PIONEER パイオニア A-X730 プリメインアンプの紹介です。1987年の製品です。パイオニアのプライベート・プロシリーズのシステムコンポのプリメインアンプです。プライベート・プロは単体コンポの性能をそのままに小型化したシステムコンポです。そのためA-X730はW360×H135×D315mmですが重さ11kgと重量級です。
このアンプは全面パネルと背面パネルを取り外さないと中の基板が取り出せない構造になっています。購入時は埃がいっぱいなので分解して清掃します。内部を確認しますが部品の劣化や損傷はない様に見えます。ヒューズも切れていません。
試しに電源を入れてみます。保護回路のリレーは正常に動作します。チューナーを接続しますが音が出ません。プリアンプ部とパワーアンプ部の接続箇所で故障の切り分けをします。背面パネルのジャンパーピンがありません。応急処置としてRCAステレオケーブルで接続します。正常に音が出ます。ノイズもありません。ボタン類の動作も正常です。「音が出ません」とのジャック品を購入したのですが修理する箇所もなく拍子抜けです。
材質が2種類のジャンパーピンを製作します。ホームセンターでは3mmのアルミ製丸棒しか販売していないのでアルミ製を購入しました。後日、3mmの銅製丸棒はAmazonで見つけたので購入しました。 RCAピンジャックの間隔に合わせ丸棒を折り曲げて製作します。アルミ製丸棒は柔らかいので加工しやすいですが、銅製丸棒は固く作業が大変です。
製作後、念のためにテスターで抵抗を測定します。アルミ製1.2Ω、銅製1.2Ωと差はありませんでした。
最初に銅製ジャンパーピンでヒヤリングします。高音はきめが細かく繊細で気持ちの良い音がします。響きもよく量感も十分感じられます。次にアルミ製ジャンパーピンをヒヤリングします。高音のきめ細かさは減少して粒子が粗くなった印象です。量感も大幅に減少して痩せた音がします。 短い配線ですがジャンパーピンは音質に大きく影響するようです。もしくはA-X730が優秀なので聴き比べすることが出来たのかもしれません。
前回のSANSUI AU-207IIとは音の出かたが全く異なります。AU-207IIは音楽性重視、A-X730は余分な音を徹底して排除した原音重視なのでしょう。音づくりの方向性が全く違うように感じられます。どちらのアンプも音楽を楽しく聴かせてくれます。何が正しいのか迷うところがオーディオの奥深いところです。80年代末期のA-X730は純粋なオーディオ機器の流れを汲む良質の製品かと思います。