TRIO KA-4000 プリメインアンプの紹介です。1968年頃、49,800円の製品です。このシリーズはシンプルですが気品が漂うパネルデザインです。当時はサイドウッドで高級感のあるアンプやチューナーが多かったです。
背面パネルはごく一般的な端子類が実装されています。内部は電源、プリアンプ基板、パワーアンプ基板、パワートランジスタが整然と並んでいます。シールド板を外すと取り外し可能なスロットタイプのプリント基板が見えます。
基板の電解コンデンサにも劣化がみられます。プリアンプ、パワーアンプ、他基板の全ての電解コンデンサを交換します。
5A電源ヒューズが溶断しています。 動作確認のためプリアンプ基板とパワーアンプ基板を抜いたままで電源ONにするとヒューズが瞬時に溶断します。 電源部の故障です。切り分けた結果はブリッジ整流器の故障です。新しい整流器に交換して電源が正常になりました。音出し試験では、L側の音が小さいです。入口から順にトレースしたところ、PRI OUTとPOWER INのプラグの接触不良です。プラグを清掃して正常です。
KA-4000は構造的にポップノイズがでます。電源ON時にスピーカー端子のサージ電圧を測定すると0.7V以下になるのに15秒以上かかります。スピーカーに悪影響がありそうです。対策としてダミー抵抗も考えましたが、今回はスピーカー保護回路を入れます。電源ON時の遅延回路だけでなくスピーカー端子のサージ電圧が0.7V以下にならなければリレーは動作せずにスピーカーを保護します。また、スピーカー端子のショート時にはリレーが断となりアンプを保護します。上の写真のように保護回路はシャーシ下に空スペースがなくシャーシ上のプリアンプ基板横に設置します。
アンプの電源回路から取り出せる電圧はDC68Vです。ツェナーダイオードによる簡易な定電圧回路を組み込みスピーカー保護回路を動作させます。上の写真はツェナーダイオード×3と680Ω×2によるスピーカー保護回路用の定電圧回路です。スピーカー保護回路の動作時間は実測して18秒でした。
パワーアンプのセンター電圧を34Vにうまく調整できません。左右の半固定抵抗(30kΩ)VR3,VR4の劣化です。VR3,VR4を交換しセンター電圧を34Vに調整できました。 これで調整も終了です。USB DACを接続してヒヤリングします。上下の帯域はやや抑え気味ですがそれなりに広く奥行も感じられる良い音です。全体にクリアでスッキリした音質です。少し華やかな傾向で音の重心がもう少し低いと厚みや深みがでると思いますが贅沢なのかもしれません。レコードを聞いてみますが同じバランスの音がします。KA-4000はパネルデザインと音がマッチした良質のプリメインアンプです。電源ON時のポップノイズもなくなり安心して音楽を楽しむことができるアンプに仕上がりました。