2022/11/23

SANYO サンヨー TRANS WORLD Groovy M RP-7500

 

SANYO サンヨー TRANS WORLD Groovy M RP-7500の紹介です。1972年製、16300円のMW,SW,FMの3バンドラジオです。RP-7500にはステレオFM放送を聴くためのステレオキャスト(ステレオアダプター)RB9090 4900円も別売で用意されていました。SANYOさんは個性的なラジオが多いですがRP-7500もその1台です。このラジオの特徴はSTEREOCAST端子とFMトランスミッター機能を搭載していることです。FMトランスミッター機能なしはRP-7000となります。

黒にメタリックを多く使用したボディ中央に大型メーターを配置した華やかなデザインです。

右からPOWER,BAND、VOLUME,TREBLE,BASS,AFC、そしてSTEREOCASTが使いやすく配置されています。

中央右の大きくて見やすいメータはTUNE/BATTとLEVELに切り替えることができます。RP-7500の特徴の一つはFMトランスミッター機能で、PRESS TALKボタンを押すと78MHzでFM波を送信することができます。FMトランスミッター機能ではスピーカーをマイクとして使用するためマイクは搭載されていません。ダイヤル目盛りに青字で78とトランスミッターの周波数表示があり、ここにラジオを合わせることで2台をトランシバー的な使い方ができるようになっています。当時はFMワイヤレスマイク搭載のラジオが多く販売されて人気がありました。

ラジオ2台の周波数が混信しないように背面パネルにはトランスミッター周波数を微調整できるトリマが設けてあります。

別売:ステレオキャスト(ステレオアダプター)RB9090は長期保管していましたが使ったことありません。ステレオキャストを試すためにRP-7500のジャンク品を購入してみました。 ステレオキャスト対応機種は私が知っている限り次のとおりです。RP6000,RP6600,RP7000,RP7410,RP7500,RP7600,RP7700,RP8200,RM8200。また、ステレオキャストを内蔵している ステレオマルチ端子つき対応機種は17F-888V,10F-B56になります。これらはステレオラジカセが発売されるまでの過渡期を彩ったラジオ製品群になります。

さっそくRP-7500のSTEREOCASTの上蓋を開けてRB-9090を接続してみました。ラジオの電源を入れてもRB-9090から音がでません。全くの無音です。そして、あろうことかラジオから異臭がして煙が出てきました。慌ててラジオからRB-9090を取り外して、ラジオの電源を入れてみるとラジオは正常で運よく故障を免れました。故障の原因がRP-7500なのかRB-9090なのかわかりませんが、給電にかかわる故障のようです。

ステレオキャストRB-9090を分解してみました。プリント基板やステレオジャックが隙間なく配置されているので取り出しは大変です。SANYOのステレオアダプタRB-9090はSONY STA-50,STA-60と違い接続プラグが2本出ています。まず最初にこのプラグの接続構成を調べてみました。

ラジオからRB-9090へ給電するための+5.5VとMPX信号は上の図のようにプラグと結線されていました。太いプラグは一般的なラジオのMPX OUTに相当します。そのまま、FMアダプタと接続することもできるようです。RB-9090は電源が不要で電池交換しなくていいので非常にありがたいのですが、今回はこの機能があだになったようです。

 
RP-7500のMPX OUT(太いプラグ)をスペアナで観測してみました。L+R(50Hz~15kHz)、パイロット信号(19kHz)、L-R(23kHz~53kHz)のMPX信号が正常に出力されていることがわかります。

ダメージを受けた箇所が判明しました。RB-9090を接続して過電流が流れスピーカー下のトランス左の抵抗から煙がでたようです。

RB-9090を調べてみたところ故障原因は配線が外れ電源がショートしていました。上の写真は絶縁チューブをかぶせて再配線した様子です。

いい機会なのでプリント基板を見てみるとSANYO A3311というMPX-ICか使われていました。トランジスタ2SB187と黄色い出力トランスとコイルで構成されています。ステレオランプは麦球が使われています。

 

 修理が終わりヘッドホンでFMステレオ放送を聴いてみます。ステレオランプがほんのり赤く光っています。電波が弱いとノイズが多くなり使えません。強電界の放送局ではステレオ放送が十二分に楽しめます。しかしステレオ放送なのでセパレーションが調整できているか気になるところです。テスト信号を流して測定してみると少し左右に信号が漏れています。RP-9090のコイルを赤⇒黄色⇒黒の順に測定器を見ながら調整します。調整が終わったラジオのFMステレオ放送は楽しくていつまでも聞いていたくなります。

70年代のトランジスタラジオ 全盛期に発売されたRP-7500は本当に個性豊かな製品です。今でも色褪せることのないデザインや機能そして操作感を十分に堪能することができます。