SONY スレテオヘッドホンアダプター STA-50は、スカイセンサーのオプションで定価4300円で販売されていました。当時のラジオにはMPX OUT端子を装備している機種が数多くあり、このMPX OUT端子にSTA-50を接続してFMステレオ放送を聞くことができました。オークションで"電源が入りません。ジャンク品です”と出品されているのを見て、また衝動買いをしてしまいました。STA-50は簡単なつくりなので電源が入らないなんて故障は想像できませんが、修理は簡単だと思い買ったしだいです。
届いたSTA-50は元箱付きで定価4300円の値札もあります。しかし、よく見ると"DC IN 4.5V"のテプラと外部電源ジャックを付加する改造をされたようです。使った人しかわからないと思いますがSTA-50に外部電源を接続したい気持ちは痛いほどわかります。毎日、FM放送を聞いていると単3電池3本ではすぐに電池が切れてしまいます。STA-50の後継機種にSTA-60があり単2電池3本で長時間使えるようになりましたが、外部電源にはかないません。当時、私も外部電源を付けようかと思いましたがFMステレオ放送をオーディオ・チューナーで聞くようになりSTA-50は使わなくなりました。元の所有者の方はスカイセンサーで毎晩FM放送を聞きたかったのだと思います。
症状:電源が入らない
ナショナル RF-858 GXワールドボーイのMPX OUTにSTA-50を接続してもイヤホンからは何も聞こえてきません。たしかに電源が入っていないように感じられます。
分解して蓋を取るとDC INプラグのプラス(+)端子とMPX INのアース線の配線が2本完全に外れています。元に戻してハンダして試聴するとイヤホンから音がでるようになりました。
次にSTEREO CHECK ボタンを押しますがランプが点灯しません。ランプにはむぎ球が使われていて両端をテスタで測るとステレオ時に電圧がでますが、むぎ球はかすかに光るだけです。使われているトランジスタが劣化してむぎ球を点灯できないようです。19kHzのステレオ信号を検出して電圧はでるので消費電力が大きいむぎ球からLEDへ変更して修理しました。
最後に手持ちのSONY ACアダプター 4.5Vと接続してSTA-50で聞いてみたところ、外部電源でノイズが乗るかと思ったのですが音質はクリアでちょっと意外でした。
STA-50を使いラジオでステレオ放送を聞くにはFM波の受信環境がよくなければノイズだらけで聞くに堪えないことになってしまいます。私のナショナル RF-858ではかなり無理があります。スカイセンサーなどのように受信性能が高く外部アンテナ端子があり安定した受信レベルを確保できる機種が最適なんです。STA-50のようなFMステレオアダプターは使う人のスキルが問われる製品です。使いこなしが意外と難しいです。今回は元の所有者の思い入れのある製品の修理でした。
2023.4.29追記:STA-50のセパレーションを測定してみました。35dB以上あり非常に良い数値に驚きました。