Victer ビクター AM/FMステレオ・レシーバー CA-G6の紹介です。メタリック・グレーに色調を統一されたステレオ・セットで、レシーバーの木製カバーもメタリック・グレーに揃えられています。全面パネルはシルバーを基調に黒いダイヤル目盛りなどで若者向けの明るいデザインになっています。
CA-G6は1976年頃のSystem Stereo G-Serise(レコードプレーヤ、レシーバ、スピーカーのセット製品)G6型98,000円のレシーバー部分です。上の写真は当時のカタログになります。
背面パネルには、アンテナ端子、入力端子、スピーカー端子にはRCAタイプを採用しています。このスピーカー端子は今でもAmazonで入手可能です。Phono端子にアースがありません。レコード・プレーヤーからのアース端子だけは付けてほしかったところです。AM用のフェライト・バーは背面ではなく内部に設置されています。元々レコード・プレーヤーを上に重ねて置くことを想定しているためレシーバーの奥行は必要以上に長くなっています。レシーバーはプレーヤー・ラックを兼ねおり、レシーバーカバーの材質は木製で良い音の響きになるように配慮しているのかもしれません。
内部を見ると奥から電源部とパワーアンプ部の基板、中央がチューナー部、手前がコントロール部と配置されています。フェライト・アンテナが内部に配置されているレシーバーはめずらしいです。パワー・トランジスタには2SC1061が採用されています。 内部を見ると機能は落とさずにコスト・ダウン化された製品の様子が伺えます。ダイヤルスケールの照明はダイヤル針のみで電源部のトランスや電解コンデンサは小型、ボリューム類の可変抵抗も小型、プリント基板を固定するシャーシは板ではなく梁構造、底板はパーチクルボードです。例外はAM2連、FM3連バリコン、初段はFETと機能的には上位機種と遜色ないつくりになっているようです。
古い製品なので劣化部品を全て交換します。交換が終わったら機能確認とヒヤリングをします。左右のスピーカーから音はでるようです。しかし、ハイ上がりでひどく歪んだ音がします。 FM放送ではホワイト・ノイズが気になるほど大きな音がします。
更にヒヤリングを重ねると右側のスピーカーの音が歪んでいます。外部入力しても歪むのでパワーアンプ部のようです。初段の2SA672を通ると音が歪むようなので2SA1015に交換します。右側の基板裏側を見ると22kΩの抵抗がエミッタに接続されています。しかし左側の22kΩの抵抗は別の個所に接続されいることに気づきました。製造時に抵抗を誤接続したことがトランジスタの故障原因のようです。トランジスタを交換して抵抗も本来の接続箇所に直しました。これでほぼ歪はなくなったようです。更にパワーアンプ回路の2段目の2SC1213を2SC1815に交換することで音の透明感は格段にアップするようです。
FM放送のホワイト・ノイズはモノラルでも聞こえることからアンテナから検波までの間のようです。初段のFET 2SK19を2SK192Aに交換してみます。ホワイト・ノイズは低減しましたが驚いたことに音質まで大幅に変化しました。ハイ上がりでキンキンした音でしたが歪みも減り高音寄りですが落ち着いた音質に変わりました。
修理が終了した時点でもこのレシーバーはFMステレオ時のホワイト・ノイズがやや大きいことが気になります。特にクラッシクなどの楽器と楽器の音の狭間でノイズが非常に目立ちます。ロックやポップスを聴いている分にはノイズはあまり気になりません。ノイズに改善の余地があるのかもしれません。このレシーバーはAMの受信性能が特に優れています。弱電界地域でも難なく受信できるのには驚きます。音質は透明感のある高音が特徴の明るい音です。 音作りは若者向けのオーディオ・セットとのして位置づけでしょうか。キラキラしたシールバーのパネル・デザインに通じる音質です。このクラスではレコードやFM放送を聞くのに少し色づけした個性を持たせたほうがスピーカーとの相性が良かったのかもしれません。10万円のステレオ・セットでCA-G6レシーバーは実質3万円を切るぐらいでしょうか。初心者に最適なレシーバー・アンプです。