今回修理するラジオは、ナショナル RE-725 FM-AM 2-BAND 9トランジスタ 6ダイオード1969年(昭和44年)定価12500円のホームラジオです。ホームラジオの中でも個人的にとても気に入っている機種です。正面から見ると真空管ラジオと同じ配列のナショナルらしい堅実でシンプルなパネルで木製ボディーにメタリックで強調することで新しさを感じさせるデザインとなっています。本体は木製(合板)のしっかりした作りで化粧板を張り付けただけのホームラジオとは違い経年劣化ではがれたりしない良いつくりだと思います。ダイヤルスケールにはE10豆球のバックライトもあり夜間のイルミネーションはいいい雰囲気で、スピーカーパネルは直接スピーカーが見えない構造でホコリの侵入を防ぐ巧妙なつくりになっています。
背面には、FMアンテナの外部接続端子とMPX OUT端子がありFMステレオアダプターを接続してFMステレオ放送を楽しむ以外にもラジオ修理の切り分けに利用できてとても便利な端子です。
RE-725の最大の特徴は真空管ラジオに近い内部の作りにあり、天井には回路図があり各段のトランジタには電圧まで記載されていて金属シャーシの下には糸まき詳細図があり真空管ラジオと同様に修理できるように配慮されています。ただし、修理には真空管ラジオと同様にシャーシを本体ケースから外す必要があり、ダイヤル針の糸を外すさないと本体ケースから取り出せませんので注意が必要です。
全体の作りは、糸まきのダイヤル機構と金色の金属シャーシにラジオ基板、スピーカで構成されていて真空管ラジオのつくりに瓜二つでシャーシの固定の仕方も底面から4本の大型のネジで固定するところまでそっくりです。真空管ラジオのつくりを強く意識していて、ラジオはこうあるべきだと言わんばかり主張を感じさせます。真空管ラジオの技術者が今までの技術をつぎ込んでトランジスタラジオを製作したように思え、技術者が昔を懐かしむような哀愁さえ感じるラジオだと思っています。
症状:音が大音量でボリュームが効かない
故障の状態からカップリングコンデンサーの容量抜けだと判断しました。該当箇所の電解コンデンサーは電極の識別が+(プラス)表記の古い電解コンデンサーが採用されおり、これを交換するだけの簡単な故障修理で完了です。ただし、故障を予防するため電解コンデンサーはすべて交換したので永くラジオを使うことができると思います。また、受信感度は良くFM放送も1、2局はアンテナなしで試聴することができました。
このRE-725は世間の評価は低いようですが、良い状態のものが今でも安価で入手できるので個人的にはおすすめのホームラジオだと思っています。