハンドル長さ:70mm]  No.46552”が安いのでAmazonで購入しました。

BONDHUS(ボンダス) 六角ループ・T-ハンドル ロング 2mm:Amazonへのリンク

プリント基板を取り出した分解写真

プリント基板

上の写真が分解した様子と取り出したプリント基板です。

DX3proV4.1:バージョンが記載

Topping DX3proのプリント基板には、DX3proV4.1とバージョンが記載されています。海外ではV2バージョンと呼ばれる製品です。

OPA1612A

RCA出力のオペアンプにはOPA1612Aが実装されています。

AK4493S周辺の実装

AK4493Sアナログ出力とOPアンプ入力の間は電解コンデンサが採用されています。

ヘッドホン用オペアンプ:TPA6120A
ヘッドホン用オペアンプはTPA6120Aです。V1バージョンのOPA2140の方が音が良いと人気のようです。

次に部品交換する箇所について説明します。

D/Aコンバータ AK4493Sの回路

上の図はD/Aコンバータ AK4493Sのdatasheetからの抜粋です。AK4493Sアナログ出力とOPアンプ入力の間には100μF×4(赤丸印)のコンデンサ容量が推奨されています。AK4493Sの出力段のカップリングコンデンサを推奨値に増やすことで、低域のカットオフ周波数が下がり、位相特性や低音の厚みが改善される可能性があります。

推奨値とは異なる電解コンデンサ

実際のプリント基板を見ると推奨値とは異なる47μFのニチコンFG電解コンデンサです。

D/Aコンバータ AK4493Sの回路 

次に、これもD/Aコンバータ AK4493Sのdatasheetからの抜粋です。アナログ電源1.8Vに10μF×1、アナログ電源5.0Vに10μF×2、基準電圧5.0Vに470μF×2のコンデンサ容量が推奨されています。この実装もメーカー推奨値ではありませんでした。基準電圧(VREF)周辺の容量不足を補うことは、DACの変換精度やノイズ耐性に直結するため、音の「時間軸方向の安定性(ジッター感の低減)」や「見通しの良さ」に寄与します。

これらの推奨値とは異なる部品はコストダウンの痕跡またはサイズダウンなどによるものと推測します。

交換対象の電解コンデンサ

交換対象のチップコンデンサ

実際には、アナログ電源1.8Vに10μF×1、アナログ電源5.0Vに10μF×2、基準電圧5.0Vに100μF×2が実装されています。

対象箇所と推奨値と実装値、変更値

上の表に実装とメーカー推奨値を表にまとめてみました。アナログ出力のコンデンサは47μFと小さく推奨値どおりの100μF(6.3V)へ変更します。アナログ電源は推奨値と実装が同じですが、100μF(6.3V)に容量を増やして改善します。基準電圧5.0Vには470μFと大容量が推奨されていることから、かなり重要な基準電圧のようです。実装では100μFと1/4以下の小さな容量です。手持ちの部品から一番容量の大きな220μF(10V)へ変更します。最初にD/Aコンバータ AK4493Sの電源部強化の実施です。

交換用チップコンデンサ

上の写真が交換部品のチップコンデンサです。一番上が100μF(6.3V)、下2段が220μF(10V)です。

チップコンデンサを交換した様子

交換対象のチップコンデンサを取り外します。ホットピンセットがあれば作業は楽なのですが2本のはんだゴテで取り外します。チップコンデンサの両端に少しハンダを追加すればハンダが溶けて簡単に取り外せます。次に上の写真のように全てのチップコンデンサを取り付けて完成です。チップコンデンサ交換後の動作は良好です。電源部強化までで一度ヒヤリングしてみます。交換前のTopping DX3Proは少し高域よりのバランスです。チップコンデンサ交換により全体的に音の重心が下がり深みのある音質に変化しました。高域はややキラキラした印象でしたがシルクタッチできめ細やかな音に変わります。たったこれだけのチップコンデンサ交換で音に大きな影響があることに驚きます。

交換対象の電解コンデンサ

残りはAK4493Sアナログ出力とOPアンプ入力の間のカップリング用電解コンデンサ47μFを100μFに置き換えです。ニチコンMUSE ESへの置き換えが評価された例が多くあり、帯域と透明感の改善を期待して47μFのFGから100μFのMUSE ESに置き換えてみました。ただし、ケースに接触しないように隅の2個はやむなく横に寝せて実装します。

交換後のMUSE ES・電解コンデンサ

次はカップリング・コンデンサ交換後は1日以上のエージングが必要です。最初のころは音に霞がかかりぼんやりした不明瞭な音がします。エージングが終了したらヒヤリングです。いままでより透明感があり豊かで深みのある音です。ほんの少しベールのように薄い膜が1枚あるような音でエッジが取れて少し丸なって聴こえます。この音の傾向が長所か欠点かは個人の好みの世界です。どちらにしても音のグレードは向上します。Topping DX3proは高音がきれいで抜けのいい音がしますが低音がやや薄く不満でした。低域を補強することにはじゃうぶんに出来たようです。これらの変化は、本機・本個体を自分の使用環境で聴いた限りでの印象であり、他の製品や条件で同様の結果が得られるとは限りませんのご注意ください。

Topping DX3ProのD/Aコンバーター周辺部品をメーカー推奨値に変更する試みは海外フォーラムを参考にしています。 今回は取り組み易く根拠があり納得できるものに限定しました。海外フォーラムではOPアンプを交換する筋金入りのマニアも多く、大いに盛り上がっています。性能や測定したデータに基づき議論するフォーラムなどもあります。中国製のオーディオ機器は安価で高性能なので利用者が多く、フォーラムが盛況な理由かもしれません。今回は日本語圏のサイトでは事例が少ないのでご紹介しました。作業は楽しかったですが参考になりましたでしょうか。ただし、改造は自己責任でお願い致します。

本記事はDX3Proをそのまま使うことを否定するものではなく、実装という観点から既製品を眺め直した一例として記録したものです。メーカーのスペックはノイズと正弦波を破綻なく出力できる最低限度の再現性を示しているだけと考えています。また、スペックは製品の性能保証で音質を保証するものではありません。今回のようなコンデンサ交換が影響するような領域は、波形として直接観測できるものではなく、せいぜいノイズの影響差を観測できるかどうかだと思います。そのため、測定データがなにもかかわず部品交換により音質差があるという主観に基づいた評価としました。

2025.2.15  エージング

Topping DX3Proを使いこんだことで、バランスもよく豊かで奥行きのある音ができるようになりました。前回、ほんの少しベールのように薄い膜が1枚ありましたがエージングでその影響もなくなったように聴こえます。

2025.12.3  ツマミのチャタリング

Topping DX3Proのツマミはプラスチックで貧弱です。感触も良くありません。最悪なのはボリュームを調整するたびに回転させた最後に数値が後戻りします。

ツマミをアルミ製に交換
 アルミ無垢のツマミに交換するとボリュームの動作が安定します。完璧な動作ではありませんが回転した最後のボリューム数値の戻りは減少します。アルミのツマミの重さで最後の1クリックを確実に回転させることができます。アルミ無垢の重さのあるツマミへの交換をお勧めします。

2026.2.18  微細信号(音の粒子)への対策

スピーカーのネットワーク回路にCCLDを採用したことから、USB DACに微細信号への対策をしました。AK4493Sアナログ出力は、MUSE ES 100μFに交換したことで中低音の厚みと繊細な音が出せるようになっていますが、まだ音の粒子への対策は不十分かと思います。
粒子の再生が苦手な電解コンデンサをフィルムコンデンサに変えたいのですが、フィルムコンデンサは大きく物理的に実装するのは無理です。そのため、100μF電解コンデンサに並列で0.1μF/500Vのポリプロピレン・フィルムコンデンサを使用します。CCLDでは微細信号の初期条件が重要であり、誘電体の安定性が高い 高耐圧ポリプロピレン・フィルムコンデンサ(0.1µF/500V)が特に有効でした。
プリント基板の裏側に0.1μF×6個を実装
プリント基板の上面に0.1μF×2個を実装
上の写真の様に、USB DACのプリント基板とケース間は5mmと狭く取り付けが難しいです。計8個の0.1μFを実装しました。 
 
0.1µFを並列に実装したUSB DACのヒヤリングです。
高音のザラつきはなくなり滑らかな音質、低域も締まって弾む感じです。粒子は全体にいっきに広がっています。全体に明るくなりつやが出ています。
予想を超えるの音質への影響です。スピーカーからでる音の粒子の広がりは素晴らしいです。CCLDの効果がより一層引き立ちます。スピーカーがCCLDで進化したので、USB DACも進化する必要があったみたいです。
ニアスピーカーに変えてヒヤリングをします。粒子が大きく広がり、ニアスピーカーとは思えません。何を聞いても広がった粒子を聴くことが出来ます。

今の願いは、ただひとつです。こんな危険な改造をしなくてもすむように、アナログ出力のボトルネックが根本から改善された製品が、一日でも早く世に出ることを願っています。


前提条件(USB DACの利用環境)

USB DACは以下の前提条件下で動作させます。この条件は微細信号(音の粒子)の再生に大きな影響を与えます。

①USBケーブル

USBケーブルの両端で電源線を切断してあるUSBデータ専用ケーブルを使用しています。

②アナログ電源

USB DACの電源にはエーワイ電子のアナログ電源装置を使用しています。 

③メディアプレーヤー

メディアプレーヤーはJPLAY FEMTOとAudirvana Origin(またはUpplay)をDLNAコントロールポイントとしてKS(Kernel Streaming)で動作させています。

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2024/11/02

ライントランスの試作(古い測定器のトランスを再利用)

製作したライントランス

古い測定器のトランスを再利用して試作したライントランスの紹介です。近頃、ライントランスが話題になることが多くなりました。デジタル・オーディオが普及した影響でしょうか。

国のVol.107 2023 WINTER

管球王国のVol.107 2023 WINTERでは「ライントランス ヴィンテージ/現行15種の聴き比べ」でライントランスの記事が掲載されています。

無線と実験2021年10月号

もう一冊は無線と実験2021年10月号の「特集:ライントランスの研究 ライントランス12種類の試聴」にライントランスの記事が掲載されています。

これらの雑誌をを読み返していたらライントランスが欲しくなります。今回はUSB DACとアンプの間にライントランスを入れることを目指して製作します。我が家のプアPCオーディオはそれなりの音質だと思いますが音の粒子のつぶつぶ感が気になりだしました。これがデジタル臭さでしょうか。ライントランスで音に滑らかさと艶が出せないかと期待しています。

安藤電気製 トランスT-22426

ゼネラルトランス販売のトランス購入を検討していましたが、上の写真のジャンク・トランスを購入しました。測定器から取り外したトランスです。トランスを取り外した測定器は安藤電気(株)DRZ-2号M直読インピーダンス測定器です。取り外したトランスは安藤電気製T-22426(1969年10月製造)0.2kHz~100kHz、600Ω:600Ω:60Ωと説明書には記述されています。ライントランスは流す電流が少ないので小型のものでも良いですが、音質を重視するとある程度の大きさは必要です。価格面と大きさおよび測定器の特徴である高い精度とフラットな周波数特性もった高価なトランスへの期待から古い測定器から取り外したトランスを選定しました。かなり大型のトランス(約300g×2個)なので音に余裕がありそうな気がします。測定器用のトランスは素性の良さからライントランスの名機として大化けするかもしれません。

トランスの巻線比とインピーダンス

このトランスは仕様が不明です。インピーダンスが600Ω:60Ω:60Ω、0.2~100kHzとしかわかりません。1,2番端子から信号レベルを入力して測定したところ上の図の巻線比とインピーダンスだとわかりました。巻線比1:1ぐらいで製作したかったのですが、このトランスでは600Ω:180Ωで製作することにします。巻線比は1:0.55なのでレベルもやや低い程度で気にならない範囲かと思います。管球王国のヒヤリング環境では一次側:600Ω、二次側:180Ωです。はからずも似通ったインピーダンスで製作することになりました。

トランスを実装した様子

RCA端子の右横のスペースは、将来的にセレクターを設ける予定です。一次との二次のアースは切り離してグランドループを防止します。ライントランスの機能には音質改善だけでなくノイズ対策用アイソレータとしての役割も持たせました。全ての機器が正しくアースできていれば不要とは思いますが、せっかくトランスを使用するので完全にグランドループを切断してみました。

2026.1.7 ライントランスの周波数特性を測定

 ライントランスの周波数特性を測定する事前作業として回路および入出力の損失計算をしました。

測定回路と入出力損失の計算
不慣れですが今回は上の図のように計算しました。ファンクションジェネレータの内部インピーダンス50Ωとトランスの一次側インピーダンス600Ωにより①20log10(1Vrms×600÷50+600= +5.32dB。トランスの一次側600Ωと二次側180Ωからトランスの損失は20log10(1Vrms×180÷600180))= -12.74dB。ファンクッションジェネレーター出力0dB(1Vrms)で出力するとトランスの二次側では③+5.32-12.74-7.43dBと出力されます。測定にあたりダミー抵抗は680Ω、1kΩ、3.3kΩ、10kΩで周波数帯域は20Hz~150kHz(ダミー抵抗毎に40ポイントを測定)のとかなり広域で測定しました。 
周波数特性グラフ

上の周波数特性グラフを見ると20Hz~150kHzで±1dB以内に収まっています。ほぼフラットと言っても良い想像を超えたすばらしい特性です。今回の測定ではファンクションジェネレータの出力を簡易的に3Vppに設定しています。その関係で事前に計算していた0dB⇒-7.43dBが0.5dB⇒6.93dBと少しレベルが高くなっています。周波数特性グラフの数値もやや高めになっています。また、ファンクションジェネレータの内部インピーダンス50Ωは手持ちのUSB DACの内部インピーダンス100Ωと差が小さく実際の環境に近い測定となったかと思います。

以上が2026.1.7追加で測定した周波数特性についての報告です。

製作したライントランスの試聴

今回はUSB DACとアンプの間にライントランスを入れてヒヤリングします。ライントランスを通してもノイズはなく良好です。ヒヤリングでは一聴して粗さがとれた滑らかで優しい音に変化します。音全体が静かになった印象です。大人しく聴こえますが、よく聴くと高域はしっかり伸びています。低域はあきらかに量感が増え音全体の重心が下がって聴こえるようになります。低域が今まで以上に心地よく押し寄せるようです。だぶつく様な聴こえ方ではなく締まった低音で地鳴りの様な音も感じられる気持ちが良い音です。音に滑らかさと艶を期待していましたが、低音の量感が増して気持ちがいい音がするという予想外の結果が得られました。トランスが大型なので低域の質が良かったのかもしれません。

製作したライントランスの前面パネル

雑誌やネットの音質評価を参考にしましたが、実際に聞くと音のイメージがかなり変わります。ライントランスはアナログ的な音質に変えるエフェクターです。音質はトランスの性能に依存するのでどうしても高価になります。元の音源が高音質でないとライントランスでエッジのとれたつまらない音になるリスクもあります。トランスの音と言われても通常わかりません。事前に音質を確認できないので導入には躊躇します。ライントランスは価格と音質のリターンなどの導入リスクの板挟みで悩ましいです。成功すれば ライントランスにより今までと違った音の世界を見せてくれます。

2024.11.6

ライントランスのコア(11番端子)のアース接続を忘れたので配線しました。

2026.1.6

測定器から取り外したトランスを使用してライントランスとして試作した記録です。今日まで実機として利用していますが市販製品に負けない音質です。ハイエンドのオーディオ志向とは異なりますが、手持ちの機材で試したい方の参考になれば幸いです。

2026.1.7

文脈てに読みやすように文中に周波数特性の資料を追加しました。 

2023/10/08

データ専用USBケーブル(外部電源付)

自作したデータ専用USBケーブルの紹介です。以前よりPCオーディオで使うデータ専用USBケーブルで音質改善をやりたいと思っていました。データ専用USBケーブルは株式会社エーワイさんのオリジナル発案品(公証人役場で認証済み)です。1本3500円で販売していますが普及が容易いよう実用新案、特許等はあえて取得しないそうです。”他社様が同じ仕様のケーブルを製造販売されることは自由です”とホームページで明記しています。オーディオ・ファンには大変ありがたい会社さんです。ELSOUND(エルサウンド)という個性的なオーディオ製品も開発・販売しています。

 
上の図は通常のUSBケーブルの配線図です。PC側:Aタイプ、DAC(Topping D3)側:Bタイプで接続することを想定しています。

製作するデータ専用USBケーブルの配線図です。1番端子のVCC(電源)ケーブルを配線しないUSBケーブルを作成します。金メッキのUSBコネクタとオヤイデ電気の切売りUSBケーブルを使います。詳しい製作の仕方はオヤイデ電気のホームページに掲載されています。

オヤイデ店舗オリジナルのUSBケーブル20.-28/26(自作用切り売りケーブル)ブラックと金メッキのUSBプラグ(Aタイプ、Bタイプ)です。

上の写真は製作したデータ専用USBケーブルです。

データ専用USBケーブルをテストしますが、まさかの失敗です。あれこれ調べ、Topping D3を外部電源で使用している時は、USB端子にVCC電源と-Data+Dataが同時に流れていないとUSB-DACの入力セレクタが動作しないようです。Topping D3はデータ専用USBケーブルが使えない機器です。

上の写真はデータ専用USBケーブル用の2種類の外部電源(左側は単三×4、右側はACアダプター)です。

段々、沼にハマっていきます。Topping D3でデータ専用USBケーブルを使いDACが動作するようにケーブルを改造します。Topping D3のUSB端子にPC給電ではなく、別の外部電源をつなぐことが出来る特殊なUSBケーブルを作成します。外部電源の候補は電池およびACアダプターです。昔使っていたオーロラサウンドのバスパワープロ2みたいになってしまいました。オーロラサウンドさんはUSBの電源線が音質に影響すること知って製品化したのだと思います。

上の図は製作するデータ専用USBケーブル(外部電源付)の構成図です。

上の図はデータ専用USBケーブル(外部電源付)にUSB-DAC(Topping D3)を接続したときの配線図です。USB-DAC自身の電源スイッチON/OFFでは電流0mAです。USB-DAC用電源供給を断にすると約31mA ながれるようです。
 

 USB簡易電圧・電流チェッカー RT-USBVAC8QC

①データ専用USBケーブルに電池式(6V)の外部電源を接続した場合(USB-DAC電源供給ON):電圧は約6.1V、電流0mA です。

USB簡易電圧・電流チェッカー RT-USBVAC8QC:Amazonへのリンク 

②データ専用USBケーブルに電池式(6V)の外部電源を接続した場合(USB-DAC電源供給断):電圧は約6.1V、電流31mA です。電池による外部電源は単三×4本(6V)で約31mA流れます。約2.6日間で電池を消費する計算です。

③データ専用USBケーブルにACアダプター式(6V)の外部電源を接続した場合(USB-DAC電源供給ON):電圧は約10V、電流0mA です。
④データ専用USBケーブルにACアダプター式(6V)の外部電源を接続した場合(USB-DAC電源供給断):電圧は約10V、電流31mA です。ACアダプターを使う外部電源を用いる場合は音質の良いトランス式を使います。
 
 データ専用USBケーブル(外部電源端子付)

新しく製作した外部電源端子付のデータ専用USBケーブルのテストとヒヤリングです。3種類のUSBケーブルを比較します。
 
①ノーマルのUSBケーブル
音質の比較用に同じ材質で製作したUSBケーブルです。スペアナにはわずかな違いがでています。1kHz以下のノイズがやや大きくなっています。テスト信号の高調波2kHzもやや大きい数値がでています。音質は②、③のデータ専用ケーブルに比べ、やや霞のかかったような音がします。少し音が丸くなり1音1音が少し不明瞭になって聞こえます。
②データ専用USBケーブル(外部電源付:電池式)
スペアナを見ると1kHz以下のノイズが①、③と比べ一番小さくなっています。2kHzの高調波も①と比べて小さいです。明瞭で透明感のある音がします。1音1音が分離して美しい響きです。全体にクリアな音で高域が特に気持ちいです。USBケーブル1本で本当に音質が改善されることに驚きます。
③データ専用USBケーブル(外部電源付:ACアダプター式)
スペアナを見ると1kHz以下のノイズが①、②の中間になります。2kHzの高調波は②と同じレベルです。音質は②よりクリアさがやや後退してほんの少し丸くしたような音質です。こちらの方が音に量感が感じられます。音の印象は悪くありません。
スペアナではわずかなデータの差異で明確な違いはわかりません。しかし音を聴くとデータ専用USBケーブルは確かに効果があるようです。私の古いTopping D3でさえ違いがわかります。手持ちのDACでは、外部電源を付加しないとデータ専用USBケーブルが使用できませんでした。製作したケーブルの外部電源はないほうが音がいいはずです。純粋にデータ専用USBケーブルだけで音楽を聴ければよりクリアな音だと思います。今回は緊急避難的なケーブル試作でしたが、データ専用USBケーブルの実力を感じる事ができました。製作したデータ専用USBケーブル(外部電源:ACアダプター)は我が家のオーディオ・セットに組み込まれています。PCオーディオで音楽を聴く楽しみがまた一つ増えたようです。
 
注意:今回、ご紹介したデータ専用USBケーブル(外部電源付)の使用は自己責任にてお願いします。また、PCオーディオにはJPLAY FEMTOをカーネルストリーミング(KS)で使用、FLAC音源、DACも古い製品ですが改造してある環境でヒヤリングしています。そのため、それなりの高音質の環境でないとUSBケーブルの違いはわからないかもしれません。