2022/05/17

PIONEER 真空管 AM/FMチューナー TX-40

PIONEER 真空管 AM/FMチューナー TX-40です。1966年頃の製品で、比較的コンパクトなチューナーで前面は4mm〜10mmの削り出しアルミパネルに両端から枠用のアルミをねじ止めする贅沢なつくりになっています。レベルメーター、ステレオランプとダイヤル目盛りのガラス板の両端からランプ照明するつくりになっています。

真空管は6CG7,6AQ8×2,6AV6,6BA6,6AU6,6BE6の7球で構成されています。 2連バリコンを採用していますが混信妨害に弱くS/Nもあまりよくありません。3連バリコンにしてもらえたら良いチューナになったと思いますので非常にもったいない製品です。

背面にはAMアンテナバーがあり、動かすことでAM放送の受信時に威力を発揮します。

TX-40の情報はラジオ技術1966年11月号で「パイオニアTX-40 AM/FM MPX AUTOステレオ・チューナ」で回路図も含め詳しく解説されています。また、この製品はTX-400の型番で輸出もされていたようです。写真はTX-400の回路図でTX-40と比較しましたが同じ構成となっています。今回はTX-400の回路図があるので修理するのに本当に助かりました。


 内部の配線を見ると電源部のフィルムコンデンサの表面に油が流れたような跡があり過電流の傾向がありそうです。また、このままでは電源を入れるのは危険なようです。

また、MPX部では49mHのインダクターが2つに割れているのを見つけました。修理は電源部などの劣化部品の交換から始めることにしました。

写真は部品交換が完了した内部配線です。この修理によりAM/FMとも受信できるようになりました。ただし、AMは受信感度も低くトラッキングもずれていたので再調整、FMはトラッキングがずれていたので調整して良好となりました。今回の修理ではTX-50をもっていたのでチューナーの型番に疑問をもちました。1969年頃のTX-50からはトランジスタチューナーになるのですがTX-40からTX-50までに3~4年の空白があります。この期間中に新しいチューナーはありませんから(私が知らないだけかもしれません)、他の製品化に注力していたのでしょうか。パイオニアさんのチューナー型番に疑問を持ちながらの修理でした。