Technics ST-S6 クオーツ・シンセサイザー FM/AMチューナー 1981年 59,800円の製品です。初期のシンセサイザー・チューナーですが、操作はとても使いやすく機能的にも完成された製品です。私が永年愛用しているシンセサイザー・チューナーです。
シンセサイザー・チューナーでは、めずらしく4CHマルチ出力の端子が装備されています。Technics ST-S5以上の上位機種もしくはONKYO Integra T-410DGにしかこの端子を装備したシンセサイザー・チューナーを見つけることができませんでした。(他にもあるかもしれませんが私は知りません)
愛用していたTechnics ST-S6ですが先日故障して、quartz lookのランプが不規則に点滅して音声も同時に途切れる症状が出始めました。シンセサイザー・チューナーは修理経験もなく直せるかわかりませんが、とりあえず中を覗いて見ることにしました。上のカバーを外し、全面パネルの下と両脇のネジをはずします。背面のRCA端子盤のネジとアンテナ部のネジ、プリント基板固定のネジをはずせば、プリント基板を裏返すことができます。非常にメンテナンスしやすい作りになっています。
まず最初に見つけた故障は、スーパーキャパシター(電気二重層コンデンサ)Gold Cap 1.8V 3.3F×3個から液が染み出ていました。このままだとチャネル・メモリを保持できなくなります。そこで交換部品として高さ28mmで同じ電圧と容量を探しますが見つかりません。この製品ではスーパーキャパシターを直列にして使用しています。3個・直列で合計5.4V 1.1Fで使用しています。同じ電圧と容量を2個で構成できるようなスーパーキャパシターを探しました。高さ20mm 2.7V 5.0F×2個を直列で使うと合計5.4V 2.5Fとなるのでこれを購入しました。
上の写真が実装した様子です。裏の配線で2個のスーパーキャパシターを直列にします。次に見つけた故障はプリント基板の表面が熱で泡立っている箇所です。よく見ると電解コンデンサのハンダも溶けて劣化しています。電源回路の電解コンデンサー不良が疑われます。電源回路の電解コンデンサーを取外すと、プリント基板が焼け焦げたり液が染み出していました。想像以上にひどい状態です。この電源回路にはヒューズはなく、ヒューズ抵抗で過電流を防止するしくみのようです。このまま使い続けたらヒューズ抵抗が溶断するところでした。上の写真では、電源回路の電解コンデンサーはすべて交換してあります。この状態でテストしてみます。まだquartz lookのランプは不規則に点滅します。点滅する頻度は少なくなりましたが根本的な原因は解決していません。ただし、FM放送などの音質は透明度が増し交換前より品質がよくなりました。