1970年頃のラジオやオーディオ、音楽などを今日まで趣味としてやってきた身の回りのこと、体験したことをつづる日々のブログです。真空管ラジオ、トランジスタラジオなどの体験記、最近ではPCオーディオなどについてもご紹介していきます。
2023/08/13
Columbia コロンビア TFC-140 トランジスタ ホームラジオ
2023/08/03
GE ジェネラル・エレクトリック P1700AとP1704B ラジオ(マグネチックスピーカー)
GE ジェネラル・エレクトリック P1700AとP1704B ポケット・ラジオの紹介です。 1960年後半では珍しいマグネチックスピーカーを搭載した独特の音色のラジオです。AM放送の特性にあわせて、あえて低スペックのマグネチックスピーカーを搭載しているところが素晴らしいです。上の写真は左がP1700A,右がP1704Bです。写真ではわかりにくいですが、ラジオを手に取ってみると76×121×38mmのサイズは当時の国産ポケットラジオと比べてやや大きく分厚く感じるアメリカサイズです。
背面はスリットとイヤホン端子が見えます。背面パネルにP1700A、P1701Aの型番シールが見えますが、このラジオケースの色からP1700Aと判別できます。P1700Aは1966年頃の製品となります。トランジスタがメタキャンが使われていますのでP1704Bより古いトランジスタ・ラジオであることがわかります。
コの字型のマグネットと中央にある振動版から振動棒がコーンに接続されています。
真横から見た状態です。
マグネチック・スピーカーは高インピーダンスのためトランジスタ直結でスピーカーを駆動することができます。GE P1700A,P1704Bでは上の図のようにプシュプル回路との直結でスピーカーを動作させています。
2023/07/23
TRIO トリオ FX-6 真空管FMマルチ・ステレオ・チューナー(リレーF.Bvの修理)
TRIO トリオ FX-6 真空管FMマルチ・ステレオ・チューナーの紹介です。1964年、33,500 円の最上位機種になります。TRIOの真空管式チューナーの中でも一度は触ってみたい製品です。
ラジオ技術1964年7月号「トリオ FX-6 FMマルチステレオ・チューナー」に回路図や各機能および動作が詳しく解説されいます。
この機種の特徴は、自動選局、リミタ3段、ニュービスタ6CW4採用など当時の技術がつぎ込まれています。ニュ-ビスタ6CW4を採用していることから、真空管の終焉を迎えつつある時期の製品、もしくは真空管技術が成熟した時期の製品とも言えます。
内部回路を覗いてみます。ブロック電解コンデンサーの液漏れ、電源回路B3出力の1KΩ抵抗の焼損、電解コンデンサーは全て発熱による被覆の捲れを見ることができます。
修理のため劣化部品を全て交換します。通電試験をしてみます。0.8Aで安定しました。正しく部品交換できたようです。
試しにFMを受信してみます。受信できますがRchのテスト用正弦波の出力波形が極端に小さいようです。故障個所は出力回路の12AX7不良でした。真空管を交換して正常に波形が出力されるようになりました。
次に各機能の動作を確認します。ステレオ、モノラルへの自動切換が動作しません。原因はリレーが動作しないためで、リレーのコイル断線です。富士通製 F.Bv.153b 01/101 5300-16000 0.04Culが採用されています。今では入手困難なリレーです。このリレーのコイル断線は致命的で修理に絶望した方も多いと思います。ネットを見ると電気的に互換性のある富士通製 F.Bv.151b 01/101 5300-16000 0.04Cul(上の写真の左側)が入手可能のようです。2つのリレーの外観を比較すると端子の配置が異なっています。これではFX-6のリレー・ソケットに装着できません。
苦肉の策として、F.Bv.151bとF.Bv.153bの部品を組み合わせてFX-6用のリレー153bを修理します。上の写真はF.Bv.151bのネジを外して分解した様子です。151bのコイル(コイル固定金物を含む)を153bに移植します。上の写真が151bのコイルを移植したリレーになります。但しコイルからの端子は自作する必要があります。
この修理方法の欠点は、151bのコイル固定金物が大きくて保護カバーが装着できないことです。しかたなく、プラスチック・カバーをコの字型に加工して最後に熱収縮チューブを被せて完成させます。写真の出来栄えが不器用な私の限界です。
修理したF.Bv.153bをソケットに実装した様子です。これでリレーは動作するようになりました。しかし、セレクタでAUTOMATICにしてもSTEREOやMONOに自動でうまく切り替わりません。原因は2か所あり、①VR2(1MΩ)の回路配置が異なる、②VR2が破損していて抵抗値が変化しない状態となっていました。新しいVR2を回路図どおり配置しなおして、再調整するとAUTOMATICが正常に動作するようになりました。
音出し試験では、ステレオ時に音が歪みます。調整では解決できそうにありません。MPX部への電源B1が6AU6で150V(回路図では130V)、バイアス8V(回路図では15V)と差異があるのが原因のようです。周辺の抵抗を交換して規定の電圧値にします。修理後に再調整して音の歪は解消しました。
最後にヒヤリングしてみます。電源を入れてから安定するまで少し時間(2-3分程度)がかかるようです。音質は上下の帯域も広く量感や奥行も感じられ高級機らしい良くできたチューナーです。
今回のFX-6は修理に手間がかかり調整も比較的むずかしい製品だったと思います。リレーの修理など、いろいろ遊べる製品なので一度修理にチャレンジしてみてはいかかでしょうか。
2023/07/02
大阪音響㈱ ONKYO オンキヨー 12LF-200J 12石FM-AMハイファイ・ホームラジオ
大阪音響㈱( ONKYO オンキヨー) 12LF-200J 12石FM-AMハイファイ・ホームラジオ の紹介です。1968年頃のホームラジオになります。古いトランジスタ式のホームラジオですが、現在でも違和感がないスッキリとした垢抜けたデザインです。
ホームラジオの背面ですが、中央にFM用リードアンテナ、左上にPHONO端子とREC端子が用意されています。
電源は乾電池×5本またはAC100Vの2電源です。ラジオとは思えいないグレードの高そうなスピーカーが実装されています。音質重視でしょうか。また、このラジオには本来あるはずの背面パネルの吸音材と電池カバーがありませんでした。
古いホームラジオは埃や汚れがすごいため分解して水洗いをします。このラジオの化粧板は剝がれやすいため補修が大変でした。清掃したラジオ本体の様子です。きれいになりました。
このラジオは放送を受信できません。細かく故障箇所を調べてもいいのですが、最初は劣化部品を全て交換してみます。 上のプリント基板がFM-AM回路、下がアンプ回路になります。見た限りでは大きな損傷はないように思えます。部品交換後、再度組み立てて試験をします。電源を入れると、FMとAMで放送が聞こえるようになりました。ただし、故障ではありませんが電源ON時に毎回バリバリと大きな音が出るのがいただけません。受信した放送の音量は小さくノイズも酷いので受信感度などを調整します。トラッキングもズレていました。調整後、ヒヤリングすると受信感度は可もなく不可もなくの普通です。FMは外部アンテナ接続ではないので、電波が弱い放送局はノイズが気になります。AFCの動作の効きく範囲が狭すぎるように感じました。60年代のトランジスタ式の木製ホームラジオは珍しいと思います。この年代のラジオ製品はアメリカ製のデザインに似せた機種が多いのですが、12LF-200J は日本製らしいデザインで好感がもてます。ありそうで以外と似たデザインは見当たらないラジオかと思います。多く出回っている木製ホームラジオとは一線を引きたい製品です。
2023/06/28
TRIO トリオ FX-5 真空管FMステレオ・チューナー(高級パーツへの交換と性能)
背面はアンテナ端子と出力端子だけですが、RCA金プラグに交換されいます。
電源部に6X4、IF回路は6AQ8,6BA6,6BA6,6BA6、AFC回路に6AQ8、MPX回路に6AU6,6BL8の真空管と1N60×4のマトリクスで構成されています。このFMチューナーは凄い改造がしてあります。まず最初は高級なマイカコンデンサや抵抗に交換してあります。次にFMチューナーでは初めて見ましたが真空管ヒーターを直流点火しています。徹底的に拘って改造してある思い入れがすごいチューナーに出会ったものです。高級な部品まそのまま使い、ブロック電解コンデンサを交換します。
今回も1箇所、はんだ不良を発見しました。配線がグラグラしています。修理後に通電試験をします。0.6Aで安定しましたので正常のようです。各電圧を測定します。MPX回路の6AU6の電圧が高く真空管不良のため交換します。受信感度、セパレーションを調整します。セパレーション感度を上げるとサッーというノイズが発生するようです。MPX回路のバランスが崩れている模様です。MPX回路はダイオードも含めて全て部品交換した関係で正確にステレオ変換できずにノイズが発生したものかと思います。また、B電源がやや高い電圧であることも影響していると思います。故障以外ではMPX回路は触ってはいけなかったかと思います。高級なパーツへの交換が性能を落とす残念な結果になったようです。これ以上の修理は、時間と気力が持ちそうにありませんので断念です。セパレーションはそこそこ確保できるので、このまま使用しても問題ないかと思います。ヒヤリングしてみます。中低音が厚く落ち着いた音色のチューナーに仕上がっています。もう少しはなやかな高域と奥行がでていればよかったかと思います。改造の内容を見ると前オーナーさんは真空管アンプの製作が得意の方だったのではと想像しています。FMチューナーは通信機なので忠実に復調してマトリクス回路で正確にステレオ変換させる必要があります。正しい動作を第一優先として、部品交換による音質改善には2の次だと思っています。せっかく拘り抜いて改造されたチューナーでしたが、回路が正確に動作せず非常に残念な気持ちです。音質を確認しながら少しづつ改造していただけたら、すばらしいチューナーになっていたかと思います。2023/06/04
SONY ソニー TA-1150 プリメインアンプ(ボリュームの修理)
SONY ソニー TA-1150 プリメインアンプの紹介です。1973年、49,800円の製品です。前回修理したTA-1150はCX0462,CX0461が故障したジャンク品でした。2代目のTA-1150ははどんな状態なのか気になります。
内部を見ると前回の製品より状態は良さそうです。ただし、ホコリをふき取った跡や熱保障のトランジスタ が交換されています。修理したのにどうして手放したのか不安がよぎります。
電源を入れてこれ以上のダメージを与えたくないので、パワーアンプの劣化部品を交換します。交換後にトーンコントロール用IC CX0462が故障してないか確認します。CX0462の出力が正常のようです。レコードプレーヤーを繋ぎCX0461の出力を確認すると、このICも正常です。この2つの重要なICが正常なので本格的に修理します。TONE回路、EQ回路の劣化部品を交換します。左右のバイアスを調整します。
ヘッドホンでは音出しは正常なのでスピーカーをつないでみます。 電源ON時にスピーカーが激しく揺れるほどの爆音がでます。その後は何事もなかったように正常に復帰します。しかし、電源ONのたびに爆音では使えません。この現象は過去の経験から思い当たる節があります。接点復活剤を過剰にスプレーして絶縁不良で内部ショートすることで爆音がでます。全面パネルからボリューム基板を取り外すと、ボリューム前面や下に滴るほどの接点復活剤がスプレーされていました。バランスボリュームもベタベタです。この状態ではショートするのも当たり前です。また、ボリュームを操作すると大きなノイズが発生して不安定です。
重症なのでボリュームをプリント基盤から取り外して分解します。内部も接点復活剤でベトベトです。部品1つ1つを丁寧にふき取ります。清掃中に端子とカーボン抵抗のハトメが折れているのに気づきました。この箇所はハンダは乗らないので再度ハトメで圧着するしかないのですが、プリント配線が完全に切れています。これでは修理できません。
散々考えたあげく、ふと気づいたのかTA-1150のスライド・ボリュームはなぜ4連なのかと言うことです。通常のアンプであれば2連で事足ります。4CHサラウンドのために4連になっているようです。
回路図を見ると前面パネルのMODEスイッチを4CH MASTERに選択して背面パネルの4CH BACKのINとOUTをボリュームとラウドネス回路を介して接続するだけの機能のようです。4CH側の回路は他とは切り離されていて独立していますので、4CH側のボリュームを故障したボリュームに流用して修理することにしました。今の時代ではTA-1150で4CHスイッチを使う人は皆無だと思いますので使い勝手に影響はでないかと思います。4CH用ボリュームに配線を変更します。
ヒヤリングしてみます。ボリューム流用による修理は成功したようです。電源ON時の爆音やボリューム操作時の大きなノイズや不安定さもなくなりました。TA-1150の音質は上下に帯域も広く高域がキラキラした特徴があります。奥行きもしっかり表現するいいアンプです。個人的にはもう少し低音の量感が出たバランスのほうが良かったかと思います。TA-1150のパネルデザインのイメージの音なのかもしれません。通常、プリメインアンプでボリュームの故障は致命的です。TA-1150に関してはレアケースですが内部部品との交換で修理可能でした。改造の難易度も低くボリューム故障にお悩みの方には参考になるかと思います。