2023/11/18

TOSHIBA 東芝 SX-160 レシーバーアンプ

TOSHIBA 東芝  SX-160 レシーバーアンプの紹介です。1971年頃の製品です。主力製品の家具調ステレオ・ボストンとは別に手軽にステレオを楽しめるQMシステムセパレーツのアンプ部分になります。SX-160はレコードプレーヤとスピーカーでセットで約4~5万円の価格帯だと思います。シルバーの前面パネル上に茶色のメタリックでラインを入れた印象的なデザインです。グリーンに輝くダイヤル目盛り、統一されたツマミを整然と並べて落ち着いた雰囲気の佇まいです。低価格帯ですが完成度を感じるレシーバーです。

背面パネルの様子です。スピーカー端子がRCA、テーブ端子がDINを採用しています。RCAのスピーカーケーブルや端子は今でもAMAZONなどで入手できます。リアスピーカーはネジ端子になっています。セレクタ表示に4chの文字があるので、リアスピーカーは極性を反転させフロントを合わせて4つのスピーカーでサラウンドを楽しんでくださいとの意味かと思います。

木製のカバーを外します。底板はパーチクルボードで、その上に部品を固定する構造です。左のプリント基板は電源、パワーアンプとTONE回路、左はAM/FMチューナー回路になります。動作を確認をします。チューニング時にダイヤルが空転してダイヤル針が移動できません。ダイヤルスケールのランプ切れとFMは受信できますがノイズがひどいです。STEREOランプは点灯しません。

全体に部品の劣化が進んでいますので交換します。ランプを交換し、糸掛けは張り直して空転は解消です。次に初段FET2SK19を2SK192aに交換してノイズはなくなりました。STEREOランプはコイルの調整で点灯するようになります。


セパレーションを調整しようと思いますが、調整できそうなボリュームが見つかりません。TOSHIBAの類似製品の回路図をみますが同じようにセパレーション調整用のボリュームは見当たりません。そこでマトリクス回路の傍にあるコイル2個を回したところセパレーションが変化することに気づきました。この2個のコイルで調整します。調整により約20dB程確保することができました。

ヒヤリングします。チューニングメーターがないのでSTEREOランプが一番明るくなるところにダイヤルを調整します。選局がズレるとノイズがでやすくなります。音の帯域はやや狭く感じますがバランスは良いです。高域はやや弱く、中低音が充実しています。ラウドネスONにした状態で聴いた方が奥行や量感を感じられます。夜のパネルは照明が美しくいい雰囲気です。ネアカな音ですがバランスも良く手軽に音楽を楽しめる良いレシーバーです。

2023/11/11

ONKYO オンキョー D-202A

 

ONKYO オンキョー D-202Aの紹介です。1975年、1本32,000円の製品です。2台目ですが中古品のジャンクを購入しました。皆さんの修理実績を参考に復活させたいと思います。

中古品なので、上の写真のようにエッジが経年劣化でボロボロです。エッジを修理します。
上の写真の道具でエッジを張り替えます。Amazonでボンド335円、コスメティックスポイト 注射器型310円、スピーカーエッジ(2個)632円を購入します。

六角ボルトを外して、スピーカーを横に寝せてウーハーを取り出します。

スピーカーの後からボルトが出ているため、ガムテープの上にスピーカーを乗せます。スピーカーが真上を向いて作業がやり易いです。

カッターでエッジの外側をカットしてフレームから切り離します。

手でエッジを慎重に剥がします。
スピーカーコーンの裏に7〜8mmのエッジが残ります。劣化してボロボロなので私は爪で剥がしました。
スピーカーコーンからエッジを剥がし終わった状態です。
次にウーハーのコーン周りに残ったボンドを剥がします。最後に金属フレームのエッジを剥がして終了です。
新しいエッジを現物合わせしてみます。エッジの外側が1mm程度フレームからはみ出します。このまま作業すると、接着面が浮いたり、エッジが変形して音への影響があります。
ハサミでエッジの外側を1mm程度切りとり金属フレームにあわせます。切りすぎると接着面が狭くなってしまうので注意が必要です。
いよいよ接着ボンドの出番です。ウーハーコーンの裏側のエッジとの接触面にボンドを塗ります。次にエッジをはめ込みます。エッジとウーハーの位置を確認しながら接着させます。少し乾かすとウーハーとエッジの接合面にスキマが出来てきます。上の写真の様に接着剤でスキマを埋めて補強します。接着剤が乾かないうちに次の作業を進めると中心がズレるので翌日に修理を再開します。
上の写真は翌日のスピーカーです。まだ、接着剤に白い箇所が見られますが作業できる程度には乾いた模様です。金属フレームとエッジを接着します。
接着してから2日間程寝かせると、ボンドが乾いて透明になります。ボンドが乾いたらスピーカーをエンクロージャーに戻して完成です。

ヒヤリングします。鳴らし始めは低音はでないため違和感があります。エージングが進むにつれて音のバランスが復活します。最低でも2〜3日はエージングした方が良いです。D202Aはサイズからは想像できない量感と奥行のある音を聴かせてくれます。ソフトドームツィーターにより高音を品良く色付けしてくれます。未だに人気のある名機であることがわかります。ボーカルなどがグッと全面に出てくる特徴があるスピーカーです。しかし少し出過ぎのようにも感じられます。また表現が適切かわかりませんが、ヨーロッパなどのスピーカーと聴き比べると音を強引に聞かせる様な少し泥臭さが感じられます。スピーカーの品格とも言える音作り対する感覚です。しかし、豊かな音楽を聴かせてくれる名品であることには変わりません。2台目のD202Aも永く愛用する事になると思います。

2023/11/03

VICTOR ビクター JA-S31 プリメインアンプ


VICTOR ビクター JA-S31 プリメインアンプの紹介です。 1975年、39,800円の製品です。当時、非常に人気があったJAシリーズのアンプです。パネルデザインを見ただけでビクターのアンプだとわかります。この当時のアンプは今ではあり得ないほど物量が投入された作りなので永く愛用して欲しい製品です。

背面パネルの様子です。
 
内部を覗いてみます。大容量電解コンデンサー×2個、ヒートシンクにパワーIC×2個のシンプルな構成です。下部のプリント基板、右からEQ回路、パワーアンプ、電源回路です。手前上のプリント基板はTONE回路になります。
上の写真はEQ回路です。右から左に信号が流れていく作りになっています。phonoを選択すると左右から激しいノイズが出ています。Tunerにするとノイズはありません。EQ回路の故障です。EQ回路からの出力をモニターするとLchにノイズ、Rchは正常です。
上の写真はEQ回路図の抜粋です。ノイズトレーサーで順にノイズを追っていきます。EQ回路の電解コンデンサC302からノイズがでています。Phono端子からの初段のカップリングコンデンサが不良です。C302コンデンサはオレンジ色で識別できるようになっています。1箇所の故障ですがせっかくなので劣化部品はすべて交換してリニューアルします。カップリングコンデンサの交換部品にはニチコンのファインゴールドを使用します。

ヒヤリングしてみます。EQ回路からのノイズは綺麗になくなりました。クリアで帯域も広く優等生的なバランスの良い音です。綺麗な音ですがもう少し奥行きや深みが欲しいアンプです。但し、そこまでの音をこの価格帯のアンプに求めるのは酷かもしれません。懐かしいデザインがとても魅力的です。今でも古さを感じさせない豪華で見映えする姿です。リビングでゆったりと音楽に浸りたくなるアンプの復活です。

2023/11/01

COLUMBIA コロンビア TFC-100 AM/FMホームラジオ


 COLUMBIA コロンビア TFC-100 AM/FMホームラジオの紹介です。TC-100Dは1970年頃、9,900円であることから、TC-100もほぼ同時期と価格ではないかと思います。箱型のオーソドックスなデザインのホームラジオです。外観の状態は良く傷もスピーカーネットの破れもありません。

背面はパーチクルボードでFMアンテナ端子が用意されています。パーチクルボードの傷みも少なく状態はよいです。木製ケースの板厚はかなり薄いです。


内部を覗いてみます。単三電池が電池ケースの中で朽ち果てています。ケースから電池を抜くこともできません。電池金物は電池の液漏れの影響で錆がひどい状態です。スピーカー、プリント基板、電源トランスはスッキリと配置されていて無理のない作りです。とにかく、埃が凄いので、ケースから部品を全て取り外します。ケースは素早く水洗いしてタバコのヤニもいっしょに落とします。電池の金具は錆で使えないので塗装します。そのためAC100Vでの使用のみとなります。

ラジオが聞こえない故障したラジオです。部品に劣化がみられるので交換します。交換してから機能を再度確認します。部品交換でAM.FM共にラジオを聴くことができるようになりました。調整もあまりズレていません。ボリュームのガリもなく受信感度など動作も良好です。故障の原因は電解コンデンサの劣化によるものでした。このラジオには古いナショナル の乾電池が入っていたので30年以上は使えない状態だったのでしょう。長い間保管されて待った甲斐があり修理して復活しました。

古い木製ホームラジオは味わい深い魅力があります。ポータブルラジオより人間味が感じられます。部屋の隅に置いて毎日気軽にスイッチを入れて聴くラジオです。部屋に馴染んで空気の様な存在感がホームラジオの魅力です。ラジオが生活の一部だった時代が感じられます。

2023/10/15

SONY ソニー ST-SA50ES FM/AMステレオチューナー(高品質のFM)

SONY ソニー ST-SA50ES FM/AMステレオチューナーの紹介です。1997年、40,000円の製品になります。フロントエンドにアクティブセレクションを搭載した音の良いチューナーです。今でも愛用する人がいる名機です。

FM文字放送用のFM DATA端子を搭載した珍しい機種です。

ST-SA50ESは2台目の予備機として購入します。本体の角が潰れていますが奇跡的に全面パネルに傷がないジャンク品です。内部を覗いて見ます。電源トランスが斜めに傾き、電源トランスの乗ったプリント基板が横一線に破断してます。チューナーを落とした衝撃で破損したのでしょう。プリント基板破損では電源が入らないはずです。電源部のプリント基板に直接配線して修理します。

電源装置を介してチューナーの電源を入れると 0.2A程度流れます。しかしディスプレが表示しません。チューナー基板の電源部を確認します。IC901のLA5667の電圧は7ピンとも正常です。ディスプレイボードへのコネクタの電圧も正常です。ディスプレイボード故障のようです。

上の写真のように、この機種は何故かディスプレイボードのハンダクラックが多いです。ハンダクラック×2箇所を修理するとディスプレイ表示するようになり輝度も良好です。

 フロントエンドの上面のシールドケースを取り外した様子です。

 フロントエンドの基板には非常に細かいプリントパターンが描かれています。

フロントエンドもハンダクラックが発生しやすい箇所です。フロントエンドのプリント基板を慎重にチューナー基板から取り外してハンダクラックの有無を確認します。案の定、2箇所のクラックを発見したので修理します。チューナー基板についてはクラックはありません。

フロントエンド 左上に2か所のクラックが見られます。

次に動作の確認をします。チューニングダイヤルが固くて回転できないほどです。チューニングのダイヤル軸をクイックドライクリーナーで洗浄すると、重たいですが回転できるようになります。Autoチューニングしても放送局をスルーして永遠に止まりません。マニュアル操作では選局ができます。選局するとSTEREOランプは点灯してFM放送を聞くことが出来ます。1~9までのセレクタボタンの反応が鈍いです。

Autoチューニングが止まらないのは信号レベルが低すぎるためです。RV221で規定の受信レベルに調整します。再度、Autoチューニングすると放送局で停止して選局できる様になりました。その他セパレーションなどを調整して修理は完了です。

ST-SA50ESは従来のデジタルチューナーより高品質なFM放送を聴かせてくれます。クォードラチュア検波はPLL検波に比べてソフトな音質などとレビューされているようです。

我が家のFMステレオ・マルチプレックス・アダプタです。

ST-SA50ESのFM DATA端子に真空式FMステレオ・マルチプレックス・アダプタと接続してFM放送を聞いています。今まで色々なチューナーの音質を確認してきました。ST-SA50ESは過去最高に音が良いチューナーです。今までのチューナーとは別次元の素晴らしい音です。透明感があり一音一音が繊細で明瞭なFMサウンドを聴かせてくれます。唯一の欠点はアクティブセレクションで3回チューニングする際、ノイズが発生する事です。

ST-SA50ES以降はFM DATA端子を搭載した機種は販売されていません。FM文字放送のサービスが終了したのでMPX端子を搭載する必要がなくなったからです。ST-SA50ESはMPX端子を搭載した最後のチューナーです。真空管で高品質なFM放送を聴かせてくれるST-SA50ESは貴重な存在です。

2023/10/08

データ専用USBケーブル(外部電源付)

自作したデータ専用USBケーブルの紹介です。以前よりPCオーディオで使うデータ専用USBケーブルで音質改善をやりたいと思っていました。データ専用USBケーブルは株式会社エーワイさんのオリジナル発案品(公証人役場で認証済み)です。1本3500円で販売していますが普及が容易いよう実用新案、特許等はあえて取得しないそうです。”他社様が同じ仕様のケーブルを製造販売されることは自由です”とホームページで明記しています。オーディオ・ファンには大変ありがたい会社さんです。ELSOUND(エルサウンド)という個性的なオーディオ製品も開発・販売しています。

 
上の図は通常のUSBケーブルの配線図です。PC側:Aタイプ、DAC(Topping D3)側:Bタイプで接続することを想定しています。

製作するデータ専用USBケーブルの配線図です。1番端子のVCC(電源)ケーブルを配線しないUSBケーブルを作成します。金メッキのUSBコネクタとオヤイデ電気の切売りUSBケーブルを使います。詳しい製作の仕方はオヤイデ電気のホームページに掲載されています。

オヤイデ店舗オリジナルのUSBケーブル20.-28/26(自作用切り売りケーブル)ブラックと金メッキのUSBプラグ(Aタイプ、Bタイプ)です。

上の写真は製作したデータ専用USBケーブルです。

データ専用USBケーブルをテストしますが、まさかの失敗です。あれこれ調べ、Topping D3を外部電源で使用している時は、USB端子にVCC電源と-Data+Dataが同時に流れていないとUSB-DACの入力セレクタが動作しないようです。Topping D3はデータ専用USBケーブルが使えない機器です。

上の写真はデータ専用USBケーブル用の2種類の外部電源(左側は単三×4、右側はACアダプター)です。

段々、沼にハマっていきます。Topping D3でデータ専用USBケーブルを使いDACが動作するようにケーブルを改造します。Topping D3のUSB端子にPC給電ではなく、別の外部電源をつなぐことが出来る特殊なUSBケーブルを作成します。外部電源の候補は電池およびACアダプターです。昔使っていたオーロラサウンドのバスパワープロ2みたいになってしまいました。オーロラサウンドさんはUSBの電源線が音質に影響すること知って製品化したのだと思います。

上の図は製作するデータ専用USBケーブル(外部電源付)の構成図です。

上の図はデータ専用USBケーブル(外部電源付)にUSB-DAC(Topping D3)を接続したときの配線図です。USB-DAC自身の電源スイッチON/OFFでは電流0mAです。USB-DAC用電源供給を断にすると約31mA ながれるようです。
 

①データ専用USBケーブルに電池式(6V)の外部電源を接続した場合(USB-DAC電源供給ON):電圧は約6.1V、電流0mA です。

②データ専用USBケーブルに電池式(6V)の外部電源を接続した場合(USB-DAC電源供給断):電圧は約6.1V、電流31mA です。電池による外部電源は単三×4本(6V)で約31mA流れます。約2.6日間で電池を消費する計算です。

③データ専用USBケーブルにACアダプター式(6V)の外部電源を接続した場合(USB-DAC電源供給ON):電圧は約10V、電流0mA です。
④データ専用USBケーブルにACアダプター式(6V)の外部電源を接続した場合(USB-DAC電源供給断):電圧は約10V、電流31mA です。ACアダプターを使う外部電源を用いる場合は音質の良いトランス式を使います。
 
 データ専用USBケーブル(外部電源端子付)

新しく製作した外部電源端子付のデータ専用USBケーブルのテストとヒヤリングです。3種類のUSBケーブルを比較します。
 
①ノーマルのUSBケーブル
音質の比較用に同じ材質で製作したUSBケーブルです。スペアナにはわずかな違いがでています。1kHz以下のノイズがやや大きくなっています。テスト信号の高調波2kHzもやや大きい数値がでています。音質は②、③のデータ専用ケーブルに比べ、やや霞のかかったような音がします。少し音が丸くなり1音1音が少し不明瞭になって聞こえます。
②データ専用USBケーブル(外部電源付:電池式)
スペアナを見ると1kHz以下のノイズが①、③と比べ一番小さくなっています。2kHzの高調波も①と比べて小さいです。明瞭で透明感のある音がします。1音1音が分離して美しい響きです。全体にクリアな音で高域が特に気持ちいです。USBケーブル1本で本当に音質が改善されることに驚きます。
③データ専用USBケーブル(外部電源付:ACアダプター式)
スペアナを見ると1kHz以下のノイズが①、②の中間になります。2kHzの高調波は②と同じレベルです。音質は②よりクリアさがやや後退してほんの少し丸くしたような音質です。こちらの方が音に量感が感じられます。音の印象は悪くありません。
スペアナではわずかなデータの差異で明確な違いはわかりません。しかし音を聴くとデータ専用USBケーブルは確かに効果があるようです。私の古いTopping D3でさえ違いがわかります。手持ちのDACでは、外部電源を付加しないとデータ専用USBケーブルが使用できませんでした。製作したケーブルの外部電源はないほうが音がいいはずです。純粋にデータ専用USBケーブルだけで音楽を聴ければよりクリアな音だと思います。今回は緊急避難的なケーブル試作でしたが、データ専用USBケーブルの実力を感じる事ができました。製作したデータ専用USBケーブル(外部電源:ACアダプター)は我が家のオーディオ・セットに組み込まれています。PCオーディオで音楽を聴く楽しみがまた一つ増えたようです。
 
注意:今回、ご紹介したデータ専用USBケーブル(外部電源付)の使用は自己責任にてお願いします。また、PCオーディオにはJPLAY FEMTOをカーネルストリーミング(KS)で使用、FLAC音源、DACも古い製品ですが改造してある環境でヒヤリングしています。そのため、それなりの高音質の環境でないとUSBケーブルの違いはわからないかもしれません。