2021/12/29

エーワイ電子 アナログ電源

今回は、Topping D3の電源部の改善のご紹介です。Topping D3の電源供給にはACアダプターを使っています。それもスイッチング式のACアダプターなので音質にはいい影響はありません。これは、トランス式ACアダプターに交換することで音質は確実に改善されます。実際にトランス式ACアダプターに変更すると音のザラツキがなめらかになり静寂性がアップします。しかし、どう見てもACアダプターなので電源部は貧弱です。更に良い電源はないかと探しあてたのが、株式会社エーワイ電子のアナログ電源です。

エーワイ電子 アナログ電源

エーワイ電子さんは、個性的なオーディオ機器を製造販売しています。他では手に入らないアナログ電源やケーブル類もありますので、一度ホームページをご覧になったらいいかと思います。

TOPPING D3と接続したエーワイ電子 アナログ電源の様子
アナログ電源は写真のようにTopping D3ヘッドホンアンプより高さがあります。エーワイ電子のアナログ電源に交換すると、トランス式ACアダプターより更に音のザラツキがなめらかになり静寂性が増すと同時に音に深みがでてきます。電源の影響が大きいことは、わかっているつもりでしたが音質改善の大きさに軽くショックを受けました。バスパワーやACアダプターのオーディオ機器は 電源部に無理があるのかと悩みは絶えません。※参考までにTopping D3は動作できる電圧は15Vと表示されていますが、実際には9V~15Vまでであれば正常に動作するようです。ACアダプターの電源部を一度見直して音質を確認してみることをお勧めします。
 
2024.11.10 電圧調整
 購入してから、数年経過したので出力電圧をチェックしたところ少し変動してました。アナログ電源の内部には、可変抵抗があり出力電圧を調整することができます。9V 3Aで購入しましたが、TOPPING D3の標準電圧の15Vに変更しました。 DACの音は標準電圧15Vの方が音の響きも良く最初に電圧調整しておけばよかったと後悔です。株式会社エーワイ電子のアナログ電源は電圧に汎用性があるのでお勧めです。

Topping D3 ヘッドフォンアンプ (オペアンプTHS4631へ交換)

いまさらですが、昔やったUSB DACのオペアンプ交換による改善についてご紹介します。PCオーディオを始めたのですが、正直USB DACを導入しても思ったような高音質を実現できていませんでした。

正面から見たTopping D3

私が愛用しているのはUSB DACのヘッドホンアンプ Topping D3です。発売開始:2013年、販売価格:21,800円、スペックも192kHzまでの古い機種です。筐体のアルミ削り出し全面パネルやボリュームの感触はこの価格帯では得られないものです。しかし、肝心の音を左右するオペアンプにはOPA2134が採用されています。

Topping D3の内部

Topping D3には写真のようにヘッドホン用とRCA用の2個のオペアンプ が使われていて、ソケットを付けオペアンプを交換できるようにしました。

Topping D3にICソケットを取り付け

Topping D3にTHS4631を実装した様子
オペアンプ交換による音質評価です。
OPA627AU:帯域は拡がりクリアですがバランスの良い音質に改善します。
THS4631:発振するのではないかと心配しましたが非常に安定しています。音質は広帯域で鮮烈で切れ味のある音の一言に尽きます。期待値を大幅に上回っていて昔ならこの価格に0を一つ追加してもこの音質は実現できそうにありません。
 いろいろなオペアンプに交換して音質評価しようと思っていたのですが、THS4631から他のオペアンプや新しい機種を交換する必要性は今でも感じられず使っています。また参考までに、Topping D10は最初からICソケット付になっているので、これもTHS4631に交換しても発振もせずに高音質を実現できることを確認済みです。
 私が慣れ親しんだアナログの世界では個人で改善できることが無数にあり、それがオーディオの一つの楽しみ方にもなっていました。PCオーディオにも個人による改善の余地があることが実感でき、また新しいオーディオに夢中になるのは確実のようです。

エミライ製 USBノイズフィルター ES-OT4 (自作のケースに入れる)

 本屋を歩いていると付録のあるStereo誌を見つけると気になって買わずにいられません。私だけでしょうか?いまさら感半端ないですが、Stereo 2015年1月号の特別付録:USBノイズフィルターのご紹介です。写真は付録のエミライ製 USBノイズフィルター ES-OT4 になります。ES-OT4は基板のみでケースがありません。

自作ケースに入ったES-OT4

 常時使えるように、写真のようなケースに入れてみました。このケースはアルミ製で前後はやわらかいプラスチックでUSBやランプの穴あけ加工がしやすいものです。

前面から見たES-OT4
全面がPCと接続するUSBと電源ランプです。

前面の蓋を外したて見たES-OT4
電源ランプは基板にLEDが元からありシャープペンシルの透明キャップをケースのランプカバーとして使ってみました。バスパワーで青く光って以外とかわいいです。

背面から見たES-OT4
背面はDACと接続するUSBと外部電源入力になります。電源切替のスライドスイッチは設定変更しないので安全のため隠してあります。

ES-OT4を使用している様子
 USBノイズフィルター ES-OT4を使用してみた感想です。2015年頃の我が家の環境ではかすかにサッーと聞こえるノイズがあったのですが、それが小さくなり改善されたのを覚えています。 現在のDACの電源部を強化した環境ではUSBノイズフィルターを入れても音質の変化は感じられませんでした。オーディオ環境によっては、効果があったりなかったりするみたいです。今は、私のノイズ恐怖症の精神衛生のためES-OT4を常時使っています。今でもONTOMO ShopでES-OT4が販売されていますので興味のあるかたは試してみてください。

2021/12/28

SONY CF-1500 修理(メインスイッチが戻って電源が入らない)

 SONY CF-1500 発売日:昭和46年8月21日(1971年) 販売価格:33,800円 2021年で50歳のラジカセです。

なつかしいSONY CF-1500

SONY CF-1500は、大好きなSONY CF-1900と外観が似ていて気になっていたラジカセでした。

似た雰囲気のSONY CF-1900とSONY CF-1500
 CF-1900と外観を比べると似た雰囲気ですよね。そして誘惑に勝てずオークションでまた買ってしまいました。現物のラジカセを見ると、年式が古い割に妙に本体に傷もなくきれいです。長年使われなかったじゃなく、致命的な故障があり使えなかった製品じゃないのかと不安がよぎります。

SONY CF-1500のメインスイッチ

 まずは動作確認。上部中央のメインスイッチを入れてラジオを聴こうとすると、メインスイッチが入りません!入れてもスイッチ戻ってくるので、ラジオも聞けないラジカセです。戻ってくることから、このトグルスイッチは普通のスイッチじゃないことがすぐにわかりました。

SONY CF-1500のカセットメカと連動したメインスイッチ

 裏蓋を開けると案の定、スイッチと連動して白いプラスチック・レバーがカセットのメカと連動しています。おまけに、この製品の年代より古いマイナスのビスが転げ落ちてきました。誰かラジカセの中を触っています。何人か修理を試みて断念しては転売して私のとこまで流れてきた製品だと想像しています。

内部基板を取り外した状態のSONY CF-1500

 気を取り直して、本体からカセットとラジオを取り出そうとしますが、1時間格闘してようやく外せました。観察するとここにも触った痕跡として、テープカウンタのケース上部がすでに破損していて破片すらありません。
 本題のメインスイッチはカセットメカ部分と連動しており、カセットの録音が終了するとテープがオートシャットオフしてメインスイッチもOFFになる構造のようです。ここからは、根気よくスイッチを動かして観察するしかありません。スイッチを入れても引っかかる感触がないのですが、運よく数回だけONにロックしかかったので原因がわかりました。

SONY CF-1500の故障原因だったよじれた金属バー
 何のことはない、白いプラスチック・レバーと連動する先端横にボッチのある縦の金物が数ミリよじれて、ボッチを引っかけてONにロックすることができなくなったようです。ラジオペンチで金物のよじれを直すと、あっさりメインスイッチはONにロックできて自分でもびっくりです。今回は運が味方して修理することができためずらしい体験です。
 また、このCF-1500は本体外側の化粧パネルはボンドで綺麗に修理しているようです。カセットはベルトが緩んでいて回転が弱いですがカセットは使いませんので気が向いたら張替えたいと思います。他には故障がまったくなく状態もいいので永く大事に使っていければと思います。

2021/12/27

サンヨー 6C-19B 6石スーパーラジオ(62年製のポケットラジオ修理)

 もうラジオは買わないと思ったのですが、オークションでラジオ内部の写真をよくみると電解コンデンサーが見当たりません。珍しいので、誘惑に勝てずポッチと押して買ってしましました。調べてみると、サンヨー 6C-19B型 6石スーパー 三洋電機(株) 1962年 6,400円とこのとこです。

レトロな雰囲気のサンヨー6C-19B

サンヨー6C-19Bの基板には電解コンデンサが使われていない

 1962年(昭和37年)、電解コンデンサーの信頼性が低かったのかフィルムコンデンサーとコイルで回路を組んでいるようです。当時の電子回路でもコイルは極力使わない方向だったと思うのですが、信頼性重視もしくはコスト削減のためコイルを多用しているのか理由を知りたいものです。1つ言えることは、コイルを多用しているのでノイズには弱そうです。電解コンデンサーを使わなくてもコイルで同じ性能を実現させた当時の設計者にとっても現在のようなノイズだらけの生活空間はさすがに想像できなかったと思います。しかし、劣化しにくい部品で構成されているためか59年たっても部品交換もなく現役で活躍できるラジオだと思うとなんだかうれしい気持ちになります。ラジオを眺めていると勝手な妄想がとまりません。
 まずは、”鳴らないので普段つかいはできません”とのことなので蓋を開けて確認です。
電池ボックスのスプリングのサビがひどく、これでは通電しないので4.5Vを外付けでつないでみます。運よく故障個所はなく、このラジオは生きてました。生きているとわかれば修理作業です。
①トランスの修理:トランスのサビはひどい状態なので、トランスを基盤から取り外します。地金が出てくるまでサビを落として最後に紙やすりで仕上げ。塗装には我が家の車のカラーペイントを使います。サビ止め効果のある塗料で、筆までついていてとっても便利です。塗装により、少しは見れる状態になりました。

サンヨー6C-19Bの小型トランスの修理

②スピーカー:基板の裏側のスピーカー部分にサビが出ているので、電池の液漏れでもあったのでしょうか。これも同様に、丹念に地金が出てくるまでサビを落として最後に紙やすりで仕上げ。サビ止め効果のある塗料を塗れば、今後サビの心配はありません。
③電池ボックスのスプリング交換:壊れたラジオの電池ボックスのスプリングを修理部品に使いますが2か所交換が必要でした。

サンヨー6C-19Bのスピーカーの修理 

④イヤホン端子:イヤホン端子にはイヤホンを刺したときにスピーカーが切れる接点があります。音が出ないラジオの原因で、イヤホン端子の接触不良も多く見てきました。接点には、お約束のCRCのコンタクトスプレー(接点復活剤)をごく少量塗ればOKです。CRC 5-56ではありません。プラスチックを傷めないコンタクトスプレーを使います。
⑤ボリュームの清掃:このタイプのボリュームは、つまみを外し茶色の薄いカバーを慎重に取り外します。綿棒にCRCのコンタクトスプレー(接点復活剤)をつけて抵抗をこすって清掃します。
⑥ケースの洗浄:ラジオのケースは石鹸で水洗いします。ケースを洗うとラジオを持った時の手や指の感触がぜんぜん違うんです。
修理作業が終わったので、1度鳴らしてみます。

サンヨー6C-19Bのバリコンとコイルを使った調整
全体に音が小さく受信状態がわるいので、調整をすることにしました。OSCコイルはロウで固めてあり触ると危険そうです。OSCコイルを使わないで、受信感度や目盛り位置もなんとか調整することができました。個人的にいい感じで壊れているラジオの修理で、今日も2時間程度たのしい時間を過ごすことができました。

エース ラジオの前期と後期(搭載しているトランジスタの見分け方)

Aceラジオには前期と後期の製品があります。(私が勝手に前期・後期と呼んでいます)

なつかしいAceラジオ

1つはメタルキャンのゲルマニウム・トランジスタを搭載した機種(前期)もう一つは樹脂製のモールドタイプのシリコン・トランジスタを搭載し機種(後期)です。
 ① トランジスタの形状から見分ける

Aceラジオの前期と後期の内部の違い
 当然、私が好きなのはゲルマニウム・トランジスタの前期のAceラジオです。
シルバーのゲルマニウム・トランジスタ(上側の機種)と黒い樹脂のシリコン・トランジスタ(下側の機種)は裏蓋を開ければ一目瞭然です。
 ②Aceの文字から見分ける

Aceラジオの前期と後期の全面パネルの文字が違う
もう一つ蓋を開けなくてもわかる方法があります。ラジオの全面にはAceの文字があります。黒の凹文字のAceのラジオは前期(上側の機種)の製品で、銀の凸文字のAceのラジオは後期(下側の機種)の製品になります。 オークションで買うときは、Aceの文字をみてくださいね。同じように見えて中身と年代が全然違う製品なんです。最後に初期の製造・販売元は有限会社エース電気ですが後期は学研になっています。
 
追記(2022.5.17)
この間、オークションを覗いていたらAceの2石で凸文字のゲルマニウムトラジンスタ搭載の機種を発見しました。今まで見たことがありません。初めて見ました。凹文字から凸文字、ゲルマニウムトランジタからシリコントランジスタへの移行期にあたる製品かとは思いますが、台数は非常に少ないめずらしい製品だと思います。

エース AR-205K2石レフレックスラジオ(はじめてのラジオ)

小学生のとき、近所のいつも行く模型屋さんのショーケースに飾ってあったラジオキットです。どうしても欲しくてお年玉で買ってもらった思い出深いラジオです。

昔つくったエース AR-205K

1966年(昭和41年)頃にラジオキットとして作成したAR-205K 2石レフレックスラジオ 推定55歳ぐらいでしょうか。小学3年生として初めて見るトランジスタ、ダイオード、コンデンサ、抵抗など興味しんしんです。半田ごてを握って作成しようと思ったら抵抗には極性はあるの?基板にトランジスタを刺しても足の位置が裏表混同したりして何度も何度も苦労して確認したのを今でも覚えています。4時間くらいキットと格闘してようやく完成です。おそるおそるボリュームダイヤルを回してカッチと電源を入れるとザーというノイズ音。選局ダイヤルをまわすとラジオ放送が聞こえたときの感激は今でもわすれません。毎日、AR-205Kのプリント基板のトランジスタや抵抗、コンデンサー、トランスなど飽きもしないで眺めていました。部品ひとつひとうに電気という血が流れてラジオが動いているように感じたことを覚えています。 50年以上経った今の私には、残念ながら当時と同じ感動が湧いてきません。しかし、ラジオの体験に動かされた小学生は、やがてシステム・エンジニアになりました。

後日談ですが模型屋さんのおばさんが「君がラジオキット買ってくれたおかげで近所の友達がたくさん買いにきたよ」と教えてくれました。しばらくの間はラジオをそばに置いて撫でたり、さすったり、蓋を開けたりして眺める毎日です。別売の外付けの3段式ロッドアンテナも買いました。ラジオの沼にはまった少年です。
AR-205Kに話を戻します。

エース AR-205Kの内部を見る

中身を見るとトリマーもコアの調整もない無調整のラジオです。小学生には最適です。2石レフレックスラジオにスピーカーを搭載した欲張りなラジオです。ただし、受信感度は低く強電界地域での使用を前提としています。早い話が、昔はほとんどの自宅は木造家屋で受信できましたが鉄筋の建物などでは電波が弱くラジオを聞くことができません。オークションでAR-205Kを「ラジオが聞けません」と売っている人がいますが、たぶんマンションの室内で使えないので故障と勘違いしたのだと想像しています。50年以上経っても全然色あせない思い出のラジオの紹介でした。