2022/01/02

PIONEER TX-50 AM/FMチューナー(ステレオ・ランプの修理)

 PIONEER TX-50 FM/AMチューナー 1969年 24,000円、プリメインアンプSA-50とペアになる製品です。この後発売されるTX-50Aは垢ぬけたイメージですが、私はTX-50の何となく哀愁を帯びたレトロなパネルが好きです。

レトロなデザインのPIONEER TX-50

PIONEER TX-50は海外ではTX-500の型番で発売されていました。写真はTX-500の回路図になります。電圧仕様により、いろいろなTUNER UNITがあるようですが回路そのものは同じなのでこれを修理の参考資料にしています。

症状:ステレオランプが点灯しない:ステレオランプが点灯しないのでLEDが切れていないかを確認します。LEDはOKなので、次に19kHz パイロット信号検出用の同調コイルを回してみます。同調コイルを回してもステレオランプ点灯しません。同調回路で19kHz パイロット信号を検出できないようです。

PIONEER TX-50の内部を見る
 ここで私は大変な失敗をしました。同調回路のコイルとコンデンサを基盤から取り外して確認しようとしました。あろうことか、同調コイルのリード線のはんだの残りで基板に引かかりリード線ごと破損してコイルを断線させてしまいました。修理どころかステレオランプ点灯は絶望的な状況です。普通は同調コイルの部品交換ですが、この時代に可変コイル20mHなんて売っている気がしません。今時、同調コイルを使う人がいるとしてもFMラジオを自作する数少ない貴重な技術者だけです。ネット通販で探しますがやっぱり見つかりません。修理は絶望的です。修理を諦めてから数日たって、もしかしたらと思うのは川崎や横浜ににあるサトー電気です。他のお店では見つからない古いラジオ部品を多く取り扱っています。ホームページがあるので部品を探すと奇跡的に20mHの同調コイルが販売されてました。20mH大量入荷?と書いてあります。誰が使うのか疑問ですが交換部品が見つかり早速注文しました。
パイロット信号を検出するための20mH同調コイル

 これが20mHの同調コイルです。

PIONEER TX-50の20mH同調コイルを交換

 チューナー基板に実装します。手前左側が交換した同調コイルです。同調コイルを回しますがやっぱりステレオランプが点灯しません。うまく19kHzに同調できないようです。

コンデンサを追加した様子

 そこで、同調周波数を再計算してコイルではなくコンデンサ側の容量を220pfほど増やしてみました。再度、同調コイルを回すとステレオランプ点灯するようになり成功です。最初からコンデンサ追加で様子をみればよかったとしきりに反省しています。

 今回は自分のミスで冷や汗をかく事態に陥り、たまたま見つかった部品に助けてもらった修理でした。