2023/05/05

SANSUI サンスイ AU-207Ⅱ プリメイン・アンプ

SANSUI サンスイ AU-207Ⅱ プリメイン・アンプの紹介です。1979年 34,000円の製品です。昔、SANSUIのアンプを使っていたことがあり懐かしくなり購入しました。ブラック・パネルは定番です。さすがにこのクラスではツマミはプラスチック製が採用されています。しかしツマミの感触は良く操作感も良好です。

薄型のアンプなので内部のつくりに興味津々です。大型の電源トランスにパワートランジスタ(2SB545A/2SD188A)、アルミ製ヒートシンクでシャーシを補強する構造になっています。回路はシンプルでもう少し凝った回路を想像してたので意外でした。しかし個人的には好感のもてる回路構成です。

 
電源回路は目的別にフォノイコライザー、プリアンプ、パワーアンプに区分されています。内部を見ても触った痕跡はありません。ヒューズ切れはなく見た目には損傷はなさそうです。プリント基板の電解コンデンサの一部に被覆が熱でめくれているものがあります。劣化部品は全て交換します。

劣化部品を交換してから電源を入れてみます。電流値は0.3Aで正常のようです。保護回路のリレーが正常に動作します。電源回路の出力電圧も正常です。AUX1kHzを入力してみるとRchはきれいな正弦波で正常ですがLchは波形も小さく大きく歪んでいます。Lch回路の各電圧を測定しますが微妙に全ての数値が違います。なかなか故障箇所が特定できません。

結論から言うとLchの82Ωの抵抗が断線と10kΩに劣化しています。抵抗を交換して波形が正常に出力しました。念のためRchの抵抗を取り外して測定すると同じく断線と2kΩに劣化しています。抵抗が断線でもRchから出力していたのが理解不能です。更にRchとLchの220Ωは4本とも全て断線を確認しました。この抵抗を交換すると低音がでるようになり音質が激変です。バイアスは7mVに合わせます。回路図には故障した抵抗に赤丸マークを入れてあります。経年劣化で回路が不安定になりトランジスタに大きな電流が流れてW数の小さい抵抗が損傷した模様です。

次に音質の確認をします。左右ともにノイズが出ています。ノイズはプリアンプ部の2SC1845のトランジスタ交換で解決しました。更に長時間ヒヤリングしていると右側の高域で滲みでるような歪みが聴こえます。基板を良く見ると右端奥の3.3μF電解コンデンサの交換を忘れていました。すぐに交換して歪みは完全になくなりました。

修理が終わりヒヤリングをします。AU-207IIは音のバランスも良く過不足は感じられません。バイアス調整により音に深みが出ています。ジャンルを選ばす良質の音楽を聴かせてくれます。上位機種と比べれば音全体に不満は感じます。しかしAU-207II単体だけのヒヤリングで不満を感じる人は少ないと思います。AU-207IIは低価格帯ですが音楽性をもった良く出来たアンプです。