このFMチューナーはナショナル FMワイヤード・パック FM-P1の説明書に掲載された回路例を参考にしているようです。上の写真がナショナルの回路例です。
ただし、電源部では6X4ではなくてFUJIDENKIのセレン整流器×2ケ、ボリュームなし、AFC回路なしの3箇所が回路例と違っていました。 私はFM-P1の説明書と「FMステレオ製作読本:1963年」を参考に修理したいと思います。「FMステレオ製作読本」には実体配線図もあり配線回しや抵抗の数値が若干違うなどの情報が助かります。まず最初にケースをグレーの塗装にして、つまみ部分の銅板をみがきアクリルスプレーします。まずはチューナーらしい雰囲気づくりからです。全体的に汚れてくすんだ色でしたが光沢のある真新しい雰囲気によみがえりました。
次に全体にサビが出ているシャーシもサビ止め塗料を塗ると見違えるようにきれいになります。また、トランスもサビや塗装が盛り上がっている部分を剥がし、艶消し黒で再塗装したことで全体がいい雰囲気に仕上がりました。ナショナル FMワイヤード・パック FM-P1のクッションゴムは固く劣化していたので付替えしてあります。電源部は6X4で作り直すつもりでしたが、5Vもののトランスだったので5MK9としました。ただし、トランスの出力電圧が250Vなので整流後の電圧をかなりさげる必要があります。劣化部品は交換することにしました。また、ボリューム500kΩスイッチ付きとAFC機能、ヒューズ・フォルダーが省略されているので追加します。
2022.5.22 今日の作業はここまでとし、後日残りの作業をしたいと思います。
2022.6.5 作業再開です。まずは電源部からです。
上の写真が今回の電源回路(電圧は実測値、電流値は予測値)で搭載されていたトランスは5Vものなので5MK9で電源回路を組みます。しかし、トランスの出力電圧が250Vもあり、電源回路の整流後の出力電圧は115Vまで下げる必要があります。このチューナーの製作者さんも出力電圧を下げるのに苦労したのだと思います。トランスの出力電圧を下げるには電源回路の抵抗で調整する前に電源トランスの110V端子にAC100Vを入れてみます。トランスの250V端子をテスターで測ると約200Vとなり50Vほど下げることができました。110V端子を使い電源回路の整流回路の出力で約30mA流れると想定すると3KΩで回路図の電圧115Vのところ計算値では110Vになります。実際の回路では手持ちのメタルクラッド3.6KΩ(手持ち部品なので50WもありもっとちいさなW数でOKです)で製作するので115Vのところ計算値では92Vになりますが後に実測して確認します。
モニターをつなぎラジオ放送を選局しますが音が何も出ません。ナショナル FMワイヤード・パック FM-P1のIFTやコイルの調整用ネジがいじられているようです。調整用ネジを固定する白い塗料が本来の位置にありません。そこで、すべての調整用ネジを白い塗料の位置におおよそあわせてみました。もう一度、選局してますとFM放送が聞こえてきました。受信感度を上げる仮の調整をしたところ普通に使える程度には調整できました。受信感度は高く良好なので細かな調整は別途とします。
LEADのケースには、ダイヤルスケールの裏側にランプ用の穴が4つあり照明できるようになっています。このケースには電源ランプがないので動作しているかわかりにくいので、ジャンク品のE10ソケットをつけてランプで照明してみました。