Technics テクニクス ST-8077(77T)は1979年45,800円のクオーツ・シンセサイザーFM/AMステレオチューナーです。スリムで高さ53mmの超薄型アナログチューナーです。
背面は、同軸ケーブルを直接接続するタイプですがF栓が良かったと思います。固定式のステレオOUTPUTとMULTIPATHの出力端子があります。このチューナーは珍しくMULTIPATHに4ch MPX OUTがあるので購入しました。
ジャンクで購入したのですがステレオランプが点灯しないため長期間保管していましたが、そろそろ修理することにしました。
ST-8077を開けてみると、よく出来た構造でネジを外すだけでプリント基板と底板を簡単に分離できそうです。また、半固定抵抗VRにはプリント基板に機能名称が書かれているためマニュアルがなくてもある程度の調整をすることができます。非常に便利ですし間違えることもありません。
ST-8077のサービスマニュアルからの抜粋です。これだけの情報があるだけで調整するのが非常に楽になります。しかし、今回はステレオランプが点灯しない故障なので試行錯誤の確認作業となります。単純にランプ切れもあるので、上の写真右下のLEDへ接続しているフラットケーブル31,35(共通)に電圧をかけてランプ確認します。正常に点灯します。次に19kHzのパイロット信号の検出がズレていないかVCO(VR403)で調整しましす。しかし、この箇所でもなさそうです。ステレオランプが点灯していませんが、一応ステレオに分離しているか音声出力で確認しますがモノラル出力でした。
FM mode(S4スイッチ)では、AN363Nの10番ピンにアースを出せばモノラルになります。S4-1を操作してon/auto=1.3V、off/mono=0Vが測定できたので正常のようです。また、ランプ点灯の出力はAN363Nの6番ピンになりますが、電圧は0.2Vしかなくランプが点灯するはずもありません。
原因が全くわかりません。ここまでくるとAN363Nを交換してみるしかなさそうです。
ネットてAN363Nが100円で販売されていました。即、購入してAN363Nを交換しました。VCO(VR403)を再調整するとステレオランプが点灯しました。やっと、修理できたみたいです。音声出力もステレオに分離しています。トラッキングはズレていたので調整、ついでにセパレーションも調整しました。しかし、どうしてAN363Nが壊れていたのか原因は不明です。
AN363Nを交換修理しなくても本来の目的のTRIO AD-5(FMアダプタ)やSTAR製MU-34(自作FMアダプタ)と接続することができます。 ST-8077の4ch MPX OUTとFMアダプタを接続してFMステレオ放送を楽しんでいます。管式のFMステレオ放送の音が好きなんです。
そのため、デジタル・シンセサイザー・チューナーではTechnics S6,ONKYO Integra T-410TGなどを集めて使っています。この管式FMアダプタによるシステムの組み合わせは趣味の世界なので、異論があるかと思いますがご容赦ください。