| 製作したライントランス |
古い測定器のトランスを再利用して試作したライントランスの紹介です。近頃、ライントランスが話題になることが多くなりました。デジタル・オーディオが普及した影響でしょうか。
| 国のVol.107 2023 WINTER |
管球王国のVol.107 2023 WINTERでは「ライントランス ヴィンテージ/現行15種の聴き比べ」でライントランスの記事が掲載されています。
| 無線と実験2021年10月号 |
もう一冊は無線と実験2021年10月号の「特集:ライントランスの研究 ライントランス12種類の試聴」にライントランスの記事が掲載されています。
これらの雑誌をを読み返していたらライントランスが欲しくなります。今回はUSB DACとアンプの間にライントランスを入れることを目指して製作します。我が家のプアPCオーディオはそれなりの音質だと思いますが音の粒子のつぶつぶ感が気になりだしました。これがデジタル臭さでしょうか。ライントランスで音に滑らかさと艶が出せないかと期待しています。
| 安藤電気製 トランスT-22426 |
ゼネラルトランス販売のトランス購入を検討していましたが、上の写真のジャンク・トランスを購入しました。測定器から取り外したトランスです。トランスを取り外した測定器は安藤電気(株)DRZ-2号M直読インピーダンス測定器です。取り外したトランスは安藤電気製T-22426(1969年10月製造)0.2kHz~100kHz、600Ω:600Ω:60Ωと説明書には記述されています。ライントランスは流す電流が少ないので小型のものでも良いですが、音質を重視するとある程度の大きさは必要です。価格面と大きさおよび測定器の特徴である高い精度とフラットな周波数特性もった高価なトランスへの期待から古い測定器から取り外したトランスを選定しました。かなり大型のトランス(約300g×2個)なので音に余裕がありそうな気がします。測定器用のトランスは素性の良さからライントランスの名機として大化けするかもしれません。
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| トランスの巻線比とインピーダンス |
このトランスは仕様が不明です。インピーダンスが600Ω:60Ω:60Ω、0.2~100kHzとしかわかりません。1,2番端子から信号レベルを入力して測定したところ上の図の巻線比とインピーダンスだとわかりました。巻線比1:1ぐらいで製作したかったのですが、このトランスでは600Ω:180Ωで製作することにします。巻線比は1:0.55なのでレベルもやや低い程度で気にならない範囲かと思います。管球王国のヒヤリング環境では一次側:600Ω、二次側:180Ωです。はからずも似通ったインピーダンスで製作することになりました。
| トランスを実装した様子 |
RCA端子の右横のスペースは、将来的にセレクターを設ける予定です。一次との二次のアースは切り離してグランドループを防止します。ライントランスの機能には音質改善だけでなくノイズ対策用アイソレータとしての役割も持たせました。全ての機器が正しくアースできていれば不要とは思いますが、せっかくトランスを使用するので完全にグランドループを切断してみました。
2026.1.7 ライントランスの周波数特性を測定
ライントランスの周波数特性を測定する事前作業として回路および入出力の損失計算をしました。
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| 測定回路と入出力損失の計算 |
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| 周波数特性グラフ |
上の周波数特性グラフを見ると20Hz~150kHzで±1dB以内に収まっています。ほぼフラットと言っても良い想像を超えたすばらしい特性です。今回の測定ではファンクションジェネレータの出力を簡易的に3Vppに設定しています。その関係で事前に計算していた0dB⇒-7.43dBが0.5dB⇒6.93dBと少しレベルが高くなっています。周波数特性グラフの数値もやや高めになっています。また、ファンクションジェネレータの内部インピーダンス50Ωは手持ちのUSB DACの内部インピーダンス100Ωと差が小さく実際の環境に近い測定となったかと思います。
以上が2026.1.7追加で測定した周波数特性についての報告です。
| 製作したライントランスの試聴 |
今回はUSB DACとアンプの間にライントランスを入れてヒヤリングします。ライントランスを通してもノイズはなく良好です。ヒヤリングでは一聴して粗さがとれた滑らかで優しい音に変化します。音全体が静かになった印象です。大人しく聴こえますが、よく聴くと高域はしっかり伸びています。低域はあきらかに量感が増え音全体の重心が下がって聴こえるようになります。低域が今まで以上に心地よく押し寄せるようです。だぶつく様な聴こえ方ではなく締まった低音で地鳴りの様な音も感じられる気持ちが良い音です。音に滑らかさと艶を期待していましたが、低音の量感が増して気持ちがいい音がするという予想外の結果が得られました。トランスが大型なので低域の質が良かったのかもしれません。
| 製作したライントランスの前面パネル |
雑誌やネットの音質評価を参考にしましたが、実際に聞くと音のイメージがかなり変わります。ライントランスはアナログ的な音質に変えるエフェクターです。音質はトランスの性能に依存するのでどうしても高価になります。元の音源が高音質でないとライントランスでエッジのとれたつまらない音になるリスクもあります。トランスの音と言われても通常わかりません。事前に音質を確認できないので導入には躊躇します。ライントランスは価格と音質のリターンなどの導入リスクの板挟みで悩ましいです。成功すれば ライントランスにより今までと違った音の世界を見せてくれます。
2024.11.6
ライントランスのコア(11番端子)のアース接続を忘れたので配線しました。
2026.1.6
測定器から取り外したトランスを使用してライントランスとして試作した記録です。今日まで実機として利用していますが市販製品に負けない音質です。ハイエンドのオーディオ志向とは異なりますが、手持ちの機材で試したい方の参考になれば幸いです。
2026.1.7
文脈てに読みやすように文中に周波数特性の資料を追加しました。


