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2026/07/12

電子ブロック SR-3A 50年越しの理解

1.概要

電子ブロックSR-3A(100回路)

電子ブロックSR-3A(100回路)は、電子ブロック機器製造株式会社製で1969年、5,700円で販売されたものです。 

2.レコードプレーヤーアンプ

(1)違和感 

昔、SR‑3Aで遊んでいた小学生の私が、唯一実験できなかった回路があります。 「3石レコードプレーヤーアンプ」です。当時の家庭にはレコードプレーヤーがない家も多く、私の家も例外ではありません。だからこそ、この回路だけは“触れられない未来”の象徴のように見えていました。そして「ラジオやテープレコーダーを接続するアンプでもいいのに何でわざわざレコードプレーヤーなんだろう」と疑問に思っていました。

そんな昔の疑問は時代と共にすっかり忘れて、SR-100回路集を見ていると「3石レコードプレーヤーアンプ」が目に止まりました。クリスタルピックアップのレコードブレーヤーのアンプです。

3石レコードプレーヤーアンプの実体図

レコードのRIAA補正の簡易版として、入力がハインピーダンスのアンプ回路だと思っていました。 しかし実体図を見ると入力インピーダンスは16.8kΩでそんなに高くありません。ハイインピーダンスで高域を落としてレコードを補正する単純な仕組みではないようです。何かおかしいです。

(2)RIAA特性

レコードのもつRIAA特性はイコラーザで補正しますが、以下の主な3つで定義されています。

・低域(50Hz以下):ブースト(+6dB/oct)

・中域(500Hz~2kHz):ほぼ平坦

・高域(2kHz以上):減衰(-6dB/oct)

この特性を前提にすると、電子ブロックの回路がどこまでレコード再生を意識していたのかが見えてきます。   

(3)電子ブロックの簡易イコライザー 

3石レコードプレーヤーアンプ回路図
回路集の回路図に抵抗やコンンデンサ、トランジスタの型番や数値を落とし込んでみました。

ベースとコレクタ間をよくみると、直接250kΩ、0.005μF+47kΩ+250kΩ、0.005μF+0.01μFの3種類の帰還になっていることがわかります。

電子ブロックの簡易イコライザー回路は、ベースとコレクタ間の帰還(NFB)経路が周波数によって以下のように読み替えることができます。

・低域(50Hz以下):0.005μF+47kΩ+250kΩ

・中域(500Hz~2kHz):直接250kΩ

・高域(2kHz以上):0.005μF+0.01μF

子供向け電子玩具に抵抗1本で済むハイインピーダンス回路で胡麻化さずに簡易イコライザーを搭載しています。子供には判らない内容なのに敢えて本格的な回路構成です。どれだけ真剣に電子ブロックを開発したのか、今になってわかりました。 

後のST-100では「レコードプレーヤーアンプ」は姿を消しています。メーカー側も子供の実験教材として無理があると判断したものと思います。また、SR-3Aは用途別のアンプですがST-100からは方式別のアンプとなり、電子玩具から電子教材へと変遷しています。

3.フラットな特性のアンプ

折角なのでチューナーやDACを接続して電子ブロックの素の音質を確認してみます。簡易イコライザーを外してフラットな周波数特性のアンプに組みなおします。

(1)RIAA補正(イコライザーあり)

RIAA補正(イコライザーあり)の基板

比較参考するためRIAA補正のあるレコードプレーヤーアンプを電子ブロックで組んだ基板の様子です。 SR-3Aにはピンジャックの部品もないため自作しました。

(2)フラットな特性(イコライザーなし) 

フラットな特性(イコライザーなし) の基板

DACやチューナーを接続するために、RIAA補正回路を外してフラットな特性のアンプに組みなおした様子です。

(3)ヒアリング

ヒアリング風景

・RIAA補正(イコライザーあり)

中低音がまったく出ない、ハイ上がりの音です。高音が耳について聞きづらい音です。当然ですが。

・フラットな特性(イコライザーなし) 

初段のトランジスタまわりの抵抗を変えて一番歪の少ない回路にしてみました。  

(条件) 

DAC(Topping DX3pro)から電子ブロックへの出力は-28dB 

初段の帰還抵抗は6.8kΩ

ベースとアース間は16.8kΩから47kΩへ変更

エミッタとアース間は10Ωから330Ωへ変更

中間トランスは反転させて出力段の利得を下げています 

2Wayスピーカーは8cmウーファー、2cmソフトドームツィーターでバスレフ構造

この条件で基板×2セットによるステレオでのヒアリングとします。

低音が全くでないハイ上がりの音がします。音がやせて聞こえ、洞窟に入ったようなエコー感があります。ハイ上がりの影響なのかノイズ感があります。

思っていたよりずっと音が悪いです。想像以上に良くないので原因がないか思案しました。

各部の定数を改めて見直してみます。初段トランジスタの出力側カップリングコンデンサは30μF、ボリュームの出力側には10μFです。しかし、ピンジャクからのカップリングコンデンサは0.05μFです。入口のカップリングコンデンサ0.05μFで低域を大幅にカットしてるのが原因です。

・カップリングコンデンサ 0.05μFから1μFへ変更

0.05μFを1μFに交換した様子
セラミックコンデンサ0.05μFを1μFのオーディオ用電解コンデンサに交換します。実装は電解コンデンサの足を直接基板に刺します。

明らかに中低音が大幅に増えて音のバランスが良くなります。奥行は深く定位も良好です。ノイズ感はなく、小型スピーカーによる音楽鑑賞でも十分なパワーがあります。気持ちよく音楽を聴くことが出来る音です。DACとの接続ですがクリアでハイスピードの音はでません。あくまで、ほどほどの帯域でバランスよく聴かせるアンプです。

不思議なのですが、このフラットアンプは昔のラジカセの音がします。何故かなつかしく、ほっとする音がします。 

・参考:回路定数変更一覧表 

回路定数変更一覧表
 4.まとめ 

SR‑3Aが発売された当時、電子技術は明るい未来を切り開く力を持つと誰もが信じていました。

テレビをつければ、漫画は鉄腕アトム、エイトマン、スーパージェッター、宇宙少年ソラン、海外ドラマは宇宙大作戦(スタートレック)、宇宙家族ロビンソン、サンダーバード、原子力潜水艦シービュー号、世相的には大阪万博、アポロ11号など未来科学や夢満載の環境でした。子供の私には、その未来の技術と夢の一部を電子ブロックに見たのかもしれません。自分が手にすることができる未来の技術と夢です。

オーディオ文化が成熟期を迎えた時代でもあり、電子ブロックに「3石レコードプレーヤーアンプ」が組み込まれたのは、技術者自身の情熱と時代の希望が重なった結果だったのでしょう。子供向け教材でありながら、本物の回路をそのまま縮小して渡そうとした――そんな自由と夢が許された時代でした。

電子ブロックは、未来を信じていた時代の空気そのものです。50年越しに理解できたのは、回路の仕組みではなく、 あの頃の日本が抱いていた“技術への憧れ”だったのかもしれません。 

5.電解コンデンサ・ブロックの作成 2026.7.13

カップリングコンデンサ1μFは電解コンデンサの足を基板に直接刺しています。見栄えが悪いので、ジャンクの余剰ブロックを使い作成してみました。

作成した1μF電解コンデンサ・ブロック
上の写真のように出来上がりました。

作成した1μFを基板に実装した様子

基板に1μFを実装するとスッキリした配線になります。1μF電解コンデンサ・ブロックは昔からあったような顔をして鎮座しています。 

6.50年越しのヒアリング 2026.7.17

クリスタルカートリッジが入手できました。これで電子ブロックでレコードが聞くことが出来ます。

クリスタルカートリッジNC-202

ナガオカ(長岡精機宝石工業株式会社)のNC-202を使用します。 リード線をカートリッジ側のコネクタに変更して、専用マウンタでカートリッジをシェルに取り付けました。

NC-202でレコードを聴く
クリスタルカートリッジはセラミックカートリッジに比べ繊細な音質で出力もやや高めです。電子ブロックで聴くレコードの音が楽しみです。

クリスタルカートリッジでヒアリング
・0.05μF+付属スピーカー

カップリングコンデンサはオリジナルの0.05μFと付属スピーカーでヒアリングします。

付属スピーカーは箱に入っていないため、音の厚みが出ずにハイあがりの音です。低音は出ています。何かエコーのような響きがあり音の奥行を感じさせます。この音は電子ブロックのラジオに通じ同じ音がします。 

・1μF+付属スピーカー

明らかに中低音に厚みが増して、音の重心が下がります。しかし、まだ高域よりの音であることに変わりはありません。何かエコーのような響きがあり音の奥行を感じさせます。全体の音がマイルドになっています。1μFのほうが音のバランスが良くなります。

・0.05μF+2Wayスピーカー 

ハイあがりの音ですが高域の音の抜けが良く開放感があります。それなりに中低音も出ています。エコーのような響きは少ないですが奥行は良好です。

・1μF+2Wayスピーカー
高域があざやかな音質です。やや高域よりのバランスですが中低音もでています。 奥行もでています。1μFのほうが音のバランスが良くなります。

ノイズですが、レコードプレーヤーのモーターや電源ノイズなどが混入します。そのため、各基盤からアースをとって対策したところ良好になりました。 

0.05μF+付属スピーカーによるレコード音は電子ブロックのラジオの音と同じだったんです。「そうか、こんな音がしたんだ」が感想です。当時、レコードの音聴いていも違和感なかったかと思います。1μFを入れて音質を良くしてみましたが、電子ブロックは音質じゃなかったです。自分で作った回路の音が聞きたかったんだと気が付きました。

・参考(規格 :ナガオカ ステレオ クリスタルカートリッジNC-202 )

エレメント:クリスタル

周波数範囲:40~15,000c/s

感度:0.8V(1000c/s50mm/sec)

セパレーション:15dB(1000c/s)

チャンネルバランス:3dB(1000c/s)

コンプライアンス:0.7×10^-6cm/dyne

負荷抵抗:1~2MΩ

針圧:6gr

針先:ST.LP-0.7mil SP-3.0mil

取付寸法: EIA.JIS

2025/07/12

ゲルマニウムラジオ用アクティブ・アンテナの製作

ゲルマニウムラジオ用アクティブ・アンテナをご紹介します。近頃はゲルマニウムラジオや鉱石ラジオを製作する機会が多くなりました。自宅は電波環境が悪く、かなりしっかりした鉱石ラジオ用のアンテナとアースが必要です。ラシオを製作するたびにアンテナとアースを用意するのが面倒なので、テスト用アクティブ・アンテナを製作してみました。

上の構成により電波の弱い地域でもゲルマニウムラジオが聞けるようにしたいと思います。 この構成は真空管時代の古典ラジオの高周波増幅+検波器の回路構成と同じ発想かもしれません。ゲルマニウムラジオのリード線の先に仮想的な「強電界の空」をつないだ事になります。今回の製作はゲルマニウムラジオ用の「強電界の空」の再現です。

今回は手元にあるループアンテナ(TECSUN AN-200)を使います。AN-200は場所を取らずどこでも持ち運べます。しかし自宅ではTECSUN AN-200だけでは電波が弱くゲルマニウムラジオや鉱石ラジオで受信することが出来ませんでした。

TECSUN AN-200:Amazonへのリンク 

アンテナブースター基板
高周波増幅(ブースター)には「ループアンテナ100kHz-30kHz中波短波用ブースター基板」を使います。安価なキット製品ですが十分に使えそうなので早速注文します。

送られて来たブースターキットはビニール袋に上の写真の部品が入っているだけです。説明書はありません。販売ページのプリント基板の部品配置の写真を参考に組みたてます。

カードケースに収めたブースター基板

組み立てたプリント基板はカードケースに入れて、ループアンテナ入力にはミニジャック、ゲルマニウムラジオのアンテナへの出力にはRCA端子を付加しました。元々あるループアンテナ接続用ネジはそのまま残しておきます。

アンテナブースター基板 結線図
上の図はアンテナブースター基板の結線図です。ブースターとゲルマニウムラジオを接続します。

アンテナ、ブースター、ラジオを結線した様子

ゲルマニウムラジオには電子ブロックSRを使用し、電波強度の確認用に50μAの電流計を追加してあります。結線はAN-200とアンテナブースターをピンジャックで接続し、アンテナブースターの出力をゲルマニウムラジオのアンテナとアースにワニグチクリップで接続します。この構成ではアースを接続しないと受信できませんでした。

アンテナブースターのボリュームは最大にします。AN-200にはポリバリコンが内蔵されておりループアンテナにアンテナチューナーの機能も搭載されています。AN-200のツマミを左いっぱいでAM放送の下限、右いっぱいでAM放送の上限と想定して、受信したい放送局のおおよその位置にツマミを調整しておきます。最後にゲルマニウムラジオで放送局を受信します。受信できたらAN-200とラジオの双方で最大の音量になるように調整すれば終了です。

受信音量が最大のとき、電流計を見ると上の写真では2μA(前回の測定では12μA)と読むことができます。平均して2~5μAです。期待していた程大きな電流ではありません。しかし弱電界地域ですが立派に受信できていることがわかります。電流計の数値が最大でもアンテナブースターでは雑音も同時に増幅されるのでラジオ放送の音が大きな時に読み取ります。電流計の振れ幅はゲルマニウムラジオの抵抗値もしくはブースターのボリュームを変更することで増減させることができるので、お住まいの電波強度に合わせて変更してください。

ループアンテナ用ブースターとAN-200の組合せによる簡単な工作です。弱電界地域でのゲルマニウムラジオ・テスト用アンテナとして十分な性能です。弱電界地域でゲルマニウムラジオや鉱石ラジオ、鉱石検波器などの工作を断念せざるを得なかった方には特にお勧めかと思います。 今回製作したループアンテナ用ブースターとAN-200は「強電界の空」の再現です。ゲルマニウムラジオに「強電界の空」をつなげてラジオを楽しんで頂けたら幸いです。

2026.1.12 電子ブロックSR:1石アンテナブースター

ゲルマニウムラジオに電子ブロックSRをつかいました。折角なので電子ブロックSRで1石アンテナブースターを作成しました。

トランジスター:2SA353

手元にある電子ブロックSRのトランジスタには2SA353が使われています。ラジオの初段に使う高周波用です。この2SA353を1石アンテナブースターに利用します。

1石アンテナブースター回路図

上の図が1石アンテナブースターの簡単な回路図です。

電子ブロックによる1石アンテナブースター

上の写真は電子ブロックSRによる1石アンテナブースターを組み立てた様子です。ブロック部品間の配線が短くなるようにブロックを密に組み合わせています。

アンテナ、ブースター、ラジオ間を配線
ブースターとラジオ間はリード線1本

左は1石アンテナブースター、右はゲルマニウムラジオの順に並べてあります。1石アンテナブースターとゲルマニウムラジオ間はブースターの0.01μFからリード線1本でラジオのアンテナにそっと接続しています。 

今回作成したブースターは基板タイプよりゲインはとれませんが十分に役割を果たしてくれます。アンテナブースター基板よりQが改善しました。音量が低くなるため電流計は取り外しています。

古い電子ブロックSRですがいまだ現役で活躍してくれます。電子ブロックをお持ちの方はアンテナブースターを作成できますのでチャレンジしてみてください。 

2026.1.17 ゲルマニウムラジオ・アンテナ用インピーダンス変換プラグの製作

アンテナブースター基板を使ってのモヤモヤ感が晴れません。電子ブロックSRの1石アンテナブースターでQが改善したことがヒントになりました。

ゲルマニウムラジオに1石アンテナブースターで高インピーダンスで接続したことがQ改善の原因です。インピーダンス整合にハタと気がつきました。

アンテナブースター基板の出力インピーダンスは50Ω。方やゲルマニウムラジオの同調回路の入力インピーダンスは数kΩ~数十kΩです。インピーダンス不整合でも無理やりゲルマニウムラジオを鳴らしているように感じます。

アンテナブースター50Ωとゲルマニウムラジオ数十kΩのインピーダンス整合をするため変換プラグを作成してみました。

75Ω:300Ωインピーダンス変換プラグ
分解した変換プラグのフェライトコアの様子
上の写真の75Ω/300Ωインピーダンス変換プラグを使用します。分解するとフェライトコアにコイルが巻かれているのが見えます。

75Ω:300Ω変換プラグの回路図

上の図は市販のインピーダンス変換プラグの回路図です。巻線比1:2で75Ω:300Ωに変換しています。この300Ω側のコイルを巻きなおしてインピーダンス変換プラグを作成します。

50Ω:20kΩ変換プラグの回路図

実際に0.06mmのエナメル線を手に取ってみると、フェライトコアに20回巻くのが精神的にも物理的にも限界に近いことが分かります。そのため、これ以上の巻線比は現実的ではないと判断し、手巻きで可能な限界値として「20回」を製作目標に設定しました。

この場合、巻線比は1:20となり、ゲルマニウムラジオ側のインピーダンスは以下の計算通り20kΩとなります。

Z = 50 \times (20/1)^2 = 50×400 = 20kΩ

今回のインピーダンス変換プラグ(マッチングトランス)は、この50Ω:20kΩの設計で製作しています。

50Ω:20kΩ、巻線比1:20の完成した様子

フェライトコアには2つの穴があり、それぞれ20回エナメル線を巻き付けます。上の写真では0.06mmのエナメル線を使って作成しています。高インピーダンスレシーバー用の0.06mm極細を代用したので、もう少し太い線でも作成は可能です。

完成した変換プラグと使用した0.06mm極細線
上の写真が完成したゲルマニウムラジオ・アンテナ用インピーダンス変換プラグです。他のプラグと識別できるように青の収縮チューブを被せています。また、上の写真は使用した0.06mm極細のエナメル線です。 

インピーダンス変換プラグを入れた結線図

上の図はインピーダンス変換プラグ(マッチングトランス)を入れた結線図です。インピーダンス変換プラグの50Ω側をアンテナブースターと接続、20kΩ側はゲルマニウムラジオに接続します。ただし、ゲルマニウムラジオのアース側へは接続せずに片線だけを同調回路と接続する構成とします。アンテナブースターとゲルマニウムラジオの同調回路のインピーダンスを整合させることで理論上は感度が上がるはずです。

フースター基板に変換アダプターを接続

簡単な事前チェックでは感度は上がっていることが確認できました。 

構成別動作確認一覧
上の表が、アンテナブースター基板、1石アンテナブースター、アンテナブースター基板と変換アダプタの3つの構成で確認しました。同じ日時、同じ環境で試験しています。

① アンテナブースター基板:ゲルマニウムラジオは鳴りましたが音量は小(小さすぎるほどではありません)、電流は2~5μA、ラジオのQは低いです。ブースター基板とゲルマニウムラジオ間のアースを接続しないとラジオが鳴りませんでした。ブースター基板の出力インピーダンスが50Ωと低いことが原因かと思います。

② 1石アンテナブースター:1石ブースターとゲルマニウムラジオ間のアースを接続しないほうが感度が良いです。音量は小、電流は2μA、ラジオのQは中程度になります。

③  アンテナブースター基板+インピダンス変換アダプター:インピーダンス変換アダプターとゲルマニウムラジオ間の「アースあり」「アースなし」の2つのパターンを確認しています。

・アースあり:音量は大、電流値は10~20μA、ラジオのQは中程度です。

・アースなし:音量は大(今回の一番の音量)、電流値は20~30μA、ラジオのQは中程度です。

以上が構成別の試験結果です。ノイズに関しては音量と比例して増減しているため優劣はありませんでした。アンテナブースター基板はインピーダンス整合(変換アダプタ)も一緒に製作したほうが良いとの結果です。意外にも1石アンテナブースターの出力インピーダンスは数kΩあるためラジオのQが良かったみたいです。

ゲルマニウムラジオの同調回路とのインピーダンス整合がラジオの受信性能に大きな影響を与えることを如実に表す結果となりました。測定した本人が一番驚いています。 今回は仮想的な「強電界の空」の再現がテーマでしたが、ゲルマニウムラジオの奥深さを改めて知る機会となりました。

2026.4.22 あとがき

今回は、衝動的に強電界の空を机の上で実現したいとの思いだけで始めました。子供の頃、ゲルマニウムラジオを持って近所を走り回っていた記憶があり、強電界の空のイメージは東京の青空です。この実験は、机の上に子供の頃の東京の青空を再現するための試行錯誤の記録です。

・後編ブログ 

ゲルマニウムラジオの基礎の基礎

 部品の入手先 

ループアンテナ AN-200:Amazonへのリンク

銅線ポリウレタンエナメル0.06mm:Amazonへのリンク

アンテナ変換プラグ75Ω:300Ω:Amazonへのリンク

2024/11/04

後編:電子ブロックSRとFMステレオパーツ

電子ブロックSRとFMステレオパーツの紹介です。前回はFMラジオ用IC TDA7000をチューナーブロックに組み込んでFMパーツを製作しました。しかし、FMラジオはモノラルです。FM放送はやはりステレオで聞きたいです。今回は電子ブロックSRと組み合わせて使えるFMステレオパーツを製作します。子供のころは夢だった電子ブロックSRによるFMステレオ放送の再生です。

FMラジオ用IC TDA7000:Amazonへのリンク 

FMラジオをステレオで聞くために、いろいろ検討しましたがアナログ回路の小型化が難しく自作を諦めてDSPラジオ・キットを組み込むことにしました。候補としては、上の写真のEQKIT(左側)とHEX3653(右側)のDSP FMラジオ・キットの2つです。

 DSPラジオ・キットHEX3653:Amazonへのリンク

この2つのキットのプリント基板の大きさなら電子ブロックSRの電池ブロックに搭載できるかもしれません。プリント基板の大きさを比較すると、EQKIT(左側)は縦30mm×横55mm、HEX3653(右側)縦28mm×横55mmの大きさいです。電池ブロックは、縦26mm×横58mmなので入りません。プリント基板のパターンを見るとEQKITはプリント基板の隅までギッシリ配線していますが、HEX3653は数ミリの余裕があります。

HEX3653のプリント基板をヤスリで削って実装できるか試してみます。限界まで削ったところ、ギリギリ電池ブロックの一番奥に実装できるようになりました。

電池ブロックに穴あけをします。タクトスイッチ用の穴あけです。HEX3653のタクトスイッチのボタンは5mmの高さがありプリント基板を奥に実装できれば直接スイッチを押すことでができます。プリント基板を固定するためのネジ穴を2つ確保しました。

電池ブロックの上からタクトスイッチを押せるようにするため、背の高い部品(イヤホンジャック、電解コンデンサ、トランジスタ、セレクタピン)はプリント基板の表面には実装しません。また、発光ダイオードを小型のものに変更しました。

プリント基板の裏面には、イヤホンジャック、電解コンデンサ、トランジスタ、セレクタピンを実装します。この状態で電池をつなぎイヤホンで動作確認をします。やや受信感度が弱いですが動作は良好でした。

電池ブロックにプリント基板を入れて配線します。 電子ブロックなので006P(9V)で動作するように3.3Vの簡単な定電圧回路(ツェナーダイードと抵抗)を組み込みます。参考までに、このラジオ基板は、1.8V~3.6V、26mAで動作します。 

完成したFMステレオパーツです。

完成したFMステレオパーツをクリスタルイヤホンで試聴します。電源をONするとホワイトノイズが聞こえます。SEEKボタンを押すとチッチッ・・・と選局する音が聞こえます。FM放送の受信も良好で動作も安定しています。外部アンテナを接続しましたが300Ωより75Ωの方が受信感度が高かったです。

FMステレオパーツと電子ブロックのアンプを接続するとラジオが受信できたり出来なかったりと状態が不安定になります。FMステレオパーツのアンテナ線材をスズメッキ線で最短ルートに変更することでて受信状態が改善しました。

FMステレオパーツのセパレーションを測定してみました。セパレーションは約10dBほどです。

次にFMステレオパーツでスピーカーを正常に鳴らす方法を2つご紹介します。HEX3653のインピーダンスは32Ωイヤホン用です。スピーカー(8Ω)を接続すれば小出力で鳴らすことができます。しかし32Ω定格に8Ω接続では4倍の電流が流れるため無理があり故障の原因になります。そのため、下記の2つのどちらかで対策する必要があります。

【接続方法①】FMステレオパーツの出力端子に68Ωを入れる方法です。HEX3653のインピーダンス32Ωより高い抵抗値ですが、この抵抗値以上でないとFMステレオパーツの電源がON/OFF出来ません。定電圧回路を組み込んだことが原因かと思います。低インピーダンス8Ωのスピーカー接続ありと接続なしによる消費電流の変動で給電電圧が動作範囲を超えたためです。

上の写真は、出力端子に68Ωを組み込んだ様子です。

上の写真は改良したFMステレオパーツに電子ブロックの8Ωスピーカーを接続した様子です。定格より低い8Ωスピーカーの接続や出力端子がショートしても故障することはありません。音はやや小さくなりますが十分な音量です。

 

【接続方法②】FMステレオパーツの出力をアンプに接続してスピーカーで聞く方法です。アンプ入力側でインピーダンスを整合させます。FMステレオパーツの出力端子に68Ωがなくても正常に動作します。今回は電子ブロックSRのレコードプレーヤー・スピーカー式アンプを2セット使用します。ただし、FMステレオパーツの出力レベルが大きすぎるため、3石アンプの初段のトランジスタ回路は省略して2石アンプに回路変更します。前回のTDA7000のFMパーツに使ったアンプより高性能で出力も大きくとれます。音質が良いので2Wayスピーカーを使用しました。

 

次に左右の入力とスピーカーの極性を合わせ、音量を揃えてヒヤリングします。高域が鮮やかに伸びた透明感のある音です。奥行きもありバランスも良好です。ノイズ感はなくクリアなFM放送です。パワーがあり音に余裕が感じられます。クラッシク音楽やジャズの放送を聴きましたが鑑賞に耐えうる音です。電子ブロックSRのアンプが良い音だとは知りませんでした。音だけ聴いたら電子ブロックだとはわかりません。

我が家にある電子ブロック×3セットを生かせないかとFMステレオパーツを製作しました。小型なDSPラジオの性能に驚きを隠せません。昔のFMラジオの製作とは隔世の感があります。また、電子ブロックで良い音が出せることに50年経ってようやく気づき、いい意味で刺激の多い製作でした。今回の電子ブロックSR用のFMステレオパーツ製作が皆様の参考になれば幸いです。

2024.11.3 トランジスタ故障

電子ブロックでアンプを組みましたが、サッーとホワイトノイズが混入します。増幅はするがノイズがでる故障です。トランジスタを1個交換したら良好です。AMラジオでは気が付かないノイズだったかもしれません。

2026.1.30 前編:電子ブロックSR用FMパーツの製作(TDA7000) 

前編:電子ブロックSR用FMパーツの製作(TDA7000)では、FM用IC TDM7000によるFMラジオを製作しています。電子ブロックSRの機能を拡張する製作記事です。合わせてお読みいただければと思います。

 

部品の入手先 

FMラジオ用IC TDA7000:Amazonへのリンク

DSPラジオ・キットHEX3653:Amazonへのリンク