2024/11/04

電子ブロックSRとFMステレオパーツ

電子ブロックSRとFMステレオパーツの紹介です。前回はFMラジオ用IC TDA7000をチューナーブロックに組み込んでFMパーツを製作しました。しかし、FMラジオはモノラルです。FM放送はやはりステレオで聞きたいです。今回は電子ブロックSRと組み合わせて使えるFMステレオパーツを製作します。子供のころは夢だった電子ブロックSRによるステレオ再生です。

FMラジオをステレオで聞くために、いろいろ検討しましたがアナログ回路の小型化が難しく自作を諦めてDSPラジオ・キットを組み込むことにしました。候補としては、上の写真のEQKIT(左側)とHEX3653(右側)のDSP FMラジオ・キットの2つです。

この2つのキットのプリント基板の大きさなら電子ブロックSRの電池ブロックに搭載できるかもしれません。プリント基板の大きさを比較すると、EQKIT(左側)は縦30mm×横55mm、HEX3653(右側)縦28mm×横55mmの大きさいです。電池ブロックは、縦26mm×横58mmなので入りません。プリント基板のパターンを見るとEQKITはプリント基板の隅までギッシリ配線していますが、HEX3653は数ミリの余裕があります。

HEX3653のプリント基板をヤスリで削って実装できるか試してみます。限界まで削ったところ、ギリギリ電池ブロックの一番奥に実装できるようになりました。

電池ブロックに穴あけをします。タクトスイッチ用の穴あけです。HEX3653のタクトスイッチのボタンは5mmの高さがありプリント基板を奥に実装できれば直接スイッチを押すことでができます。プリント基板を固定するためのネジ穴を2つ確保しました。

電池ブロックの上からタクトスイッチを押せるようにするため、背の高い部品(イヤホンジャック、電解コンデンサ、トランジスタ、セレクタピン)はプリント基板の表面には実装しません。また、発光ダイオードを小型のものに変更しました。

プリント基板の裏面には、イヤホンジャック、電解コンデンサ、トランジスタ、セレクタピンを実装します。この状態で電池をつなぎイヤホンで動作確認をします。やや受信感度が弱いですが動作は良好でした。

電池ブロックにプリント基板を入れて配線します。 電子ブロックなので006P(9V)で動作するように3.3Vの簡単な定電圧回路(ツェナーダイードと抵抗)を組み込みます。参考までに、このラジオ基板は、1.8V~3.6V、26mAで動作します。 

完成したFMステレオパーツです。

完成したFMステレオパーツをクリスタルイヤホンで試聴します。電源をONするとホワイトノイズが聞こえます。SEEKボタンを押すとチッチッ・・・と選局する音が聞こえます。FM放送の受信も良好で動作も安定しています。外部アンテナを接続しましたが300Ωより75Ωの方が受信感度が高かったです。

FMステレオパーツと電子ブロックのアンプを接続するとラジオが受信できたり出来なかったりと状態が不安定になります。FMステレオパーツのアンテナ線材をスズメッキ線で最短ルートに変更することでて受信状態が改善しました。

FMステレオパーツのセパレーションを測定してみました。セパレーションは約10dBほどです。

次にFMステレオパーツでスピーカーを正常に鳴らす方法を2つご紹介します。HEX3653のインピーダンスは32Ωイヤホン用です。スピーカー(8Ω)を接続すれば小出力で鳴らすことができます。しかし32Ω定格に8Ω接続では4倍の電流が流れるため無理があり故障の原因になります。そのため、下記の2つのどちらかで対策する必要があります。

【接続方法①】FMステレオパーツの出力端子に68Ωを入れる方法です。HEX3653のインピーダンス32Ωより高い抵抗値ですが、この抵抗値以上でないとFMステレオパーツの電源がON/OFF出来ません。定電圧回路を組み込んだことが原因かと思います。低インピーダンス8Ωのスピーカー接続ありと接続なしによる消費電流の変動で給電電圧が動作範囲を超えたためです。

上の写真は、出力端子に68Ωを組み込んだ様子です。

上の写真は改良したFMステレオパーツに電子ブロックの8Ωスピーカーを接続した様子です。定格より低い8Ωスピーカーの接続や出力端子がショートしても故障することはありません。音はやや小さくなりますが十分な音量です。

 

【接続方法②】FMステレオパーツの出力をアンプに接続してスピーカーで聞く方法です。アンプ入力側でインピーダンスを整合させます。FMステレオパーツの出力端子に68Ωがなくても正常に動作します。今回は電子ブロックSRのレコードプレーヤー・スピーカー式アンプを2セット使用します。ただし、FMステレオパーツの出力レベルが大きすぎるため、3石アンプの初段のトランジスタ回路は省略して2石アンプに回路変更します。前回のTDA7000のFMパーツに使ったアンプより高性能で出力も大きくとれます。音質が良いので2Wayスピーカーを使用しました。

 

次に左右の入力とスピーカーの極性を合わせ、音量を揃えてヒヤリングします。高域が鮮やかに伸びた透明感のある音です。奥行きもありバランスも良好です。ノイズ感はなくクリアなFM放送です。パワーがあり音に余裕が感じられます。クラッシク音楽やジャズの放送を聴きましたが鑑賞に耐えうる音です。電子ブロックSRのアンプが良い音だとは知りませんでした。音だけ聴いたら電子ブロックだとはわかりません。

我が家にある電子ブロック×3セットを生かせないかとFMステレオパーツを製作しました。小型なDSPラジオの性能に驚きを隠せません。昔のFMラジオの製作とは隔世の感があります。また、電子ブロックで良い音が出せることに50年経ってようやく気づき、いい意味で刺激の多い製作でした。今回の電子ブロックSR用のFMステレオパーツ製作が皆様の参考になれば幸いです。

2024.11.3 トランジスタ故障

電子ブロックでアンプを組みましたが、サッーとホワイトノイズが混入します。増幅はするがノイズがでる故障です。トランジスタを1個交換したら良好です。AMラジオでは気が付かないノイズだったかもしれません。