1960年頃のTRIO FM-105 真空管FMチューナー(2台目)の修理です。今回のチューナーは前面パネルのあちこちにサビがあり補修が必要です。ボンネットは比較的きれいな状態なので補修は不要と思います。
背面から見るとシャーシ全体にサビが出始めているので補修が必要かと思います。
ボンネットを取り外すとお約束の埃でいっぱいです。電源トランスの上部カバーにサビがでていますので補修が必要かと思います。内部の配線をみてみましたが、外観上での損傷はみられませんでした。
シャーシにサビが出ていて真空管型番も読めない状態なので、サビ止め塗料で補修しました。また、電源トランスのカバーも再塗装してみたところ、上の写真のようにきれいに仕上げることができました。前面パネルはサビが出ていたので研磨してアクリルスプレーでコーティングしてみました。
「電源が入りません」とのことで購入した品物です。部品交換後に通電試験をしてみたところ0.4Aの電流が流れ正常のようです。
FM放送は受信できるようです。しかし、シグナル・メーターの針が1割程度しか振れません。回路図をみますがメーター調整箇所はないようです。この状態でIFT類を調整してみますが、メーターの振れ幅を2割程度に改善させるのがやっとでした。
シグナル・メーターは2割程度の振れですが、音出し試験をしてみます。FMアダプターにはTRIO AD-5を使用しました。ステレオ放送の音の背景にノイズがのっています。シグナル・メーターの振れの問題は受信レベルが低いことが原因のようです。我が家のFMアンテナの環境は、光TVの有線放送のサービスを利用しているのでアンテナ環境は完璧です。疑わしいのはフロントエンドの6AUQ8の真空管不良です。1段目の6AQ8を交換してみますと、シグナル・メーターの振れが6割~7割程度に改善しました。この状態で再度ヒヤリングしてみます。クリアな音質でノイズもありません。非常にバランスのいいFMステレオ放送を聴くことができます。出来れば6AQ8×2本とも新品に交換したいですが今回はここまでで修理を終わることにしました。
TRIO FM-105は、3連バリコン、フロントエンドが6AQ8×2、検波6AL5、電源6X4などオール真空管で構成された製品です。動作は非常に安定していて不安要素はありません。音質も非常にバランスのとれた美しい音がします。FM-105は完成度が高く私のお気に入りの製品の一つです。毎回修理するたびに真空管FMチューナーは現在のチューナーにはない大きな魅力を秘めた製品だと感じています。