ナショナル SC-9200 レシーバー・アンプの紹介です。1971年頃、4点一式(レシーバー、プレーヤー、スピーカー×2)で63,800円のシステムステレオのレシーバー本体になります。鮮やかなアルミのフロントパネルとウッドケースのオーソドックスなデザインのレシーバーで価格の割に高級感があります。SC-9200はセパレートステレオシステムの雰囲気を持たせて価格を抑えた製品です。高価なセパレートステレオシステムと普及型のモジュラーステレオシステムの中間に位置する製品です。
ダイヤルスケールの両脇にはヒューズランプがあり照明は明るく、黒いバックに電球色のうすい黄色の周波数表示が鮮やかで綺麗です。
カタログには、●低歪域をなくした準コンプリメンタリー回路採用の高級ステレオシステム、●出力(EIAJ歪率5%)10W、ミュージックパワー(M.P.O)20W、●巾44.0×高さ12.4×奥行34.5cmとレシーバーの製品仕様の記載があります。また、プレーヤーにはソリッドステートカートリッジ使用と書いてあり圧電素子(クリスタル型)のカートリッジを採用しています。
上の写真はウッドケースから本体を取り出した様子です。電源ヒューズは本体横の左奥にあり、ウッドケースから本体を取り出さないと確認や交換もできない構造です。スピーカー保護のリレー回路やヒューズはないようです。
FM3連バリコンのフロントエンド初段には2SK19(右上のGR文字がFET)が使われています。
チューニング・ダイヤルにはフライホイールがないのでダイヤルの操作が軽すぎます。糸掛けは張り直しました。プーリー部分の糸掛けが以外と難しい構造です。
RCAコネクタが劣化して破損しています。
Phono、Tape、スピーカー端子の劣化・損傷したRCAコネクタ部分を抜き出して金メッキのプラグと交換します。背面パネルがいい雰囲気に仕上がります。
劣化部品は全て交換します。音だし試験をしますがTAPE MONスイッチの接触不良がありクリーニングします。ボリュームはガリもなく良好です。
本体を逆さまにしないとプリント基板が下向きで調整ができません。スピーカー端子出力でオフセット電圧0Vに調整、FMトラッキングが大幅にずれていたので調整、セパレーション調整などをして終了です。外部入力の試験ではTAPE PLAY BACK端子にUSB DACを接続して良好でした。
修理が完了したのでスピーカーを接続してヒヤリングします。やや音が粗くハイ上がりの音です。低音は締まった音で気持ちがいいです。帯域は全体に狭く感じられS/Nもあまり良くなく音量を上げるとうるさく感じます。ここまで辛口の評価でしたが上位機種と比べたらの話です。ロックなど聞くと元気で意外といい音です。価格的には十分な性能と音質だと思います。SC-9200は電源ON/OFF時のポップノイズが出ないのが秀逸です。機能面ではAUX入力端子なしやPhono入力でMMカートリッジが使えないのが残念です。SC-9200はワールドボーイ・RF-858(ラジオ)と同じ頃に発売されていて印象に残っています。70年代初頭の雰囲気を持った懐かしいナショナルのステレオ・レシーバーの修理でした。