SONY ソニーTC-220Lの紹介です。1969年、25,800円のLL会話学習機能が付いた5号リールまで使える製品です。
| 説明書の回路図 |
取扱説明書には修理に欠かせない回路図も掲載されています。
| 内部の様子 |
SONY TC-220Lはモーター機構が強化されていて、電源トランスと一体となったACモーターを搭載しています。TC-220AのようにDCモーターとサーボ回路を搭載した複雑な機構とは異なります。ACモーターのシンプルな構造により低コストと耐久性を追求しています。ただしACモーターなのでAC電源のみです。乾電池が使えない理由でもあります。今回の機種は電源周波数50Hz対応です。60Hz地域で使用するにはモータープーリーの交換が必要なので購入時には注意が必要です。
| 劣化して交換した部品 |
れ再生時に音が出ない故障です。とりあえず劣化部品を全て交換します。
| 取り外した状態のフライホイール |
ゴムベルトが劣化して伸びきっているので丸ベルト2mmを交換します。
| ハンドルの噛み合わせの戻しが難しい |
分解してからフライホイールにゴムベルトを取り付けます。ここで注意するのがハンドルの噛み合わせです。元通りに噛み合わせないと再生、早送り、巻き戻しなどでハンドルが回らなくなります。
ここで一度動作試験をして不具合を洗い出します。再生すると音が出ない故障は治りました。部品の劣化が原因でした。次に録音するとテープの元の音に新しく録音した音が重なって録音されます。テープ消去ができない故障です。
| 左が消去ヘッド、右が録再ヘッド |
上の写真の左が消去ヘッドです。消去ヘッドの中央と赤線の端子にオシロスコープを接続して高周波発振回路のバイアス周波数を測定します。約39k㎐、32Vppの正弦波が出ています。しかし1分も経たないうちに波形レベルが徐々に下がり0Vppになってしまいます。テープ消去できない故障の原因となる現象は確認できました。バイアス周波数がないと消去も録音も出来なくなります。
上の回路図の左下が高周波発振回路です。高周波発振回路の部品を取り外して確認しながら交換をします。2SB383⇒2SB415へ交換、0.01μFを交換しましたが症状は変わりません。倍電圧整流回路のゲルマニウムダイオード SONY 1T22⇒1N34Aに交換します。録音すると10分程度は発振している時間が長くなりましたが、徐々にレベルが下がる現象は改善しません。原因は高周波発振回路の抵抗15kΩの劣化でした。15kΩ⇒16.5kΩに劣化していたので交換します。
| 消去ヘッドの高周波発振を確認 |
録音、再生は良好になり残りは早送りと巻き戻しの動作です。テープの最後近くなるとリールが重くて回転しなくなります。ゴムのアイドラの接触面を清掃します。早送りと巻き戻しが元気よく回転するようになります。モーターはまだまだ健在です。これで修理作業は全て終了です。
英会話学習機能などテープレコーダーは生活に密着した身近な存在でした。今ではLL機能は使う機会もなく音楽を録音して聴くだけです。モノラルですが9.5cm/sで録音すると意外と良い音がします。TC-220Lはモーター機構がとてもタフな機種です。 50年以上経った今でも回転ムラもなく安定動作する優秀なテープレコーダーです。
