2022/05/28

TRIO トリオ 真空管MA・FMマルチ・ステレオチューナー AFX-3

TRIO トリオ 真空管MA・FMマルチ・ステレオチューナー AFX-3を手に入れました。1963年頃の販売で価格は27800円の製品です。この頃になるとMPX機能を内蔵してFMステレオを出力できるチューナーへと進化しています。前面には連続可変のAFCコントロール(弱い電波の局の選局時、接近する強い電波の局がAFCの作用により引き込まれるのを防ぎ、適度にAFCをかける)、ビーム・インジケーター(マジックアイ)EM84によるFMステレオ・インジケーターの表示、ノイズ・フィルター機能が搭載されているのが特徴です。また、3連バリコンが採用されていますので、混信妨害やS/Nもそこそこの性能が期待でき、質の良いステレオ放送を聞くことができるFMチューナーです。

背面にはフェライト・バーが採用されていてAMの受信環境に合わせフェライト・バーの角度を変えることができとても便利です。

修理のために回路図は無線と実験 1964年5月号に掲載されていました。これで事前準備は万全です。

今回は冒険してAC電源コードが切断された AFX-3を購入してみました。オークションでAC電源コードが切断された製品を見ることがあるかと思います。製品の通電確認時に発熱・煙・音などの異常があり電源投入には危険が伴うと判断されると暗黙のルールでAC電源コードは切断して危険であることを知らせます。 経験則としてAC電源コードが切断されたトランジスタ製品の場合は内部に大きなダメージがあることが多いので購入することはありません。また、この当時のTRIOの製品には電源部にヒューズがないものが多く、故障には気がつかず部品の損傷に至ることがあるので要注意です。今回のような真空管製品だと電源投入から真空管が温まるまでの時間があり回路へのダメージが少ないうちに電源断できるので損傷は小さいとの期待値で購入してみました。

内部配線や部品類に異常がないかを入念に目視により確認します。

電源トランス117Vに接続された電解コンデンサが見事に破裂しているのを発見、側面が焼け焦げていますので劣化して内部ショートしたようです。それともう1つ電解コンデンサに小さな破裂がありました。このチューナーに通電した人は電解コンデンサの破裂音と煙を見て、躊躇なくAC電源コードを切断したのだと思います。ただし、今回の故障個所が電源トランス出力部だったのが非常にラッキーで、この個所なら他の回路に影響はほとんどないかと思います。 

TRIOのチューナーはダイヤル目盛りのガラス板の両端を金物で固定しているので、取り外しが簡単で非常にありがたい作りになっています。ダイヤル目盛りのガラス板の両端がゴム製で固定している場合はゴムが劣化して取り外したら最後で修復が難しいものが多いのですが、TRIOの製品は細部まで良く考えて作られています。固定金物からダイヤル目盛りのガラス板を取り外して清掃します。そのほか、前面パネルにはサビが出ていますので研磨してアクリルスプレーで保護します。

 背面から見るとシャーシとアンテナ支持金物にひどいサビが出ています。

シャーシとアンテナ支持金物にサビ止め塗装して補修すると見違えるようにきれいになります。外観の補修はこれくらいにして、次に回路の修理作業を始めます。

このFMチューナーは部品点数が多いですが劣化部品はすべて交換します。交換作業中に抵抗68kΩが内部で断線しているのを見つけたのでこれも交換します。抵抗の表面の色がわずかに焼けたように変色しているので、触ったところリード線がグラグラして内部で断線していました。見た目にはつながっているように見えるわかりにくい故障が早期に発見できたことで修理作業がひとつ楽になりました。また、糸掛けが黒い糸でめずらしいですが滑ってうまく選局できませんので久しぶりに糸の張替をしました。最後にリードタイプのヒューズボックスを取り付けて交換作業は終了です。

電源装置に接続して一瞬だけチューナーに通電します。電流計は0.7Aで安定しました。電源関係で大きなトラブルはなさそうなので、各箇所で電圧を測定して異常がないか確認します。

FMアンテナを接続して受信確認をします。受信感度はまずまずですがトラッキングがズレているの調整します。ビーム・インジケーター(マジックアイ)EM84による表示も写真のとおり正常に動作しました。

ステレオ装置に接続してFM放送のヒヤリングをすると変調したような歪んだ発振音が聞こえました。そこで、プリント基板のMPX回路に半固定抵抗がありましたので、これを調整して音出しは正常となりました。とても良い音です。次に我が家のAM電波環境はあまり良くありませんが、それなりに受信できるので調整してすべての作業は終了です。

ラジオ機器を修理していていつも思うのですが、民放のAM放送は2028年に廃止されワイドFMへ移行してしまいラジオを作る楽しみが大きく損なわれるのが残念です。AMラジオは製作が容易で入門には最適なので残念です。今回はACコードが切断されたチューナー修理でしたが、大きな損傷もない機器でいつもの修理と同じで無事終了できました。個人的に気に入っているTRIO初期型ステレオチューナーの名機AFX-3の修理は、何回やっても時を忘れさせてくれます。

2022/05/25

LEAD FMチューナー・ケース・キット(2022.5.6:修理完了)

LEAD FMチューナー・ケース・キットを使ったFMチューナー(ジャンク)を購入してみました。LEAD FMチューナー・ケース・キットは1963年頃の雑誌に製作記事が掲載されています。普通の人はLEADケースを使ったラジオは絶対に買いません。自作ですから回路も不明で配線の手直しもすごく大変なのが最初からわかるからです。私の場合は以前よりLEAD FMチューナー・ケース・キットに興味があったので購入したしだいです。キットですが、ちゃんとFMチューナーらしい面構えになっているのに感心します。左のダイヤル:OFF VOLUMEと書いてありますが、電源スイッチだけでボリュームではないようです。中央ダイヤル:AFC.SWのダイヤルがどうしてないのかが不安にさせます。

背面はOUTPUT端子(モノラル)とアンテナと電源コード(私が取り外しました)になります。

 LEAD FMチューナー・ケース・キットは、ナショナル FMワイヤード・パック FM-P1を搭載していて簡単にFMチューナーを製作できるように配慮されています。ただし、FM-P1にはAFC機能はないので6BA6などで回路を別に付加する必要があります。真空管は6AQ8、6BA6×2、6AU6、6AL5で構成されています。また、コンパクトなケースに2連バリコンを搭載してますが2連バリコンでは混信妨害に弱くS/Nもあまりよくありません。このFMチューナーは欲張らずほどほどの性能ですが、誰が製作しても同じ性能を発揮できることに重点をおいたキット製品であることがわかります。

このFMチューナーはナショナル FMワイヤード・パック FM-P1の説明書に掲載された回路例を参考にしているようです。上の写真がナショナルの回路例です。

ただし、電源部では6X4ではなくてFUJIDENKIのセレン整流器×2ケ、ボリュームなし、AFC回路なしの3箇所が回路例と違っていました。 私はFM-P1の説明書と「FMステレオ製作読本:1963年」を参考に修理したいと思います。「FMステレオ製作読本」には実体配線図もあり配線回しや抵抗の数値が若干違うなどの情報が助かります。

配線を見ると電源部で電圧を下げるのに苦労したのかワット数が大きい抵抗が発熱で劣化して被覆がはがれたり焼け焦げています。やはり、ナショナルの回路例のように6X4を使った電源回路の方がよさそうです。

まず最初にケースをグレーの塗装にして、つまみ部分の銅板をみがきアクリルスプレーします。まずはチューナーらしい雰囲気づくりからです。全体的に汚れてくすんだ色でしたが光沢のある真新しい雰囲気によみがえりました。

次に全体にサビが出ているシャーシもサビ止め塗料を塗ると見違えるようにきれいになります。また、トランスもサビや塗装が盛り上がっている部分を剥がし、艶消し黒で再塗装したことで全体がいい雰囲気に仕上がりました。ナショナル FMワイヤード・パック FM-P1のクッションゴムは固く劣化していたので付替えしてあります。電源部は6X4で作り直すつもりでしたが、5Vもののトランスだったので5MK9としました。ただし、トランスの出力電圧が250Vなので整流後の電圧をかなりさげる必要があります。劣化部品は交換することにしました。また、ボリューム500kΩスイッチ付きとAFC機能、ヒューズ・フォルダーが省略されているので追加します。

 2022.5.22 今日の作業はここまでとし、後日残りの作業をしたいと思います。 

2022.6.5 作業再開です。まずは電源部からです。

上の写真が今回の電源回路(電圧は実測値、電流値は予測値)で搭載されていたトランスは5Vものなので5MK9で電源回路を組みます。しかし、トランスの出力電圧が250Vもあり、電源回路の整流後の出力電圧は115Vまで下げる必要があります。このチューナーの製作者さんも出力電圧を下げるのに苦労したのだと思います。トランスの出力電圧を下げるには電源回路の抵抗で調整する前に電源トランスの110V端子にAC100Vを入れてみます。トランスの250V端子をテスターで測ると約200Vとなり50Vほど下げることができました。110V端子を使い電源回路の整流回路の出力で約30mA流れると想定すると3KΩで回路図の電圧115Vのところ計算値では110Vになります。実際の回路では手持ちのメタルクラッド3.6KΩ(手持ち部品なので50WもありもっとちいさなW数でOKです)で製作するので115Vのところ計算値では92Vになりますが後に実測して確認します。

 

上の写真が電源回路になります。リード型ヒューズ・ボックス(左端)、スイッチ付ボリューム(左側)、AFCスイッチ(中央)、メタルクラッド:金色(右側)になります。

上中央の白いソケットが6BA6でAFC回路を作り込みます。また、「FMステレオ製作読本」を参考にヒーターチョーク(中央下)を入れてみました。
配線ではラグ板×3枚で込み入った配線を整理し、パスコンのアース位置を変えて手直ししました。

修理も終わり電源まわりを確認して火入れです。電源を入れると約0.42Aながれ、電源回路の出力電圧は約100V(計算値では92V)で正常のようです。本来、回路図では115Vのところが100Vですが動作すると思います。

モニターをつなぎラジオ放送を選局しますが音が何も出ません。ナショナル FMワイヤード・パック FM-P1のIFTやコイルの調整用ネジがいじられているようです。調整用ネジを固定する白い塗料が本来の位置にありません。そこで、すべての調整用ネジを白い塗料の位置におおよそあわせてみました。もう一度、選局してますとFM放送が聞こえてきました。受信感度を上げる仮の調整をしたところ普通に使える程度には調整できました。受信感度は高く良好なので細かな調整は別途とします。

LEADのケースには、ダイヤルスケールの裏側にランプ用の穴が4つあり照明できるようになっています。このケースには電源ランプがないので動作しているかわかりにくいので、ジャンク品のE10ソケットをつけてランプで照明してみました。

 
電源を入れるときれいなパネル照明でいい雰囲気です。LEAD FMチューナー・ケース・キットの製作を過去に遡っての追体験で非常にたのしい時間を過ごせました。LEADキットと「FMステレオ製作読本」を見ていると、昔に戻ったような感覚でまた沼にはまりそうです。

2022/05/21

upplayとAudirvana(JPLAY FEMOTOの音楽プレーヤ)

私のステレオ装置ではJPLAY FEMTOを使っている関係から音楽プレーヤーとしてDLNA control pointのupplay1.4.1を採用しています。upplay Windows版の最新バージョンは1.4.10になります。

以前はTuneBrowserとJPLAY FEMOT ASIOの組合せで音楽を再生していました。しかし、JPLAY FEMTOカーネルストリーミング(KS)とupplayの組合せのほうが一聴して一皮むけた鮮烈な音楽を聞かせてくれるのでこの構成となりました。 TuneBrowserも音質改善されて十分に良い音なんですが、ASIOからカーネルストリーミング(KS)に変更しましたが音の良さにもう元に戻れなくなりました。また、JPLAYもJPLAY FEMTOになりインストール後の設定も簡単でupplayもインストールすればすぐに利用できます。今まで散々苦労していたのにあまりに簡単な設定で高音質を再生できるので、あっけにとられた程です。もうこれ以上はいらないんじゃないかと思えたほどです。(2024.12.10:USB DACはToppingDX3proに更改しました)

Windowsでupplayの優先度の設定も必要不可欠です。Windowsタスクマネージャー>詳細>upplay.exeを選択し、右クリックで優先度の選定>リアルタイムを選択します。この設定によりupplayがよりクリアな音質にアップグレードされます。私のヒヤリングでは再生時の音の不安定さがなくなり、音全体が引き締まった印象を受けました。

upplayの設定できる機能は非常に少ないです。また設定画面の日本語直訳を掲載します。 

upplayで聞く音楽には大変満足していますがupplayにも長所と短所があります。

長所は①大容量(試し読みで10万曲)の音楽ファイルを取り込める、②JPLAY FEMTOと組合せで高音質、③かんたんな操作感、④安価(5ユーロ以上)、⑤インストールすればすぐに使える等になります。

短所は①アルバム名表示の文字数が少なく文字切れする、②時々アルバム・ジャケットが表示できなくなる(JPLAY FEMTOを再インストールすると回復する)、③誤操作しやすい(右クリックで”Send to palylist"をクリックして再生したいアルバムを選択して読み込みを誤って複数アルバムの入ったフォルダを選択して大量のデータを読み込みしばらくプレーヤーが使えないことがある)、④アルバム情報で常時表示できない項目(アルバムの年など)など多々あります。

それでもupplayを使う理由はこの高音質であれば必要最低限度の機能と各種の欠点があっても十分妥協できるからです。2019年頃からupplayを使用していますが満足して利用しています。upplayのプアな機能で我慢できるのであればおすすめの音楽プレーヤーだと思います。歳で耳が悪くなったせいなのか普通に昔の音楽を聴いても昔と同じには聞こえてきません。高音質で音楽を聴くと若いころに聞いた音が蘇ってくるんです。私にとってupplayは毎日の生活に必要な一部になっています。

2023.8.16 Upplay 1.6.4

Upplay 1.6.4にアップグレードしました。数日快適に使用していましたがmp3が再生できないことに気づきました。

 
mp3のアルバムを読み込ませると、”upplay some tracks could not be loaded : no compatible audio format”の警告が出ます。アルバムリスト表示されるのですが再生できません。FLACフォーマットは正常に読み込み再生できます。upplayの公式サイトなどを参考にしますが、同じメッセージの事例はありましたが原因は違うようです。
 
upplayの設定は”Preferences”しかありません。Preferencesの設定を確認していると”Do not check track formats against renderer capabilities”という項目が目にとまりました。直訳すると”レンダラーの機能に対してトラック フォーマットをチェックしない”です。mp3などのフォーマットを確認せずに読み込ませるようです。チェックを入れでmp3アルバムを読み込ませたところ正常に読み込めました。思わぬところでトラブルに見舞われました。お同じ現象で困っている方は参考にしてください。
2023.12.20 upplay 1.7.1
upplay 1.7.1にアップデートしていました。動作は良好です。

2024.6. 16 Audirvana Origin

過去にAudirvanaの無料トライアルを試しましたが、操作性や文字化けなど基本的な機能がダメで導入を断念した経緯があります。その後、何度トライしても音は良いのですが動作や操作性に我慢出来ませんでした。先日、Audirvana Originをようやく購入しました。カーネルストリーミング機能を標準搭載していますので、JPLAY FEMTOと組み合わせた音楽プレーヤとして使います。

フォルダ・ツリーによる楽曲の表示もできるようになったので非常に便利です。楽曲数が数万あっても音楽を聴きながら読み込みが終わります。動作や操作性への影響が少ないところが良いです。Audirvana Originは動作が安定し操作性が格段に改善されているようです。

さっそくAudirvana Originのヒヤリングをします。音の粒子が非常に細かくなり音楽が静寂の中から立ち上がって聴こえます。なるほど、皆さんが絶賛しているが良くわかります。upplayで聞くより音が繊細で静寂性がワンランクもツーランクも上がっています。試験的にUSBケーブルを交換してみました。音がケーブル交換に敏感に反応するのには驚きます。簡易なオーディオ・システムではAudirvanaの実力を出し切れないかもしれません。良質な音と高い購入価格です。コスパをどう捉えるかはリスナーさんしだいです。ただし、Audirvana Originの無料トライアルを聴いてしまった私は誘惑には勝てず購入させてもらいました。

2024.10.22 upplay 1.7.7

upplay1.7.7にバージョンアップしています。upplayは起動時に大量の音楽ファイルを読み込むのに時間がかかります。 1.7.7では短時間で音楽ファイルの読込みが終了してすばやく起動できるようになっていました。また、音質もアップしているのでしょうか、今までよりクリアな音質で再生されているように聴こえます。

2025.1.25 upplay 1.8.0

upplay 1.8.0にバージョンアップしましたが、直ぐに1.8.1にバージョンアップされていました。入れ替えのタイミングが悪かったです。1.8.0を使っていますがアルバムアートの表示しない不具合がありますので1.8.1にすぐに変更になったのでしょう。次回のバージョンアップで対応します。

2025.2.14 Audirvana Origin 2.5.20

Audirvana Originも2.5.20 までバージョンアップしました。最近、音質が変わったような気がします。透明感があり抜けの良い音はするのですが、深みのある音がしなくなりました。音楽を聴いても深い感動が伝わってきません。気のせいでしょうか。upplayの方が音に深みや奥行があります。すぐに、2.5.21にバージョンアップしました。音質は密かに元に戻っていました。

2025.4.21 upplay 1.9.6

upplay 1.9.6にバージョンアップしました。早速インストールしましたが起動しません。upplay1.8.2にダウングレードしても起動しません。upplay1.8.0にすると起動します。思い当たる節がないのでメールで問い合わせしたところ、「Microsoft C++ 再頒布可能ランタイムライブラリ」が必要との回答です。Microsoft C++ 再頒布可能ランタイムライブラリとupplay1.9.6をインストールします。何事もなかったように正常に起動するようになりました。迅速なサポートに感謝です。使用感ですが、なんだか前より安定感があり深みのある音質にグレードが上がっているように聴こえます。特に低音がかなり下まで出るようになったようです。気のせいでしょうか。

2025.4.22 upplay Windowsダウンロードページに下記の注意が追記されました。

”I need to fix the setup file, but, for now, you can download and install vc_redist.x86.exe from the following Microsoft support page”

和訳:セットアップファイルを修正する必要がありますが、今のところは、次の場所からvc_redist.x86.exeをダウンロードしてインストールできます。マイクロソフトサポートページ”

2022/05/17

PIONEER 真空管 AM/FMチューナー TX-40

PIONEER 真空管 AM/FMチューナー TX-40です。1966年頃の製品で、比較的コンパクトなチューナーで前面は4mm〜10mmの削り出しアルミパネルに両端から枠用のアルミをねじ止めする贅沢なつくりになっています。レベルメーター、ステレオランプとダイヤル目盛りのガラス板の両端からランプ照明するつくりになっています。

真空管は6CG7,6AQ8×2,6AV6,6BA6,6AU6,6BE6の7球で構成されています。 2連バリコンを採用していますが混信妨害に弱くS/Nもあまりよくありません。3連バリコンにしてもらえたら良いチューナになったと思いますので非常にもったいない製品です。

背面にはAMアンテナバーがあり、動かすことでAM放送の受信時に威力を発揮します。

TX-40の情報はラジオ技術1966年11月号で「パイオニアTX-40 AM/FM MPX AUTOステレオ・チューナ」で回路図も含め詳しく解説されています。また、この製品はTX-400の型番で輸出もされていたようです。写真はTX-400の回路図でTX-40と比較しましたが同じ構成となっています。今回はTX-400の回路図があるので修理するのに本当に助かりました。


 内部の配線を見ると電源部のフィルムコンデンサの表面に油が流れたような跡があり過電流の傾向がありそうです。また、このままでは電源を入れるのは危険なようです。

また、MPX部では49mHのインダクターが2つに割れているのを見つけました。修理は電源部などの劣化部品の交換から始めることにしました。

写真は部品交換が完了した内部配線です。この修理によりAM/FMとも受信できるようになりました。ただし、AMは受信感度も低くトラッキングもずれていたので再調整、FMはトラッキングがずれていたので調整して良好となりました。今回の修理ではTX-50をもっていたのでチューナーの型番に疑問をもちました。1969年頃のTX-50からはトランジスタチューナーになるのですがTX-40からTX-50までに3~4年の空白があります。この期間中に新しいチューナーはありませんから(私が知らないだけかもしれません)、他の製品化に注力していたのでしょうか。パイオニアさんのチューナー型番に疑問を持ちながらの修理でした。

SONY ステレオ・レシーバー YJ-300(懐かしい70年代のレシーバー)


懐かしさからSONY ステレオ・レシーバーYJ-300のジャンク品を購入してみました。1974年頃の製品でしょうか、レコードプレーヤ、スピーカー、レシーバーがセットになったYJ-300システム・ステレオで約90000円ぐらいで販売されていたかと思います。中学生の頃、ラジオ雑誌の裏表紙に掲載されたこれらの製品を自分専用のステレオとして欲しかったのですが高くて買えませんでした。AM/FMチューナー、アンプ、マイク入力とトランスミッターの機能までついます。写真ではわかりませんが、チューニングメータ、ステレオランプ、ONAIRランプがあり、バックライトで目盛りが見やすくなっています。

背面は、AM/FMアンテナ端子、プレーヤ、チューナー、AUX端子とRCAのスピーカー端子になっています。この当時のスピーカ端子はメーカーによっていろいろな種類があるのが特徴ですね。RCAスピーカーケーブルはAmazonで今でも販売されているので接続に困ることはありませんが、ケーブルが抜け落ちるリスクと抜けたときにショートするリスクがあるので今では使われていません。

木製ケースから本体を取り出してみました。左上が電源部、中央がパワーアンプ、右上がチューナー部、下がプリアンプの構成になっています。基板をよく見るとトランジスター2SC403などが交換されていて修理をして使っていた様子です。

症状:AMの音がでない。

チューナー端子から入力するとヘッドホンやスピーカーから正常に出力しますので、プリアンプやパワーアンプは正常のようです。チューナー部故障と思われるのでAMのプリアンプ接続箇所でモニターしますが無音でした。FMのプリアンプ接続箇所でモニターすると当然ながら正常です。故障探査でチューナー部のAM部分の回路をモニターしながら追ってみた結果、2か所の部品を交換しました。交換されていない古いトランジスター2SC403を2SC1815で代用して交換、プリアンプへの出力側カップリングコンデンサが断のため交換しました。これによりAMから音が出るようになりましたが、長時間ヒヤリングすると軽いノイズが変動しながら出ているようです。そのため、古い電解コンデンサーは全て交換して解決しました。これにより、ノイズだけでなく長く安全に利用できるかと思います。電源部の電解コンデンサは1000μFから手持ちの8000μFにアップしてみました。

AM/FMともに正常に出力するようになったので、次にチューナー部の調整をします。チューナー部の機能を記載しておきましたので、必要な方は参考にしてください。

AM/FMとも立派に受信できるようになり修理は全て終了です。スピーカーからの音を聞くとさすがに低音もスカスカでとても音が良いとは言えません。しかし、昔欲しかった懐かしいレシーバーパネルを見ながらのFM放送は格別な気分にさせてくれます。