2026/01/01

SONY ソニーTC-220L ソニオマッチクL

SONY ソニーTC-220Lの紹介です。1969年、25,800円のLL会話学習機能が付いた5号リールまで使える製品です。

説明書の回路図

取扱説明書には修理に欠かせない回路図も掲載されています。

内部の様子

SONY TC-220Lはモーター機構が強化されていて、電源トランスと一体となったACモーターを搭載しています。TC-220AのようにDCモーターとサーボ回路を搭載した複雑な機構とは異なります。ACモーターのシンプルな構造により低コストと耐久性を追求しています。ただしACモーターなのでAC電源のみです。乾電池が使えない理由でもあります。今回の機種は電源周波数50Hz対応です。60Hz地域で使用するにはモータープーリーの交換が必要なので購入時には注意が必要です。

劣化して交換した部品

れ再生時に音が出ない故障です。とりあえず劣化部品を全て交換します。

取り外した状態のフライホイール

ゴムベルトが劣化して伸びきっているので丸ベルト2mmを交換します。

ハンドルの噛み合わせの戻しが難しい

分解してからフライホイールにゴムベルトを取り付けます。ここで注意するのがハンドルの噛み合わせです。元通りに噛み合わせないと再生、早送り、巻き戻しなどでハンドルが回らなくなります。

ここで一度動作試験をして不具合を洗い出します。再生すると音が出ない故障は治りました。部品の劣化が原因でした。次に録音するとテープの元の音に新しく録音した音が重なって録音されます。テープ消去ができない故障です。

左が消去ヘッド、右が録再ヘッド

上の写真の左が消去ヘッドです。消去ヘッドの中央と赤線の端子にオシロスコープを接続して高周波発振回路のバイアス周波数を測定します。約39k㎐、32Vppの正弦波が出ています。しかし1分も経たないうちに波形レベルが徐々に下がり0Vppになってしまいます。テープ消去できない故障の原因となる現象は確認できました。バイアス周波数がないと消去も録音も出来なくなります。

上の回路図の左下が高周波発振回路です。高周波発振回路の部品を取り外して確認しながら交換をします。2SB383⇒2SB415へ交換、0.01μFを交換しましたが症状は変わりません。倍電圧整流回路のゲルマニウムダイオード SONY 1T22⇒1N34Aに交換します。録音すると10分程度は発振している時間が長くなりましたが、徐々にレベルが下がる現象は改善しません。原因は高周波発振回路の抵抗15kΩの劣化でした。15kΩ⇒16.5kΩに劣化していたので交換します。

消去ヘッドの高周波発振を確認
バイアス周波数は51.5Vpp、39.8kHzで安定して発振するようになりました。これでバイアス周波数(高周波発振回路)の修理は完了です。

次に再生時にTONEボリュームを中央より右に回すと音が歪んでしまいます。増幅回路の1段目と2段目のトランジスタを交換します。トランジスタの型番が回路図と実装では異なり2SB382⇒2SB378A、2SB381⇒2SB22になっています。2つとも2SB415に交換することでTONEボリュームの歪は解消しました。

録音、再生は良好になり残りは早送りと巻き戻しの動作です。テープの最後近くなるとリールが重くて回転しなくなります。ゴムのアイドラの接触面を清掃します。早送りと巻き戻しが元気よく回転するようになります。モーターはまだまだ健在です。これで修理作業は全て終了です。

英会話学習機能などテープレコーダーは生活に密着した身近な存在でした。今ではLL機能は使う機会もなく音楽を録音して聴くだけです。モノラルですが9.5cm/sで録音すると意外と良い音がします。TC-220Lはモーター機構がとてもタフな機種です。 50年以上経った今でも回転ムラもなく安定動作する優秀なテープレコーダーです。