ナショナル T-50 6石トランジスタラジオの紹介です。1960年頃、7500円のラジオになります。水色のパステルカラーに金のパネルで鮮やかな印象のラジオです。電源は単三電池×4本またはACアダプター(6V)の2電源方式です。
黒いラジオ下部は電池ボックスになっていて珍しい形状です。電池ボックスはネジで簡単に外れて中はグリーンの電池ホルダで電池を固定するしくみです。
電池ボックス内のカバーを外すと上の写真のように内部のプリント基盤が見えます。両端の計4本のネジを外せば外枠ケースが取れます。この頃のラジオは小型バリコンが搭載されています。
前面ケースからプリント基板を取り外します。今では見られない大きなダイヤルツマミが印象的です。パネルからスピーカーやアンテナ端子を取り外してラジオ単体を取り出します。 本体ケースなどは水洗いして汚れやほこりを洗い流します。洗うことでラジオの手触りが全く違い触感が非常によくなります。プリント基板やスピーカーなどは丁寧にホコリを取り去ります。
このラジオを詳しく知るには、”ナショナルラジオ サービスノート”が便利です。
”ナショナルラジオ サービスノート”は販売店用の資料です。定格、マウント写真、部品リスト、配線図、プリントパターン図から構成された修理用ノートです。
特に興味深いのは配線図と実際のラジオを比較したときです。このT-50ラジオはナショナルの旧トランジスタが使われています。配線図では、Tr1:2SA102、Tr2:2SA101、Tr3:2SA101、Tr4:2SB171、Tr5&Tr6:2SB172です。実際のプリント基板には、Tr1:MC102、Tr2:MC101、Tr3:MC101、Tr4:OC71、Tr5&Tr6:2OC72のナショナル・旧トタンジスタが実装されています。
上の写真はTr4:OC71(2SB171)です。
上の写真はTr3:MC101(2SA101)です。
その他にもバリオードMA23B (バリスタ)やダイオードD1:OA70など当時の部品が使われています。
電解コンデンサはプラケースに入ったタイプで、プッシュプル出力段はオレンジ色、そのほかはグレーと色分けされています。全ての部品がオリジナルのまま保存されていました。ラジオは動作するので、貴重な部品は交換せずにこのまま残置することにします。
外側からはイヤホン端子の破損は見えましたが、取り外すと完全に二つに割れていました。イヤホン端子のプラスチックの補修をします。
もう一か所、ケースの欠けを補修します。
T-50ラジオはナショナルのトランジスタの変遷を知ることができる貴重なラジオです。”ナショナルラジオ サービスノート”と一緒にコレクションする価値のあるラジオかと思います。