2022/10/01

HITACHI(日立) 真空管FMチューナー UF-1000

 

今回はHITACHI(日立) 真空管FMチューナー UF-1000の修理になります。日立製で小型FM専用チューナーを出しているとは知りませんでした。初めて見るチューナーです。小型FMチューナーとしてはTRIO FM-108や東芝 FMT-100などと競合する製品になるかと思います。1960年~1965年頃の製品とは思いますが年代は不明でした。FM放送をモノラル出力とMPX出力できるチューナーとなっています。

背面はパーチクルボードで300Ωのアンテナ端子と8ピンUSプラグでMPX接続する仕様になっています。日立製のFMアダプターMA-20などを接続してFMステレオ放送を聴くことができます。USプラグからはB電源やヒーターの給電もされているので日立製以外との接続には注意が必要です。

パネルをはずして覗いてみると糸掛けが外れているのがわかります。それ以外に大きなダメージなさそうです。また、右の側面には回路図が残っていました。

シャーシを取り出します。中央に電源トランスを配置し、2連バリコン、6R-HH2×1、6BA6×2 が実装されています。

 
チューナー内部に残されていた大切な定格、糸掛図、回路図です。
裏側の配線です。見た限りでは大きな損傷はみられませんした。
修理を始めます。糸掛けを直そうと思いますがダイヤル針のレールが外れています。原因は金属レールを連結しているネジが破損しているためです。ネジは透明なプラスチック製なので少し強い力が加わって破損したようです。左右の連結ネジを金属製と交換して糸掛けしなおして終了です。
 
内部の劣化部品は全て交換します。上の写真は部品交換後のようすです。
部品交換後に初めて電源を入れて確認します。0.4A流れ変動もありません。各箇所の電圧も測定したところ正常のようです。最後に受信感度やトラッキング調整して修理は終了です。
MPX OUTは背面の8ピンUSプラグを使用します。日立製以外のFMアダプタとの接続にはMPX OUTとして2番、5番に出力します。USプラグにはFMアダプタに給電するB電源やヒーター電圧がかかるピンがあるので注意が必要です。
モノラル出力は正常です。TRIO FMアダプターAD-5と接続してFMステレオ放送をヒヤリングしてみます。ステレオ放送は聞こえますがハム音がのって使用に耐えられません。

STAR MU-34を搭載した自作のFMアダプターと接続してみます。FMステレオ放送にはノイズもなく正常に聞くことができます。日立製以外と接続する場合は相性があるようで要注意です。TRIO AD-5と接続して正常に動作させるにはUF-1000のMPX OUTに抵抗100kΩ程度を並列に入れることで解決しました。実際に100kΩの抵抗を入れてヒヤリングすると動作は安定し、FM放送をすばらしい 音質で聴くことができました。

※2022.12.20追記 TRIO AD-5との接続トラブルは、AD-5の調整不良が原因でした。スキルの低さを痛感します。