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2024/11/03

ナショナル SC-9200 レシーバー・アンプ

 

ナショナル SC-9200 レシーバー・アンプの紹介です。1971年頃、4点一式(レシーバー、プレーヤー、スピーカー×2)で63,800円のシステムステレオのレシーバー本体になります。鮮やかなアルミのフロントパネルとウッドケースのオーソドックスなデザインのレシーバーで価格の割に高級感があります。SC-9200はセパレートステレオシステムの雰囲気を持たせて価格を抑えた製品です。高価なセパレートステレオシステムと普及型のモジュラーステレオシステムの中間に位置する製品です。

ダイヤルスケールの両脇にはヒューズランプがあり照明は明るく、黒いバックに電球色のうすい黄色の周波数表示が鮮やかで綺麗です。

カタログには、●低歪域をなくした準コンプリメンタリー回路採用の高級ステレオシステム、●出力(EIAJ歪率5%)10W、ミュージックパワー(M.P.O)20W、●巾44.0×高さ12.4×奥行34.5cmとレシーバーの製品仕様の記載があります。また、プレーヤーにはソリッドステートカートリッジ使用と書いてあり圧電素子(クリスタル型)のカートリッジを採用しています。

上の写真はウッドケースから本体を取り出した様子です。電源ヒューズは本体横の左奥にあり、ウッドケースから本体を取り出さないと確認や交換もできない構造です。スピーカー保護のリレー回路やヒューズはないようです。

FM3連バリコンのフロントエンド初段には2SK19(右上のGR文字がFET)が使われています。

 

チューニング・ダイヤルにはフライホイールがないのでダイヤルの操作が軽すぎます。糸掛けは張り直しました。プーリー部分の糸掛けが以外と難しい構造です。

RCAコネクタが劣化して破損しています。

PhonoTape、スピーカー端子の劣化・損傷したRCAコネクタ部分を抜き出して金メッキのプラグと交換します。背面パネルがいい雰囲気に仕上がります。

劣化部品は全て交換します。音だし試験をしますがTAPE MONスイッチの接触不良がありクリーニングします。ボリュームはガリもなく良好です。

本体を逆さまにしないとプリント基板が下向きで調整ができません。スピーカー端子出力でオフセット電圧0Vに調整、FMトラッキングが大幅にずれていたので調整、セパレーション調整などをして終了です。外部入力の試験ではTAPE PLAY BACK端子にUSB DACを接続して良好でした。

修理が完了したのでスピーカーを接続してヒヤリングします。やや音が粗くハイ上がりの音です。低音は締まった音で気持ちがいいです。帯域は全体に狭く感じられS/Nもあまり良くなく音量を上げるとうるさく感じます。ここまで辛口の評価でしたが上位機種と比べたらの話です。ロックなど聞くと元気で意外といい音です。価格的には十分な性能と音質だと思います。SC-9200は電源ON/OFF時のポップノイズが出ないのが秀逸です。機能面ではAUX入力端子なしやPhono入力でMMカートリッジが使えないのが残念です。SC-9200はワールドボーイ・RF-858(ラジオ)と同じ頃に発売されていて印象に残っています。70年代初頭の雰囲気を持った懐かしいナショナルのステレオ・レシーバーの修理でした。

2024/06/14

SANSUI SAX-250 FM/AMレシーバー

 

SANSUI SAX-250 FM/AMレシーバーの紹介です。1969年、39,900円のレシーバーです。黒とシルバーの落ち着いたデザインの製品です。やや暗いですがグリーンの数字にオレンジのダイヤル針の照明が綺麗なダイヤルスケールです。レシーバーとしては小型の製品になります。

背面のスリットはパワートランジスタの放熱用です。アンテナやスピーカーはワンタッチ接続端子で使いやすいです。

昔のSANSUIの電源トランスが懐かしいです。パワーアンプ基板はソケットを使い狭いスペースに実装されています。バリコンは、AM2連とFM3連です。

底の配線も高密度でEQ、TONE、電源基板なとが実装されていますパワートランジスタと同じ場所にスピーカー保護ヒューズが配置されています。ヒューズの確認や交換がしにくい場所です。

劣化部品は全て交換しますが、基板も小さく込み入った配線で作業には時間がかかります。修理中に気づいたのですが基板の一部に修理した跡が残っていました。大切に補修しながら使っていたのだと思います。

FMの受信感度やトラッキングを調整します。最後にセパレーションを調整します。

 

ヒヤリングをしますがFM放送にサッーとノイズが入ります。フロントエンドを開けて見るとTU-555とほぼ同じ回路のようです。初段のFET 2SK192SK192aに交換します。FM放送のノイズはクリアになりました。

ヒヤリングします。上下の帯域を欲張らないバランスの取れた聞きやすい音です。高音、低音については、少しアクセントをつけてメリハリのある音に仕上げているようです。修理したので音や操作の安定感が違います。前オーナーさんがレシーバーを補修しながら丁寧に使用していたのが感じられた製品です。

2024/05/09

HITACHI Lo-D SR-600 ステレオ・レシーバー

 

 HITACHI Lo-D SR-600 ステレオ・レシーバーの紹介です。1971年頃、56,800円のレシーバーです。シルバーメタリックのフロントパネルが美しいレシーバーです。同時期に発売されたプリメインアンプ(IA-600,IA-1000)もSR-600と同様に評価も高く今でも買い求める人が多い製品かと思います。

背面パネルは全体が利用されて空スペースがありません。パワートランジスタの保護カバーが4つ四角く突き出ているのが印象的です。右上は左右のスピーカーヒューズの保護によるレシーバーのようです。

パワーアンプ基板に大容量コンデンサ×2個を直接配置した作りです。

レシーバーのカバーを外すと、透明のビニールに包まれた自作のスピーカー保護基板(上の写真)が設置・配線されていました。プリント基板は固定もされていないでブラブラの状態です。年代物のリレーとトランジスタ(2SC92,2SC69)で遅延回路の機能を持たせたスピーカー保護回路のようです。電源ONの時に保護回路が必要なほど激しいポップノイズがでたのだと思います。他のレシーバー修理でも保護回路が後付けされていた経験があり前オーナーさんにとっては切実な機能だったかと思います。

 

修理は劣化部品を交換して再調整します。スピーカー保護回路以外は普段と変わらない修理作業です。

SR-600にはシグナルレベルメーターはありますが、チューニングメーターはありません。その代わり最適なチューニングが出来た時点でダイヤル針がオレンジ色に点灯する機能を持っています。修理後に再調整して気づいた便利なチューニング機能です。

試験的にスピーカーを接続してみます。予想どおりの激しいポップノイズです。スピーカー端子の電圧を見ると、電源ONにした時の高い電圧が発生してから減衰するまでに約7~8秒も時間もかかります。スピーカーの故障を誘発する非常に困った症状です。対策として新たにスピーカー保護基板を設置しました。 ポップノイズの原因は不明ですがパワーアンプ基板に実装された大容量電解コンデンサーの影響かもしれません。

上の写真が電源電圧12~24Vのスピーカー保護回路です。レシーバーの電源部から抵抗で少し電圧を落として電源を確保します。左右のスピーカー(+)のみ保護リレーに結線してあります。この保護回路はスピーカ端子が0.7V以上では動作しない仕様です。電源ONすると約10秒ほど経ってからリレーが動作しました。パワーアンプの直流電圧が落ち着くまで時間がかかるレシーバーのようです。また、パワートランジスタの発熱が大きいので専用のヒートシンクは必要だったと思います。

昔、日立さんが管球式の音を持ったレシーバーと広告してたのでヒヤリングが楽しみです。USB DACを接続してヒヤリングしてみます。このレシーバーはすばらしい音の出来栄えです。上下に帯域も広くクリアでキレのある音質です。最新の音楽ソースでも全く遜色ない音を聞かせてくれます。MMカートリッジでレコードを聴いてみますが同じ音の傾向です。Phono入力でのレコードの音がいいレシーバーは少なく貴重な製品です。音の量感、奥行の雰囲気も良好な大人のレシーバーです。SR-600はLo-D のオーディオブランドに恥じないレシーバーの名機かと思います。

2024/02/20

TRIO トリオ TW-200 FM/AMレシーバー

TRIO トリオ TW-200 FM/AMレシーバーの紹介です。1969年頃、38,800円の製品になります。この時期のTRIO製品は木目調のケースが特徴的で懐かしいです。修理にあたり雑誌など回路図を探しましたが見つかりません。海外輸出製品のKenwood TK-20Uが同等製品になりますのでこちらを参考にすることにしました。

背面パネルの様子です。

外部入力端子(AUX,MAG)が外されています。また、TAPE端子からTONE基板にダイレクトに配線(黄色と灰色)が変更されています。更にTAPE端子に10μFが挿入されていて、DIN端子に抵抗が2本と配線が変更されていました。

右下中央には1000μF50Vがパワーアンプ回路に追加されています。左下には電源回路にリレーが挿入され、ラウドネススイッチと接続してリレーでスピーカーをON/OFFしていたようです。電源ONしたときのポップノイズ対策でしょうか。

IF 基板の裏側に逆さまに配置された2つのトランジスタがありました。初めて見ましたが何故逆さまかは不明です。上の3枚の写真を見てわかるように、このレシーバーは魔改造されていて修理が大変そうです。修理作業に入ります。外部入力RCA端子、ラウドネス回路の配線、TAPE端子、DIN端子の配線、電源回路からリレー取り外しなどをオリジナルの状態に戻します。次に電解コンデンサーは全て交換します。交換後、電源試験で0.25A流れ正常の様です。

動作確認をします。FM受信しますが、Rchは雑音あり、Lch無音です。Lch無音はボリュームの配線が外れていたので元に戻しLchから音がでるようになりました。

左右にノイズがあり発生源を調べます。モニターを使った古典的で簡易な探査方法で調べてみます。 入力出力の電解コンデンサの頭の金属部分にモニターをあててノイズがあるかを調べる方法です。ここではパワーアンプ回路の電解コンデンサーの入力側ではノイズがありません。パワーアンプ回路の最終段手前でノイズが発生している模様です。結果的に左右の2SC733,2SC734を全て交換することでパワーアンプ回路のノイズを消すことができました。パワーアンプ回路に前オーナーが追加した1000μFの電解コンデンサなどは不要になったわけで取り外しました。

 

 最後まで見つからなかったノイズ源のコンデンサー(IF回路、プリアンプ回路、TONE回路)

次にFM受信時のサーッという音のノイズの発生源を調べます。外部入力AUX及びFM受信時にノイズが発生します。結論から言うと、コンンデンサー不良です。FM回路、プリアンプ回路、TONE回路に使われていた、写真の茶色いコンデンサーがノイズ発生源です。これは全てフィルムコンデンサと交換しました。FM受信時に気になったノイズはなくなりクリアな音になりました。

受信感度、トラッキングを調整します。STEREOランプ、メーター、セパレーションを調整します。

 ヒヤリングをします。 電源ON時にスピーカーから軽くポップ音がでます。音の帯域は広く感じますがS/Nが悪いように聞こえやや粗さと音がうるさく感じます。そのため、TONEで高音をやや控えめにして中低音をゆったり鳴らすような調整をして聞くととてもいい感じになります。大量に劣化部品を交換したのでエージングが必要なのかもしれません。

前オーナーはこのレシーバーには相当時間をかけて改造した様子です。IF回路のトランジスタ交換、パワーアンプ回路の1000μFの追加はノイズ対策、TAPE端子のカップリングコンデンサやDIN端子への抵抗挿入などもFM受信時のレシーバーからのノイズに悩まされた結果のように思えます。修理により何十年ぶりかでレシーバーからノイズを解放することができました。 前オーナーさんにノイズのないFM放送を聞かせてあげたかった思いが残る修理でした。

2023/11/18

TOSHIBA 東芝 SX-160 レシーバーアンプ

TOSHIBA 東芝  SX-160 レシーバーアンプの紹介です。1971年頃の製品です。主力製品の家具調ステレオ・ボストンとは別に手軽にステレオを楽しめるQMシステムセパレーツのアンプ部分になります。SX-160はレコードプレーヤとスピーカーでセットで約4~5万円の価格帯だと思います。シルバーの前面パネル上に茶色のメタリックでラインを入れた印象的なデザインです。グリーンに輝くダイヤル目盛り、統一されたツマミを整然と並べて落ち着いた雰囲気の佇まいです。低価格帯ですが完成度を感じるレシーバーです。

背面パネルの様子です。スピーカー端子がRCA、テーブ端子がDINを採用しています。RCAのスピーカーケーブルや端子は今でもAMAZONなどで入手できます。リアスピーカーはネジ端子になっています。セレクタ表示に4chの文字があるので、リアスピーカーは極性を反転させフロントを合わせて4つのスピーカーでサラウンドを楽しんでくださいとの意味かと思います。

木製のカバーを外します。底板はパーチクルボードで、その上に部品を固定する構造です。左のプリント基板は電源、パワーアンプとTONE回路、左はAM/FMチューナー回路になります。動作を確認をします。チューニング時にダイヤルが空転してダイヤル針が移動できません。ダイヤルスケールのランプ切れとFMは受信できますがノイズがひどいです。STEREOランプは点灯しません。

全体に部品の劣化が進んでいますので交換します。ランプを交換し、糸掛けは張り直して空転は解消です。次に初段FET2SK19を2SK192aに交換してノイズはなくなりました。STEREOランプはコイルの調整で点灯するようになります。


セパレーションを調整しようと思いますが、調整できそうなボリュームが見つかりません。TOSHIBAの類似製品の回路図をみますが同じようにセパレーション調整用のボリュームは見当たりません。そこでマトリクス回路の傍にあるコイル2個を回したところセパレーションが変化することに気づきました。この2個のコイルで調整します。調整により約20dB程確保することができました。

ヒヤリングします。チューニングメーターがないのでSTEREOランプが一番明るくなるところにダイヤルを調整します。選局がズレるとノイズがでやすくなります。音の帯域はやや狭く感じますがバランスは良いです。高域はやや弱く、中低音が充実しています。ラウドネスONにした状態で聴いた方が奥行や量感を感じられます。夜のパネルは照明が美しくいい雰囲気です。ネアカな音ですがバランスも良く手軽に音楽を楽しめる良いレシーバーです。

2023/09/03

SANSUI サンスイ PM-880 真空管3バンド・レシーバー

SANSUI サンスイ PM-880 真空管3バンド・レシーバーの紹介です。1960年頃のモノラル・レシーバーになります。個人的に所有してFMモノラル・オーディオを 楽しんでいたレシーバーです。先日、FM放送を聞いていたら突然死です。全く音がでなくなりました。そのため、久しぶりに修理することになりました。

カバーを外すと真空管が13本あります。一番奥が出力段の6BQ5×2本で、意外といい音を聴かせてくれます。

内部を覗くと電源トランスの漢字で”山水”の文字が目に入ります。電解コンデンサーなどに劣化の兆候がみられます。抵抗も変色して過電流の兆候がみられます。

回路図は上蓋の裏にあります。少し煤けていますが十分に読み取れそうです。写真を撮り拡大すれば修理に役立ちます。

各電圧を測ると電源回路からつながる抵抗500Ωからチューナー部への電圧が出ていません。上の写真右下の白いセメント抵抗500Ωが断線しています。 各箇所の電解コンデンサーなどが全般的に劣化して過電流が流れたようです。

劣化部品は全て交換することにました。交換後に電源を入れると消費電流は約1.0Aで正常のようです。

スピーカー1本を接続して試験をします。3バンドですがFM以外のMW、SWは使いません。FMだけヒヤリングします。モノラルは違和感のないボーカルが魅力です。意外とキレのある音を聴かせてくれます。私はモノラル・オーディオに安定感のある音を求めています。 基本はスピーカー1本が好みです。スピーカーは大きなものが良いですが、小型スピーカーであればONKYO D-202A以上のものが良いと思います。テスト用のYAMAHA NS-10MMTの超小型2way・スピーカー(世間の評価が低いスピーカーです)ですら、FM放送を楽しく聞かせてくれます。本来であればモノラル録音されたレコードをPM-880で鳴らせば理想的なのかもしれません。モノラル・オーディオは忘れ去れたジャンルなのかもしれません。PM-880は今でも十分通用する音質をもったレシーバーだと思います。