GE ジェネラル・エレクトリック P1700AとP1704B ポケット・ラジオの紹介です。 1960年後半では珍しいマグネチックスピーカーを搭載した独特の音色のラジオです。AM放送の特性にあわせて、あえて低スペックのマグネチックスピーカーを搭載しているところが素晴らしいです。上の写真は左がP1700A,右がP1704Bです。写真ではわかりにくいですが、ラジオを手に取ってみると76×121×38mmのサイズは当時の国産ポケットラジオと比べてやや大きく分厚く感じるアメリカサイズです。
背面はスリットとイヤホン端子が見えます。背面パネルにP1700A、P1701Aの型番シールが見えますが、このラジオケースの色からP1700Aと判別できます。P1700Aは1966年頃の製品となります。トランジスタがメタキャンが使われていますのでP1704Bより古いトランジスタ・ラジオであることがわかります。
上の写真はP1704Bです。黒く丸い樹脂の トランジスタに置き換わっていることから、P1700Aから2-3年後(1968-69年頃)の製品かと思われます。トランジスタの配置も数か所違うことから、P1700Aからやや異なる回路構成となっているようです。
P1700Aの拡大写真です。IFTなどは日本製です。中央のスピーカーマグネットの四角い形状からマグネッチック・スピーカーが採用されていることがわかります。
P1704Bの拡大写真です。同じく日本製IFTとマグネチック・スピーカーが採用されています。
ケースからプリント基板を取り外してみます。スピーカーのセンターキャップが小さく、マグネチック・スピーカーの特徴を見ることができます。コの字型のマグネットと中央にある振動版から振動棒がコーンに接続されています。
真横から見た状態です。
マグネチック・スピーカーは高インピーダンスのためトランジスタ直結でスピーカーを駆動することができます。GE P1700A,P1704Bでは上の図のようにプシュプル回路との直結でスピーカーを動作させています。
1960年後半にもかかわらずGEだけはマグネチックスピーカーを採用しています。マグネチックスピーカーは大音量ではひずみがでる構造のため、小音量のラジオには適しています。また、実際に聴いてみるとわかるのですが、再生できる周波数帯域も狭いのが幸いしてかノイズが聞こえにくいラジオです。更に低音がでない高音寄りの音質のため、英語の発音が聞き取りやすかったのではと思います。どのような理由にしても、GEはマグネチックスピーカーに優位性があると思い採用しています。P1700AとP1704BにGEが時代遅れのマグネチックスピーカーを採用したことで、他にはないユニークな特徴を持ったポケットラジオとしています。マグネチックスピーカーの音色は独特です。60年代の日本製ポケットラジオでは聞けない音です。GEのラジオを聴くたびに1930年頃の当時の音が聞こえる様な気がします。