Pioneer パイオニア SX-45 FM/AMレシーバーの紹介です。 1970年頃の39,800円の製品でシリーズの最下位機種になります。全面はアルミ枠に黒いアクリルバネルを重ね黒のツマミを配置、チューナーのメーターはオレンジ色、目盛りはブルーに輝く斬新なデザインです。上の写真は、黒いツマミが高級なゴールドのアルミ無垢のツマミに変更されています。SX-45はブラックで統一されていますが、ツマミを交換しても最初からこのデザインだったように違和感もなくいい雰囲気に仕上がっています。
SXシリーズの背面は全て同じ構成でフェライト・アンテナおよびアンテナ端子、スピーカー端子(パイオニア独自のT型)、RCA入出力端子などが配置されています。
内部は全体にスッキリとした部品配置でレシーバ製作に手慣れた印象を受けます。電源部には大型トランスと2200μFの大容量電解コンデンサを採用ています。チューナー部は茶色のプリーにAM2連、FM3連バリコン、15mm角の少し大きなIFTは過渡期の部品かと思います。もう一つのプリント基板にはPhonoイコライザ、プリアンプ、パワーアンプが順番に配置されています。パワートランジスタ2SD226Aはシャーシをヒートシンクとして使い4個配置する作りになっています。照明には苦労した様子で長さ15cmほどの目盛りには4つもランプを使用して明るさを確保しています。
50年以上前のレシーバーはこのままの状態では使用できないので劣化部品は交換します。ただ淡々と部品を交換する根気が必要な作業です。 修理後は一通りの機能を試験をします。プリアンプ、パワーアンプ、FM、AMは全て正常に機能しているようです。
ただ1点、シグナル・メーターは振れるのですが、突然針が振れなくなったり突然回復する症状が不定期に発生します。何度も試験していると終いにはシグナルレベルが1/3にまで低下する症状まで出てきました。回路を調べますがIF段の2SC170コレクタ電圧が9.3V⇒4.2V不安定なので交換しましたが直接の原因ではありませんでした。原因はわからず。数日テストを繰り返した際にメーターを叩くと針が振れたり振れなくなったりの症状が変化しました。メーター本体の故障のようです。
ダメ元でシグナル・メーターのカバーを外して内部を確認してみます。 上の写真を見ると針を元に戻すばねコイルのハンダ付けが外れて接触しているだけの状態でした。メーターは振動で導通が変化するので振れたり振れなかったりしたはずです。修理のためはんだ付けしようとしますが、はんだが溶けたときの表面張力でコテ先にバネコイルが張り付いてはんだできません。30分格闘してなんとかはんだ付けは成功です。シグナル・メーターの信号レベルも回復し動作も安定しました。
受信感度、トラッキング、セパレーションの調整をします。調整後のFMステレオ放送は音が全然違います。クリアで広がりがのある音に激変しました。部品交換で音質が改善したのと調整がズレていたのでしょう。SX-414より抜けの良さと量感がやや劣りますが、バランスがとれたSX-414と同じ音の傾向を持った良い音です。高音はややサ音が強く、低音はダンピングが効いたような締まった音がします。エージングすることで落ち着くでしょう。パイオニアのSX-414より一世代前のSXシリーズ・レシーバーは独自のパネル・デザインで雰囲気もあり音も良いのでお勧めの製品だと思います。