2023/03/04

SONY ソニー STR-200 FM/AMレシーバー(MU故障)

SONY ソニー STR-200 FM/AMレシーバーの紹介です。1970年頃の製品です。本来は4点セット(レコードプレーヤー、レシーバー、スピーカー×2)59,800円のステレオシステム・イテグレード200として販売されていました。レシーバー本体はSTR-200となります。Sonyの薄型で整ったデザインのレシーバーは今でも人気があります。

背面パネルはいたってシンプルです。アンテナ端子、入力端子、RCAのスピーカー端子が配置されています。この機種にもPhono用のアース端子がありませんでした。

内部をのぞいてみます。配線が少し煩雑です。電源トランスの下はパワートランジスタとヒートシンク、中央左は電源基板、右がチューナー基板になります。

劣化部品は全て交換したのでテストしてみます。左右からFM放送を聞くことができます。しかしステレオ・ランプは点灯しませんのでモノラルのようです。ランプ単体試験では点灯します。チューナー基板中央の大きなW数の抵抗と近くのトランジスタでランプを点灯させているいようです。トランジスタのベース電圧を見ながら選局しても電圧に変化はみられません。MU(マルチプレックス・ユニット)1-425-548-11の不良かもしれません。以前、他のSONY製品から取り外したMUが1個あるので交換してみます。ステレオ・ランプは点灯するようになりましたが点灯したままの状態です。ノイズが混入した影響で点灯したままのようです。

 

上の図にはMU回路図を示します。他機種のサービス・マニュアルから拾ったものです。0.0082μFはマニュアルから抜粋の数値です。0.00978μは故障したMU、0.00993μFは交換した MUの実測値です。後から気づいたのですが、故障したMUのコイルの通電はOKだったので、MUにコンデンサを外付けすれば修理できたかもしれません。

AUXから入力した波形はパワーアンプの出力で正常でした。 FM波へのテスト信号で測定します。左右の正弦波の上下がカットされたような波形でノイズも乗っています。FM回路が不良です。故障が疑わしいのはMU~フロントエンドの間のトランジスタです。フロントエンドの2SK23、2SC170を交換してみます。波形はやや改善しましたがNGです。次にIFTまでの4つのトランジシタ:2SC403を2SC1815に交換します。きれいな正弦波が出力されるようになりノイズも消えました。トランジスタ不良です。ステレオ・ランプも正常に点灯/消灯するようになりました。

独特の透明感があり高音がキラリとするきれいな音質です。FM放送のS/Nは良いです。全体的な量感は薄くパワー不足を感じます。高能率のスピーカーを使うか小音量で使うのが適していると思います。このレシーバーはFM操作時に少し癖があります。FM放送のステレオとモノラルで音量差が大きいです。選局時と選局中の音量差も大きくボリュームを操作する必要があり扱いにくいレシーバーです。レシーバーの価格は約20,000円ぐらいでしょうか。このレシーバーは当時の低価格帯の製品として操作性を犠牲にした音質重視のレシーバーだと思います。