2026/01/04

テープレコーダー用ストロボディスクの製作

テープ レコーダー用ストロボディスクの製作です。先日、ナショナルRQ-402やソニーTC-220Lを修理していたときの疑問です。モノラルオープンテープレコーダー 9.5cm、4.75cmはどうやって速度調整(または速度測定)をするのかということです。カセットテープレコーダーではメーカー製やネットで個人販売しているテストテープで速度測定ができます。19cm/sステレオオープンリールテープレコーダーも同様です。家庭用モノラルオープンテープレコーダー 9.5cm、4.25cmのテストテープは見たこともありません。家庭内で閉じた録音再生が前提で所有している機器の速度がマスターなのかもしれません。

SHIMPO DT-205B

前回、修理したRQ-402やTC-220Lのテープ速度は非接触型タコメーター(SHIMPO DT-205B)で測定しています。通常、テープレコーダには使わない測定方法です。

ゴム足に反射シールを貼る

上の写真ではテープレコーダーのキャプタンの上に円筒形のゴム足を被せています。その円筒形のゴム足の上に反射シールを貼ります。

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タコメーターで回線数を測定

テープレコーダーを回しながらキャプタンの円筒形にある反射シールにレーザー光を当てれば速度を簡単に測定できます。 最近は非接触型タコメーターも安価になり購入しやすくなっています。 タコメーターを使うにはキャプタンの回転数を事前に知る必要があります。 条件:RQ-402、テープ速度9.5cm/s、キャプタンの直径8mm、電源周波数50Hzとします。1秒あたりの回転数:8mm×3.14=25.13mm、3.78×60秒=227rpmとなります。 タコメーターで実測するとテープ速度9.5cm/sのとき226rpmと観測できました。

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テープ速度を測定していて思い出したのがストロボディスクです。ストロボディスクはレコードプレーヤー用が一般的です。 

テープレコーダー用 外付けストロボディスク

昭和43年 誠文堂新光社「テープ・レコードとテープ・プレーヤー」より抜粋 

上の写真は昔の雑誌から抜き出したテープレコーダー用のものです。外付けできるテープレコーダー用ストロボディスクです。実際には見たこともないレアなものです。特別な機材も必要ないので便利そうです。シビアな精度を問わない日常のテープ速度の確認用には良いかもしれません。

早速、RQ-402用9.5cm/sのストロボディスクを作成してみます。 まず最初にストロボディスクの線数を計算します。227回転÷60÷100=0.03783...となり、0.03783...×360=13.62度です。1本の線の角度が13.62度ですから、360÷13.62=26.4本/回転となります。ストロボディスクの線数は整数化して26本または52本になります。

26本と整数化(0.4本数が減っていので回転は速くなる)したことでストロボディスクの誤差は以下のとおりです。計算上は26.4本、360÷263.846…、360÷26.43.636…、1線数あたりの角度差:3.846-3.6360.21度、1回転の角度差:0.21×265.46度、誤差:5.46÷360×100+1.52%となります。

ストロボディスクの線数は26本と52本で作成してみることにしました。しかしストロボディスク作成で26本の線を描くのに苦戦しました。イラストレータなどのドローソフトは持っていませんので中途半端な角度の描画には無理があります。 試行錯誤で見つけいたのがInkscape(インクスケープ)で無料の多機能ドローソフトです。何角形でも簡単に描画できるのでストロボディスク製作に最適です。

Inkscapeを起動して新規作成画面で左端の星形/多角形ツールを選択します。1つ図形を描画します。描いた図形を選択したら、右側の”オブジェクトのプロパティ”で星形を選択、”角”を26に設定、”スポーク比”と”丸め”で描画を変形させれば完成です。

  

上の図では26本と52本のストロボディスクを3パターン作成しました。ただし歯車型は中央に白丸を後から編集して作成しています。上のテンプレートは「ヘラジカの資料室」からダウンロードできます。

左:ゴム足加工前 中央:線数26本 右:線数52本

キャプタンに取り付けるため今回はゴム足を使いました。ゴム足の径が直径8mmキャプタンに丁度良く収まります。ストロボディスクのパターンを印刷してゴム足に糊付けします。 

上の写真は26本のストロボディスクをRQ-402のキャプタンに取り付けた様子です。 

Douk Audio ストロボライト

光源にはDouk Audio 50/60Hzストロボライトを使用しました。Douk Audioストロボライトは50Hzまたは60Hzの周波数で高輝度LEDを精密に点滅させるライトです。昔から使われていた電源周波数50Hzまたは60Hzにより点滅させるネオンランプや蛍光灯に変わる現代の製品です。このライトをストロボディスクに照らすことでストロボ効果を得ることができます。

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速度がテープレコーダーの9.5cm/sに同期するとストロボディスクの模様が静止します。速度が遅いと模様が右に回転、速いと模様が左に回転します。26本の方が模様がハッキリと見やすいです。52本になるとパターンが薄く見えにくいです。これ以上の線数は実用的ではないかと思います。

ストロボディスクの模様が静止して見える

テープレコーダー用のストロボディスクの製作は思っていたより苦労しました。 ストロボディスクのパターン作成にはInkscape、ストロボライトにはDouk Audioの製品に助けてもらいました。昔だったら自作でストロボディスクのパターン作成は無理だと思います。レトロなデープレコーダーの速度測定は新しい技術に助けてもらった形でようやく完成しました。

スロトボディスクを装着した様子

家庭用モノラルオープンテープレコーダー用にストロボディスクを1個作成してみてはいかがでしょうか。愛機のテープ速度が正しいのか簡単に確認できるかと思います。

2025.1.5  ストロボライト(蛍光灯とネオンランプ)

ストロボライトはDouk Audio製品などを購入しなくても昔ながらの方法があります。

1つめの方法は蛍光灯をストロボライトとして使用します。蛍光灯は電源周波数50Hzまたは60Hzで点滅する照明です。上の写真はミニ蛍光灯でストロボディスクを照らした様子です。ストロボ効果でディスクの模様が静止していることがわかります。 

2つめの方法はネオンランプをストロボライトとして使用します。家にネオンランプなんかないと思いがちですが、どこのご家庭にもあるテーブルタップのスイッチ照明に使われています。ネオンランプはランプ切れがなくランプ交換不要という特徴を生かしてスイッチ内のランプに使われています。上の写真ではテーブルタップのスイッチ照明でディスクを照らして模様が静止している様子です。Douk Audioのストロボライト、蛍光灯、ネオンランプのどれと比較しても同じ速度でディスク模様が静止して見えます。Douk Audio製品も昔ながらの方法も同じ結果となりました。ご家庭にある身近な製品をストロボライトとして使ってみてはいかかでしょうか。 

2026/01/01

SONY ソニーTC-220L ソニオマッチクL

SONY ソニーTC-220Lの紹介です。1969年、25,800円のLL会話学習機能が付いた5号リールまで使える製品です。

説明書の回路図

取扱説明書には修理に欠かせない回路図も掲載されています。

内部の様子

SONY TC-220Lはモーター機構が強化されていて、電源トランスと一体となったACモーターを搭載しています。TC-220AのようにDCモーターとサーボ回路を搭載した複雑な機構とは異なります。ACモーターのシンプルな構造により低コストと耐久性を追求しています。ただしACモーターなのでAC電源のみです。乾電池が使えない理由でもあります。今回の機種は電源周波数50Hz対応です。60Hz地域で使用するにはモータープーリーの交換が必要なので購入時には注意が必要です。

劣化して交換した部品

れ再生時に音が出ない故障です。とりあえず劣化部品を全て交換します。

取り外した状態のフライホイール

ゴムベルトが劣化して伸びきっているので丸ベルト2mmを交換します。

ハンドルの噛み合わせの戻しが難しい

分解してからフライホイールにゴムベルトを取り付けます。ここで注意するのがハンドルの噛み合わせです。元通りに噛み合わせないと再生、早送り、巻き戻しなどでハンドルが回らなくなります。

ここで一度動作試験をして不具合を洗い出します。再生すると音が出ない故障は治りました。部品の劣化が原因でした。次に録音するとテープの元の音に新しく録音した音が重なって録音されます。テープ消去ができない故障です。

左が消去ヘッド、右が録再ヘッド

上の写真の左が消去ヘッドです。消去ヘッドの中央と赤線の端子にオシロスコープを接続して高周波発振回路のバイアス周波数を測定します。約39k㎐、32Vppの正弦波が出ています。しかし1分も経たないうちに波形レベルが徐々に下がり0Vppになってしまいます。テープ消去できない故障の原因となる現象は確認できました。バイアス周波数がないと消去も録音も出来なくなります。

上の回路図の左下が高周波発振回路です。高周波発振回路の部品を取り外して確認しながら交換をします。2SB383⇒2SB415へ交換、0.01μFを交換しましたが症状は変わりません。倍電圧整流回路のゲルマニウムダイオード SONY 1T22⇒1N34Aに交換します。録音すると10分程度は発振している時間が長くなりましたが、徐々にレベルが下がる現象は改善しません。原因は高周波発振回路の抵抗15kΩの劣化でした。15kΩ⇒16.5kΩに劣化していたので交換します。

消去ヘッドの高周波発振を確認
バイアス周波数は51.5Vpp、39.8kHzで安定して発振するようになりました。これでバイアス周波数(高周波発振回路)の修理は完了です。

次に再生時にTONEボリュームを中央より右に回すと音が歪んでしまいます。増幅回路の1段目と2段目のトランジスタを交換します。トランジスタの型番が回路図と実装では異なり2SB382⇒2SB378A、2SB381⇒2SB22になっています。2つとも2SB415に交換することでTONEボリュームの歪は解消しました。

録音、再生は良好になり残りは早送りと巻き戻しの動作です。テープの最後近くなるとリールが重くて回転しなくなります。ゴムのアイドラの接触面を清掃します。早送りと巻き戻しが元気よく回転するようになります。モーターはまだまだ健在です。これで修理作業は全て終了です。

英会話学習機能などテープレコーダーは生活に密着した身近な存在でした。今ではLL機能は使う機会もなく音楽を録音して聴くだけです。モノラルですが9.5cm/sで録音すると意外と良い音がします。TC-220Lはモーター機構がとてもタフな機種です。 50年以上経った今でも回転ムラもなく安定動作する優秀なテープレコーダーです。