2025/02/22

CLARION クラリオン HR-2000A 蓄音機型AM/FMラジオ

 

CLARION クラリオン HR-2000A 蓄音機型AM/FMラジオの紹介です。1988年発売で5000台限定の製品になります。本体とアンテナ線だけでプレートや元箱などはありませんでした。ラッパはネジで固定されていて見栄えだけです。音は本体前面のスピーカーからです。

 金色のドラムがダイヤル目盛りで右のハンドルでチューニングする凝った作りです。

電源はAC100Vだけです。電池でもラジオが聞けたら便利だったのにと思います。裏面にアンテナ端子がでています。

外観はきれいですがジャンク品でラジオが鳴りません。早速、修理をします。本体を持ち上げると底板がブラブラして今にも外れそうです。底板のネジが4本が外れています。修理のため開けたのでしょう。底板を外すとプリント基板のアンテナが取り付けてあるのが見えます。上の写真のようにスピーカーと本体基板を取り外せば修理できるようになります。

 
上の図は、本体基板の主要部品の動きを把握するため配置図です。これだけの内容がわかれば、おおよその故障個所は特定できるようになります。
 
 
LA1260はAM/FMチューナーシステムICです。このラジオではAM部分のみ使用しています。
C575C2はパワーアンプICで8Ω/2Wの性能です。
 1B4B41はブリッジ整流器で100V/1Aの性能です。
 
LA1185はFMフロントエンドICです。FMに重点を置いているのかLA1260を使用せずに、このICで回路を組んでいます。
動作確認をします。電源ONにしてもスピーカーからは無音で全く反応がありません。試験用電源装置の電流計を見ても全く振れず通電していません。ACコンセント、電源トランスの順に通電確認します。ACコード両端で通電はないのですが、プリント基板上では通電しています。現象が不可解で故障個所が特定できません。電源トランスを取り外して切り分けることにします。
電源トランスのハンダを取り外し中にプリントパターン切断を発見しました。AC100V入力部分のプリントパターン断です。ラジオ本体を落としたりしたのでしょうか?珍しい故障です。断線箇所はジャンパー線で修理します。電源ONにするとスピーカーからノイズが出るようになり通電出来たようです。ラジオの試験ではAMは受信NG、FMは受信OKです。
 
AMが受信NGの原因はアンテナバーの赤いリード線の断線です。これを修理してAMも受信OKになりました。劣化部品は全て交換します。 最後に受信感度を調整します。
ダイヤル目盛りとポリバリコンの位置が合わずダイヤル目盛りがどうしてもズレます。ダイヤル目盛りの歯車を外して物理的に調整します。0.9mmの極細六角ドライバーで取り外しダイヤル目盛りの受信周波数を合わせます。
 
スピーカー、プリント基板、底板を全て元に戻して完成です。このラジオは劣化部品は全て交換したので永く使えるとおもいます。実質2~3時間の作業で息抜きにはちょうど良いラジオ修理でした。