SONY ソニー ST-SA50ES FM/AMステレオチューナーの紹介です。1997年、40,000円の製品になります。フロントエンドにアクティブセレクションを搭載した音の良いチューナーです。今でも愛用する人がいる名機です。
FM文字放送用のFM DATA端子を搭載した珍しい機種です。
ST-SA50ESは2台目の予備機として購入します。本体の角が潰れていますが奇跡的に全面パネルに傷がないジャンク品です。内部を覗いて見ます。電源トランスが斜めに傾き、電源トランスの乗ったプリント基板が横一線に破断してます。チューナーを落とした衝撃で破損したのでしょう。プリント基板破損では電源が入らないはずです。電源部のプリント基板に直接配線して修理します。
電源装置を介してチューナーの電源を入れると 0.2A程度流れます。しかしディスプレが表示しません。チューナー基板の電源部を確認します。IC901のLA5667の電圧は7ピンとも正常です。ディスプレイボードへのコネクタの電圧も正常です。ディスプレイボード故障のようです。
上の写真のように、この機種は何故かディスプレイボードのハンダクラックが多いです。ハンダクラック×2箇所を修理するとディスプレイ表示するようになり輝度も良好です。フロントエンドの上面のシールドケースを取り外した様子です。
フロントエンドの基板には非常に細かいプリントパターンが描かれています。
フロントエンドもハンダクラックが発生しやすい箇所です。フロントエンドのプリント基板を慎重にチューナー基板から取り外してハンダクラックの有無を確認します。案の定、2箇所のクラックを発見したので修理します。チューナー基板についてはクラックはありません。
フロントエンド 左上に2か所のクラックが見られます。
次に動作の確認をします。チューニングダイヤルが固くて回転できないほどです。チューニングのダイヤル軸をクイックドライクリーナーで洗浄すると、重たいですが回転できるようになります。Autoチューニングしても放送局をスルーして永遠に止まりません。マニュアル操作では選局ができます。選局するとSTEREOランプは点灯してFM放送を聞くことが出来ます。1~9までのセレクタボタンの反応が鈍いです。
Autoチューニングが止まらないのは信号レベルが低すぎるためです。RV221で規定の受信レベルに調整します。再度、Autoチューニングすると放送局で停止して選局できる様になりました。その他セパレーションなどを調整して修理は完了です。
ST-SA50ESは従来のデジタルチューナーより高品質なFM放送を聴かせてくれます。クォードラチュア検波はPLL検波に比べてソフトな音質などとレビューされているようです。
我が家のFMステレオ・マルチプレックス・アダプタです。
ST-SA50ESのFM DATA端子に真空式FMステレオ・マルチプレックス・アダプタと接続してFM放送を聞いています。今まで色々なチューナーの音質を確認してきました。ST-SA50ESは過去最高に音が良いチューナーです。今までのチューナーとは別次元の素晴らしい音です。透明感があり一音一音が繊細で明瞭なFMサウンドを聴かせてくれます。唯一の欠点はアクティブセレクションで3回チューニングする際、ノイズが発生する事です。
ST-SA50ES以降はFM DATA端子を搭載した機種は販売されていません。FM文字放送のサービスが終了したのでMPX端子を搭載する必要がなくなったからです。ST-SA50ESはMPX端子を搭載した最後のチューナーです。真空管で高品質なFM放送を聴かせてくれるST-SA50ESは貴重な存在です。