今回、ご紹介するのは前回よりさらに1年古い1965年製・RQ-202 ナショナル・テープレコーダー・スナップ 10,000円です。RQ-202は当時としては小型のオープンリールでナショナル家電らしい雰囲気があり購入してしまいました。本体のみでリモコンマイクはありませんし、もちろん動作不良のジャンク品です。
3号(3.5インチ)約9cmのリールを使っていて、テープスピードは4.8cm/sec、片側で30分程度の録音ができたと思います。
操作パネルは左から、小窓のランプ:Level Indicatorランプ(ネオンランプ)、R:Record Safetyボタン、P:Playbackボタン、S:Stopボタン、RW:Rewindボタンです。その下がリモコンスイッチ付マイク入力端子、ボリュームになります。巻き戻しボタンはありませんでした。
スピーカーが裏面にあるためレコーダー本体は縦置きまたはスタンド利用することになります。電池ボックスは本体下の白いケースで単2電池×4本の6Vになります。屋内利用に便利なACアダプタ入力端子(6V)も装備されています。
せっかく購入したので回路図が欲しくなります。上の写真はRQ-202Aの回路図でプリント基板のパターンが同じなのでほぼ同じ回路図かと思います。
プリント基板を見ると回路図のとおりゲルマニウム・トランジスタ2SC172,2SC175を使った簡単な構成なので、メカさえ何とかなれば修復できると思います。また、青紫色の古いナショナルの電解コンデンサーはできれば交換したほうがいいと思います。
まずは、電池ボックスのスプリングの修理をします。次にゴムベルトは伸びきっていてテープが回りません。ゴムベルトの交換をします。交換時にフライホイールを固定するネジ3本をはずしますが、ベアリングボール1個を紛失しなように注意が必要です。ゴムベルトを交換して単2電池×4本(6V)を入れての動作確認です。音はでますがテープ速度が遅すぎて何を言っているのかまったくわかりません。
回転が遅すぎるので、モータ軸の先端についている白い三角すいを前後させて回転数は調整します。今回のケースではモータの回転軸が滑べってフライホールをうまく回転できていません。このケースはモータ軸をフライホイールに押しつける力が弱すぎるためでモーターを押し付けるスプリングを交換してみました。軸の滑りはある程度は解消しましたが、モータ軸の三角錐を調整しても回転むらが大きく回転数も遅すぎます。
回転数を上げるためできる限りのことをしてみました。①フライホイールのベアリングと軸に油をさす。②上の写真:ピンチローラを外し清掃して油をさす。➂モータ後ろのカバーを外し電気を供給する回転ブラシに極少量のコンタクトクリーナーを添付。④電気系統で電源に関係するACアダプターのコネクタ清掃、内部接点の清掃などをためしてみたところ、テープ速度があがりモータ軸の三角錐で速度調整できるようになりました。
テープ速度は解消したのですが再生ボタンを押したまま放置されていたのでしょうか、フライホイルとモーター軸の接触する箇所に大きな凹みが残されていました。この凹みにモーター軸がはまるとモーターが上下に動いてカタン・カタンと周期的に音がでます。当然、音はひどい回転むらが発生して聞くに堪えません。
経験はありませんがフライホイールに追加のゴムを張り付けるしか方法はなさそうです。ゴムリングを ネットで探して、上の写真の直径50mm×厚さ1.5mmのゴムパッキン「あふれなし排水栓用パッキンセット M2VPS」を350円で購入しました。直径50mm×厚さ1.5mmのゴムパッキンが2枚入っています。
ゴムパッキンをフライホイールにボンドで張り付けます。不器用なので出来上がりはよくありません。
ゴムパッキンの厚みでモーターの回転軸が停止状態でもフライホイールに接触したままです。また、フライホイールのゴムに凹みができてしまいます。そこでモーター横の上下調整用の金物で停止状態のモーター軸の高さを調整しました。 ゴムパッキンのおかげで回転ムラは大幅に減らすことができました。乱暴な方法ですがうまくいったみたいです。
RQ-202購入時についていたテープを再生してみます。レコーダーからは藤圭子さんの「圭子の夢は夜ひらく」や野村 正樹さん「一度だけなら」などの70年初頭の歌謡曲が入っていました。ラジオからマイクで音を拾って録音したみたいです。音は悪いですがラジオ放送のアナウンサーの喋りが昭和の雰囲気を感じさせます。むかし聞いたことはあっても名前がわからない歌手や歌でいっぱいのテープです。今回出会ったのは昭和の記録を色濃く残したナショナル製品でした。