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2025/11/22

テクニクス EAS-8HH17Gとチャージカップルド・リニア・ディフィニション

 

今回はONKYO D-202Aのためにチャージカップルド・リニア・ディフィニション技術を組み込んだ外付けツィーターの製作です。

以前、ONKYO D-202Aのコンデンサを交換して高域の音抜けが良くなり喜んでいました。しかしフルデジタルチューナーT8+DACでFM放送を聴くと、まだ高音に物足りなさを感じます。FM放送の高域は15000Hzまでです。単にスピーカーの高域の音量不足なのでしょうか。

そこで少々強引ですが外付けツィーター追加を検討しました。スーパーツィーターの様な20kHz以上の空気感がほしいわけではありません。中高域のバランス補正が目的です。好みの音のバランスに仕上げられるか楽しみです。

ONKYO D-202Aのカタログを見ると40Hz~35000Hzと再生帯域は広いです。2.5cmのソフトドームツィーターは柔らかで繊細な高音です。もう少し華やかで見通しが良いスピード感のある音が希望です。

長期保管しているツィーターは少々古いテクニクスEAS-8HH17Gです。EAS-8HH17Gは1974年、4300円/台のツィーターです。8cm口径のホーン型になります。再生帯域は2000Hz~20000Hzです。2000Hz~10000Hzは特性がフラットで10000Hz~20000Hzはダラダラと下降しています。

事前に音色確認

ツィーターの音色やスピーカーとの相性を事前に確認します。

FM放送の音声帯域15000Hz以下という事からコンデンサは仮に1.5μFとしてクロスオーバーを設定します。コンデンサ容量は好みに合わせ調整にしてください。

音圧はD-202A:94dB、EAS-8HH17G:99dBです。本来はツィーターにアッテネーターが必要かと思いますが今回はコンデンサのみ-6dB/octです。

 D-202Aとは音質が異なるホーンツィーターなので少し不安です。ヒヤリングします。

高域がサラサラして明るい音です。D-202Aのツィーターとは全く音質が違いEAS-8HH17Gとのつながりが少し不自然で別々に鳴っているように聴こえます。やや高域よりのバランスですが気持ちよく響くので聞き疲れはありません。音にキレがあり情報量もいっきに増えています。

意外にこれで十分じゃないかと思えます。EAS-8HH17がD-202Aの高域を上書きしている感じです。高域はEAS-8HH17そのものの音ですが、思っていたよりうまく鳴ってくれたようです。

 2025.11.15 チャージカップルド・リニア・ディフィニション(Charge-Coupled Linear Definition)

外付けツィーターの音が良かったので気をよくしてもうひと工夫します。

ホーン型ツィーターとの相性が良いチャージカップルド・リニア・ディフィニションのネットワーク回路に変更します。JBLでは1990年代後半頃からハイエンド・スピーカーのネットワーク回路にチャージカップルド・リニア・ディフィニション技術を採用しています。

コンデンサにDCバイアスを加えることで逆圧電効果による雑音や歪の低減とゼロクロス歪を排除して音質の透明度と解像度を向上させるネットワーク回路技術です。(1993 JBL Model K2.S5500 Product Overviewを要約)

上の図ではバッテリー式と電池不要のセルフバイアス式の2種類のチャージカップルド・リニア・ディフィニションをネットワーク回路に組み込んでいます。コンデンサは通常の2倍の容量を直列に2個並べその中点にDCバイアスを加えます。

バッテリー式ではDCバイアスに006P 9Vアルカリ電池と抵抗2MΩを使います。電池不要のセルフバイアス式では入力信号を整流してDCバイアスを得るためダイオードと抵抗10kΩを接続します。

試作品なので2種類のチャージカップルド・リニア・ディフィニションをスイッチで切替できるようにします。JBLではダイオードに1N4935(200V、1A)を使っています。

0.33Ωの抵抗(最終的には3.3Ωに調整)は、スピーカーとツィーターの音量差を整えるために入れています。あらかじめプリント基板上に仮配置しておき、最終的な値はヒヤリングで決める予定です。また、この抵抗にはレベル調整だけでなく、ネットワークのダンピングを適正化し、共振点付近のQを抑えて特性をなだらかにする効果があります。さらに、CCLDの動作とのバランスを取る役割も持っています。

※参考1:JBLのスピーカー機種名 ①バッテリー式は、K2 S5500、S3100mkⅡ、4348、4344mkⅡ、K2-S9800、DD66000、②セルフバイアス式は、4367,DD67000などです。

※参考2:チャージカップルド・リニア・ディフィニションとは関係ありませんが、バイパスコンデンサ0.01μFは高域の補正を行いレスポンスや透明感を改善します。

 1N4935(200V、1A):Amazonヘのリンク

上の写真が試作したネットワーク回路基板です。コンデンサには250V以上のESRの低いフィルムコンデンサが適しています。コンデンサは最終的に400V 3.2μF(2.2μF+1.0μF)で製作しました。(注:直列に入れる抵抗は実装前の状態)

ダイオードには耐電圧、耐電流以外に順方向電圧(VF)や漏れ電流(IR)が小さいファーストリカバリーダイオードが適している様です。

JBLはバッテリーにアルカリ電池006P 9Vを使用しています。抵抗2MΩにより約1μA(実測)の消費電流に抑制しています。電池は4年〜5年(1993 JBL Model K2.S5500 Product Overviewから抜粋)は使えるとのことです。バッテリー種別は内部抵抗が低いほどDCバイアス電源の安定性に優れていると推測します。

試作品なのでコンデンサを交換しやすいようにネットワーク回路基板は外付けにしました。2種類のチャージカップルド・リニア・ディフィニションはプリント基板のスライドスイッチで切替できます。2種類のチャージカップルド・リニア・ディフィニション搭載のツィーターをヒヤリングします。

① バッテリー式(アルカリ電池):チャージカップルド・リニア・ディフィニションをONにすると高音の伸びと音の透明感が増します。音に広がりや繊細なニュアンアスを聴くことが出来ます。スピーカーが本来持っている音質はかわりませんが、チャージカップルド・リニア・ディフィニションによる微細信号の広がりの効果がはっきりと感じられました。

②セルフバイアス式(1N4935):バッテリー式よりは音質への効果は穏やかに効く感じです。バッテリー式の方が解像度や透明感があります。バッテリー式の後に聞くと少し音の粒子が丸くなったように聴こえます。

どちらの音質が優劣なのかは決められません。音の好みにより2つの方式から選択すべきかと思います。今回はセルブバイアス式の方が音の全体のバランスが取れて好ましいです。

チャージカップルド・リニア・ディフィニションの簡単な回路で本当に効果があることに驚きます。2種類の方式それぞれに音の性質に違いがあります。本来はチャージカップルド・リニア・ディフィニションの音を含めた設計が必要なのでしょう。コストはかかりますが十分な恩恵があります。

EAS-8HH17GはD-202Aの外付けツィーターとして十分満足できる音です。

しかし音の好みがあるので万人向けではありません。

チャージカップルド・リニア・ディフィニション技術を組み込んだツィーターのヒヤリングは興味深い体験です。コンデンサのゼロクロス歪を排除してパッシブ・スピーカーの音質向上を目指した着眼点がすばらしいです。

音を決める要因全体から見れば影響は限定的ですが音質向上への確かな選択肢の一つです。ハイエンド・スピーカー以外のホームユース向けにも採用して欲しい技術です。

今回は高域に特化しましたが中低域にも効果があります。チャージカップルド・リニア・ディフィニション・ネットワーク回路の製作はスピーカー自作派にはお勧めです。

JBLのスピーカー技術の片鱗を感じるツィーターになりました。若い頃に聴こえていた音が蘇ります。

部品の入手先 

 1N4935(200V、1A):Amazonヘのリンク 

2026.1.8

チャージカップルド・リニア・ディフィニションのクロスオーバ歪などの測定データがほしいと思われることでしょう。本方式の効果は、コンデンサ誘電体の非線形やゼロクロス近傍の挙動といった微小信号領域に関わるもので、一般的なオシロスコープによる波形観測では差異を確認することは困難です。実際にオシロスコープで観測しましたが違いはわかりませんでした。 測定できるとしても THD/IMD −80 dB 以下です。聴くとわかるが測りにくい領域での話になります。そのため、今回の内容については主観のみの評価とさせていただきました。

2026.1.31 あとがき

このあとがきは、ブログを読み直しているうちに、ふと思い出したことです。

ツイーターを眺めているうちに、このツイーターには、まだ引き出されていない潜在能力があるのではないか、という気がしてきました。

外付けツイーターとして使うだけでは、結局のところ過去の焼き直しです。何とかして、このツイーターの能力を引き出せないものかと考えていました。

そんな折、オーディオ雑誌のリスニングルームの写真を眺めていると、大型スピーカーの上に、細長い乾電池のようなものが載っているのが目に入りました。

瞬間的に、JBL の CCLD(チャージカップルド・リニア・ディフィニション)を用いたネットワークではないかと思いました。これがひとつのヒントになりました。

テクニクスのツイーターを CCLD で鳴らしたら、どうなるのだろうか。

そう考え、技術資料や回路図を調べ尽くしたうえで製作に取りかかりました。

それが、このブログです。

2026.2.4   再調整

文中に、ツィーターとコンデンサの構成でのヒヤリングを事前の音色確認との項目名と一文を追記しました。

また、CCLD回路図で当初0.33Ωの抵抗は、最終的に3.3Ωに調整した旨と抵抗の役割を文中に追記しました。

2026.2.13  前提条件

ブログを読み返して実験の前提条件が抜けていましたので追記しました。

①再生機器

メディアプレーヤーはJPLAY FEMTOとAudirvana OriginをDLNAコントロールポイントとしてKS(Kernel Streaming)で動作させています。ここで注意する点はJPLAY FEMTOをASIOで動作させてもCCLDの効果は感じられませんでした。KS(Kernel Streaming)での動作のときのみCCLDの効果を感じます。CCLDの効果を得るためにはジッタの少ない純度の高い条件で動作する構成が不可欠です。

②音源

何を聴いてもCCLDの効果を感じられるわけではありません。今回は八神純子さんの「もう忘れましょう」などのスローで音の粒子が多く広がるように感じる楽曲を使用しています。CCLDの効果が判りやすい楽曲です。

③事前確認 

 ONKYO D-202A(ソフトドームツィーター)とテクニクスEAS-8HH17(ホーンツィーター)は、通常あり得ない異なる構造のツィーター同士の組み合わせです。オーディオのセオリーを敢えて無視しています。この組み合わせの目的はホーンツィーターからのみCCLDが影響する音の粒子(つたない音の表現です)が感じられるかを確認するためです。CCLD導入後の音質評価の元の音になります。ソフトドームツィーターではCCLDなどの微細信号は出にくく、CCLDの微小で繊細な音が出るのがホーンツィーターです。CCLDのテストにはホーンツィーターにだけに着目すれば良いスピーカー構成としています。

④CCLD導入の効果

CCLD 導入効果の確認においては、音そのものの良し悪しを評価対象にはしていません。

私の聴覚上の解釈では、音の粒子(微細信号)の不揃いが均一化される(ザラつきの軽減)、粒子の細分化、背景(空間の雰囲気)の明瞭化、そして粒子の広がりが感じられます。
これらが揃うことで、音楽の伝わり方に独特の快感を覚えます。
あくまで主観的な評価ですので、最終的な判断はご自身で行ってください。
以上が本実験における前提条件です。

ヒヤリングの難易度が高い作業であり、音の入口から出口まで繊細な情報を失わないよう、システム全体の構築には十分な注意を払うことをお勧めします。

CCLD は単なるネットワーク技術ではなく、微細信号を救い出すための JBL の“狂気に満ちた執念”が生んだ開発・製品化であることをご理解いただければ幸いです。

本稿の内容は、再現性や普遍性を保証するものではありません。
自作オーディオは自己責任で行ってください。 

関連ブログ 

ヘッドホン・ジャック専用バッシブ・スピーカーの製作(JBL CCLDの世界) 

Topping DX3Pro(推奨値とは異なる実装の改善) 

音の粒子の世界を別のアプローチで実現したブログです。
あわせて参考にしていただければ幸いです。

2025/01/18

Topping DX3Pro(推奨値とは異なる実装の改善)

Topping DX3Pro

Topping DX3Proは2018年発売の少々古いUSB DACの紹介です。今回はToppingDX3proユーザーさん向けに書いたブログです。本記事は製品レビューや音質評価を目的としたものではなく、DX3Proの実装を観察しデータシート上の推奨条件との違いがどのように現れているかを確認した技術的メモです。本機の性能はすでに測定限界に近く、手持ちの測定環境では有意な差を示せないため数値測定は行っていません。本稿は測定値の優劣ではなく、実装とその考え方を記録することを目的としています。

現在は、Topping DX3Proにはエーワイのアナログ電源と自作したデータ専用USBケーブルを使っています。この2つの対策でも十分に満足のいく音がでています。今回のTopping DX3Proのコンデンサ交換の紹介については海外フォーラムの事例を参考にしています。海外フォーラムの事例からはデジタル機器に対する暗黙の示唆を感じます。DX3proは本機はスペック上の性能を維持したまま、コストおよび実装面積の最適化が図られています。しかし、その最適化が聴感上の余裕や時間軸方向の安定性まで担保しているかについては検証の余地があると感じます。本機でもD/Aコンバータ周辺を含め、必ずしもチップメーカーの推奨値通りとは言えない実装が見受けられます。今回は、そうした点に着目して実装状態の確認と推奨値どおりの部品交換により音の変化を確認します。※注:ここで言う「推奨値」とは、ICメーカーのデータシートに記載された標準的・代表的な使用条件であり、必ずしも製品設計で厳守されるべき数値ではありません。

Topping DX3Pro:Amazonへのリンク

背面パネルの取り外し

早速、Topping DX3Proを分解してみます。最初に背面パネルを取り外します。アンテナのナットも取り外します。

工具による前面パネルの取り外し 

次にTopping DX3Proの前面パネルと本体ケースを連結する左右2つの六角穴付きボルトを外す必要があります。特殊な工具(軸長が16cm以上ある2mm六角ドライバー)を差し込み取り外します。私は”BONDHUS(ボンダス) 六角ループ・T-ハンドル ロング 2mm [全長:249mm 軸長:229mm ハンドル長さ:70mm]  No.46552”が安いのでAmazonで購入しました。

BONDHUS(ボンダス) 六角ループ・T-ハンドル ロング 2mm:Amazonへのリンク

プリント基板を取り出した分解写真

プリント基板

上の写真が分解した様子と取り出したプリント基板です。

DX3proV4.1:バージョンが記載

Topping DX3proのプリント基板には、DX3proV4.1とバージョンが記載されています。海外ではV2バージョンと呼ばれる製品です。

OPA1612A

RCA出力のオペアンプにはOPA1612Aが実装されています。

AK4493S周辺の実装

AK4493Sアナログ出力とOPアンプ入力の間は電解コンデンサが採用されています。

ヘッドホン用オペアンプ:TPA6120A
ヘッドホン用オペアンプはTPA6120Aです。V1バージョンのOPA2140の方が音が良いと人気のようです。

次に部品交換する箇所について説明します。

D/Aコンバータ AK4493Sの回路

上の図はD/Aコンバータ AK4493Sのdatasheetからの抜粋です。AK4493Sアナログ出力とOPアンプ入力の間には100μF×4(赤丸印)のコンデンサ容量が推奨されています。AK4493Sの出力段のカップリングコンデンサを推奨値に増やすことで、低域のカットオフ周波数が下がり、位相特性や低音の厚みが改善される可能性があります。

推奨値とは異なる電解コンデンサ

実際のプリント基板を見ると推奨値とは異なる47μFのニチコンFG電解コンデンサです。

D/Aコンバータ AK4493Sの回路 

次に、これもD/Aコンバータ AK4493Sのdatasheetからの抜粋です。アナログ電源1.8Vに10μF×1、アナログ電源5.0Vに10μF×2、基準電圧5.0Vに470μF×2のコンデンサ容量が推奨されています。この実装もメーカー推奨値ではありませんでした。基準電圧(VREF)周辺の容量不足を補うことは、DACの変換精度やノイズ耐性に直結するため、音の「時間軸方向の安定性(ジッター感の低減)」や「見通しの良さ」に寄与します。

これらの推奨値とは異なる部品はコストダウンの痕跡またはサイズダウンなどによるものと推測します。

交換対象の電解コンデンサ

交換対象のチップコンデンサ

実際には、アナログ電源1.8Vに10μF×1、アナログ電源5.0Vに10μF×2、基準電圧5.0Vに100μF×2が実装されています。

対象箇所と推奨値と実装値、変更値

上の表に実装とメーカー推奨値を表にまとめてみました。アナログ出力のコンデンサは47μFと小さく推奨値どおりの100μF(6.3V)へ変更します。アナログ電源は推奨値と実装が同じですが、100μF(6.3V)に容量を増やして改善します。基準電圧5.0Vには470μFと大容量が推奨されていることから、かなり重要な基準電圧のようです。実装では100μFと1/4以下の小さな容量です。手持ちの部品から一番容量の大きな220μF(10V)へ変更します。最初にD/Aコンバータ AK4493Sの電源部強化の実施です。

交換用チップコンデンサ

上の写真が交換部品のチップコンデンサです。一番上が100μF(6.3V)、下2段が220μF(10V)です。

チップコンデンサを交換した様子

交換対象のチップコンデンサを取り外します。ホットピンセットがあれば作業は楽なのですが2本のはんだゴテで取り外します。チップコンデンサの両端に少しハンダを追加すればハンダが溶けて簡単に取り外せます。次に上の写真のように全てのチップコンデンサを取り付けて完成です。チップコンデンサ交換後の動作は良好です。電源部強化までで一度ヒヤリングしてみます。交換前のTopping DX3Proは少し高域よりのバランスです。チップコンデンサ交換により全体的に音の重心が下がり深みのある音質に変化しました。高域はややキラキラした印象でしたがシルクタッチできめ細やかな音に変わります。たったこれだけのチップコンデンサ交換で音に大きな影響があることに驚きます。

交換対象の電解コンデンサ

残りはAK4493Sアナログ出力とOPアンプ入力の間のカップリング用電解コンデンサ47μFを100μFに置き換えです。ニチコンMUSE ESへの置き換えが評価された例が多くあり、帯域と透明感の改善を期待して47μFのFGから100μFのMUSE ESに置き換えてみました。ただし、ケースに接触しないように隅の2個はやむなく横に寝せて実装します。

交換後のMUSE ES・電解コンデンサ

次はカップリング・コンデンサ交換後は1日以上のエージングが必要です。最初のころは音に霞がかかりぼんやりした不明瞭な音がします。エージングが終了したらヒヤリングです。いままでより透明感があり豊かで深みのある音です。ほんの少しベールのように薄い膜が1枚あるような音でエッジが取れて少し丸なって聴こえます。この音の傾向が長所か欠点かは個人の好みの世界です。どちらにしても音のグレードは向上します。Topping DX3proは高音がきれいで抜けのいい音がしますが低音がやや薄く不満でした。低域を補強することにはじゃうぶんに出来たようです。これらの変化は、本機・本個体を自分の使用環境で聴いた限りでの印象であり、他の製品や条件で同様の結果が得られるとは限りませんのご注意ください。

Topping DX3ProのD/Aコンバーター周辺部品をメーカー推奨値に変更する試みは海外フォーラムを参考にしています。 今回は取り組み易く根拠があり納得できるものに限定しました。海外フォーラムではOPアンプを交換する筋金入りのマニアも多く、大いに盛り上がっています。性能や測定したデータに基づき議論するフォーラムなどもあります。中国製のオーディオ機器は安価で高性能なので利用者が多く、フォーラムが盛況な理由かもしれません。今回は日本語圏のサイトでは事例が少ないのでご紹介しました。作業は楽しかったですが参考になりましたでしょうか。ただし、改造は自己責任でお願い致します。

本記事はDX3Proをそのまま使うことを否定するものではなく、実装という観点から既製品を眺め直した一例として記録したものです。メーカーのスペックはノイズと正弦波を破綻なく出力できる最低限度の再現性を示しているだけと考えています。また、スペックは製品の性能保証で音質を保証するものではありません。今回のようなコンデンサ交換が影響するような領域は、波形として直接観測できるものではなく、せいぜいノイズの影響差を観測できるかどうかだと思います。そのため、測定データがなにもかかわず部品交換により音質差があるという主観に基づいた評価としました。

2025.2.15  エージング

Topping DX3Proを使いこんだことで、バランスもよく豊かで奥行きのある音ができるようになりました。前回、ほんの少しベールのように薄い膜が1枚ありましたがエージングでその影響もなくなったように聴こえます。

2025.12.3  ツマミのチャタリング

Topping DX3Proのツマミはプラスチックで貧弱です。感触も良くありません。最悪なのはボリュームを調整するたびに回転させた最後に数値が後戻りします。

ツマミをアルミ製に交換
 アルミ無垢のツマミに交換するとボリュームの動作が安定します。完璧な動作ではありませんが回転した最後のボリューム数値の戻りは減少します。アルミのツマミの重さで最後の1クリックを確実に回転させることができます。アルミ無垢の重さのあるツマミへの交換をお勧めします。

2026.2.18  微細信号(音の粒子)への対策

スピーカーのネットワーク回路にCCLDを採用したことから、USB DACに微細信号への対策をしました。AK4493Sアナログ出力は、MUSE ES 100μFに交換したことで中低音の厚みと繊細な音が出せるようになっていますが、まだ音の粒子への対策は不十分かと思います。
粒子の再生が苦手な電解コンデンサをフィルムコンデンサに変えたいのですが、フィルムコンデンサは大きく物理的に無理です。そのため、100μF電解コンデンサに並列で0.1μF/500Vのポリプロピレン・フィルムコンデンサを使用します。CCLDでは微細信号の初期条件が重要であり、誘電体の安定性が高い 高耐圧ポリプロピレン・フィルムコンデンサ(0.1µF/500V)が特に有効でした。
プリント基板の裏側に0.1μF×6個を実装
プリント基板の上面に0.1μF×2個を実装
上の写真の様に、USB DACのプリント基板とケース間は5mmと狭く取り付けが難しいです。計8個の0.1μFを実装しました。 
 
0.1µFを並列に実装したUSB DACのヒヤリングです。
高音のザラつきはなくなり滑らかな音質、低域も締まって弾む感じです。粒子は全体にいっきに広がっています。全体に明るくなりつやが出ています。
予想を超えるの音質への影響です。スピーカーからでる音の粒子の広がりは素晴らしいです。CCLDの効果がより一層引き立ちます。スピーカーがCCLDで進化したので、USB DACも進化する必要があったみたいです。
ニアスピーカーに変えてヒヤリングをします。粒子が大きく広がり、ニアスピーカーとは思えません。何を聞いても広がった粒子を聴くことが出来ます。

今の願いは、ただひとつです。こんな危険な改造をしなくてもすむように、アナログ出力のボトルネックが根本から改善された製品が、一日でも早く世に出ることを願っています。

 

前提条件(USB DACの利用環境)

USB DACは以下の前提条件下で動作させます。この条件は微細信号(音の粒子)の再生に大きな影響を与えます。

①USBケーブル

USBケーブルの両端で電源線を切断してあるUSBデータ専用ケーブルを使用しています。

②アナログ電源

USB DACの電源にはエーワイ電子のアナログ電源装置を使用しています。 

③メディアプレーヤー

JPLAY FEMTOをKS(Kernel Streaming)、Audirvana Origin(またはupplay)をDLNAコントロールポイントで動作させています。

 

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ヘッドホン・ジャック専用バッシブ・スピーカーの製作(JBL CCLDの世界)

2024/12/01

ヘッドホン・ジャック専用バッシブ・スピーカーの製作(JBL CCLDの世界)

1980年頃、夜間に小音量で音楽を楽しむためのマイクロスピーカーが密かなブームでした。代表的なスピーカーにはテクニクス:SB-F01やLo-D:HS-01などがあります。当時、深夜のFM放送ジェット・ストリームを聴くのにピッタリの製品でした。

今回は、YUPITERU:SP-5Hのジャンク品を入手しました。このマイクロスピーカーを流用してテクニクス:SB-F01風の音に改造してみたいと思います。

上の写真のYUPITERU:SP-5Hは形状やスペックが全く同じであることからLo-D:HS-01のOEM製品(たぶん1981年、10,000円の製品)ではないかと思います。ジャンク品は故障していて左右スピーカーからの音は出ませんでした。

上の写真が分解した様子です。出力3Wのフルレンジ50mm口径のスピーカーが目を引きます。22Ωのハイインピーダンスはイヤホンジャックのインピーダンスに合わせるためです。スピーカーBOXは鉄製の枠組みでスピーカーを防磁しています。スピーカーBOXはアルミ製の丈夫な作りで幅68x高さ88x奥行58mm、重量は550gと大きさの割には重たいです。

イヤホンジャック用入力の22Ω:3W、スピーカー端子入力の100Ω:70Wと2系統の入力端子を持っています。スピーカー端子の穴は小さく太いケーブルは接続できません。イヤホンジャック端子を接続するとスピーカー端子側は切断される仕組みです。

スピーカーのコイルからの銅線で編んだ引き出し線が劣化して断線しています。前オーナーさんがハンダ修理した形跡が残っています。引き出し線全体が錆びてボロボロで修理はできそうにありません。まだ使えそうなスピーカーBOXが惜しいです。3W・22Ωのスピーカーは入手不可能で代用品はありません。50mm・8Ωなら入手できますが、それでは普通のミニ・スピーカーと同じでSP-5Hの個性もなくなり改悪です。

そこでテクニクス:SB-F01をヒントにSP-5Hにヘッドホン用スピーカーを搭載してみることにしました。なお、Technics SB-F01 はヘッドホン端子からの駆動を前提としたスピーカーで、今回製作するスピーカーの構成はその系譜にあります。

BOSE QuietComforeの交換用スピーカー(中国製の正規品ではなく互換品だと思います)32Ω・20mWを使用します。このスピーカーと交換してテクニクス:SB-F01風の音になるか試してみたいと思います。

BOSE QuietComforeの交換用スピーカー:Amazonヘノリンク 

YUPITERU:SP-5Hは50mmスピーカーです。交換用スピーカーは40mmで口径補正用のバッフルが必要です。はんだ線のボビンを利用してバッフル2個を製作します。バッフルの内径は40mmよりほんのわずか小さくします。バッフルをネジとボンドで固定します。

最後にスピーカーはボンドでカチカチになるようにバッフルと接着します。半日から1日程度、ボンドが乾くのを待ちます。最後に配線すればYUPITERU:SP-5H(改)の完成です。

出来上がったスピーカーの入力対応はヘッドホン・ジャック出力のみとします。ヘッドホン用スピーカーなので最大出力は30mW程度です。アンプのスピーカー端子と接続しないのは、ちょっとしたノイズや衝撃音でスピーカーが破損するのを回避するためです。

今回はUSB DAC:Topping DX3proのヘッドホン・ジャック出力(最大1500mW)と接続してヒヤリングします。非常に繊細な音質です。一音一音の分解性能は高く中高域が美しく響きます。弦楽器の響きが特に美しいです。音の定位も明確で奥行きなどの空間表現にも優れています。当然、包み込むような低音はでませんし、音のスケール感は小さくなります。少し高音の粗さが気になります。夜間のリスニング用ニアスピーカーとしては十分な音量です。通常のスピーカーとは全く異なる音です。

本家のテクニクス:SB-F01と比較してヒヤリングしてみます。中高域がきめ細かいシルクタッチで上品な音質です。SB-F01はややおとなしいですが繊細で奥行のある音です。YUPITERU:SP-5H(改)はクリアで明るい音色で音が前面に出てきます。個人的にはSP-H5(改)の高音の伸びと透明感やメリハリのある音が好きです。陽気で元気の良いスピーカーに仕上がりました。

テクニクス:SB-F01は、いつの間にか忘れ去られた80年代のスピーカーです。「真夜中のささやき」のフレーズを思い出させるSP-5H(改)です。

ヘッドホン用スピーカーを搭載したスピーカー製作は参考になったでしょうか。高品質で小音量のニア・スピーカーは深夜に自分だけの特別な空間を提供してくれます。

2024.12.2

YUPITERU:SP-5H(改)は新品のスピーカーのためエージングが必要だった様です。高域の粗さがとれて優しくきめ細かい高音に変化しました。

2025.1.25

YUPITERU:SP-5H(改)は、使い込んでみると想像以上に良いスピーカーです。独特のクリアで澄み切った音は夜間のリスニングには欠かせないアイテムとなりました。 

2026.1.31 最後に

今回の製作ではヘンドホン用ユニットを使うなんて乱暴なことをすると思った方もいたかと思います。ブログに登場するテクニクス:SB-F01がまさにヘンドホン用ユニットを採用した製品です。また、SB-F01は商業的には成功した製品ではありませんが、オーディオ評論家の瀬川冬樹氏が使用していたことで知られています。このブログは、その前例を参考に製作したスピーカーの再現です。

2026.2.9  製作の意図

ニアフィールド専用スピーカーは30cm〜80cmぐらいの距離で聴くスピーカーです。低音はでませんが、立ち上がりのよい、クリアで定位の良い音が特徴です。

今回は、オープンエア型ヘッドホンの延長上にあるスピーカーを作ることです。

SB-F01はスピーカーボックスも大きく、ほんの僅かですがボックスの内容積とスピーカーとボックスの連結強度が音に影響していると感じられます。

今回のSP-5Hのボックスはより小さく内容積の空気の影響はほぼなさそうです。ボックスは分厚い金属ですから箱鳴りはありません。そして、スピーカーとボックスは高硬度のボンドで完全に固定することで余分な振動を排除します。これらのことは、ヘッドホンの製作と同じ考え方かと思います。

そして音質は、スピーカーが持つ本来の個性がダイレクトに伝わる構成となります。

以上、ニアフィールド専用スピーカーをどんな考え方で製作したをご説明させて頂きました。

2026.2.14  JBL CCLDの世界

このニアスピーカーの製作は、JBL CCLDに通じる目的があります。音の粒子の世界をスピーカーで実現することです。JPLAY FEMTOをKS(Kernel Streaming)で動作させて、USB DACからイヤホンやヘッドホンで聴くと音の粒子の世界を聴くことができます。このニアスピーカーはUSB DACに直接接続して音の粒子の世界を再生することを目的としたスピーカーです。

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