2022/01/28

SANYO 6C-055 6トランジスタラジオ修理(個性的なSANYOポケットラジオ)

SANYO 6C-055 6トランジスタラジオ 3900円です。1967年のSANYOのラジオ・カタログに6C-055が掲載されていました。SANYOのロゴから1961年(昭和36年)~1975年(昭和50年)だろうとは思っていましたが、1967年頃 の製品だとようやくわかりました。このSANYOのポータブルラジオはデザインも個性的でダイヤル目盛りを正面に見て右手で選局とボリュームを操作する他社では見ない珍しい斬新なデザインです。

前面から見たSANYO 6C-055はかっこいいデザインです

症状:音がでない。
まず6C-055のケースを観察すると大きな傷はなく比較的きれいな状態のラジオのようです。ラジオに電池を入れてスイッチをONにしても微かにプチッと音が聞こえますが無音状態です。あれこれ調べ、音が出ない原因は検波後の3段目増幅部のトランジスタ不良とわかりました。トランジスタを外してトランジスタテスタで測るとNG表示です。外から観察すると底面にひびが入りトランジスタの足がグラグラしていますのでトランジスタ内部での断線です。ラジオを修理しようと基板を外した作業中に一番角にあるトランジスタに強い力がかかり破損したものだと思います。

今回は故障したトランジスタ2SB185の代わりに規格が近い代替品2SB475を使用します。外観の違うトランジスタだと基板上で違和感がありますのでSANYOの古いトランジスタには少々細工をします。SANYO 2SB185と書かれた薄緑のカバーをカッターで切って取り外します。あまり見る機会はありませんがカバーを剥がしたトランジスタは銀色の筒で何も書かれていません。次にカバーを交換したトランジスタ2SC475にかぶせて少量のボンドで固定すると立派なSANYOのトランジスタに見えます。少々インチキくさいですが当時の雰囲気を残しておくにはいい方法だと思います。

SANYOゲルマニウム・トランジスタの薄緑色のカバーをはがした姿
薄緑色のカバーを交換した2SC475に被せるとSANYOの雰囲気になる 
再度、スイッチをONにして試聴してみますと今度はバリコンを回すとバリバリ音はしますがうまく選局できません。2つ目の故障はポリバリコンの破損です。写真でもわかると思いますがポリバリコン内部のポリプロピレンが破れてクシャクシャになっています。この6C-055ではよくある故障です。
SANYO 6C-055の内部が破損したポリバリコン

ただし、このポリバリコンは標準サイズ20mm角ではなく超小型の16mm角のものを使用しています。今では入手できない品物です。もう一つ壊れたポリバリコンがあれば分解して再構築できるのですが、ポリバリコンの再構築(修理)はAM用2連だと半日くらいかかってしまうので余程切羽詰まった状況でなければやりたくありません。あとはナショナルのポケットラジオR-166などから部品を拝借するしかないと思います。今回はたまたま手持ちの16mmポリバリコンがあったのでこれを使います。

入手困難な16mm角の超小型ポリバリコン

ポリバリコンを交換してようやく修理完了かと思ったら問題発生です。ポリバリコンの回転角が90度違いダイヤル目盛りがずれてしまいます。無理やり90度傾けてダイヤル目盛りの取り付けをしてようやく終了。

今度はピィーピィーガッーガッーとダイヤルを回しても選局できません。3つ目の故障は電解コンデンサーの容量抜けみたいなので交換します。交換後は発振は止まり選局できるようになりました。最後に受信感度を調整して終了です。

修理したSANYO 6C-055の基板を見る
今回のSANYO 6C-055には、故障個所が多く手こずりましたがようやく完成しました。小さなポケットラジオですが、当時のSANYOさんが新しい個性的な製品を生み出そうとする努力を実感できる修理でした。

2022/01/14

マークオーディオ OM-MF5 8cmフルレンジ・スピーカーをツイーターとして使う

 TANNOY Mercury 7.1にマークオーディオ OM-MF5をツイーターとして使ってみました。

TANNOY Mercury 7.1とマークオーディオ OM-MF5のツイーター

マークオーディオ OM-MF5をツイーターにしようと思ったのは、メインスピーカーのTANNOY Mercury 7.1の高音が足りないことに不満があったからです。TANNOY Mercury 7.1は、2WayブックシェルフでH270×W160×D194.7(mm)の小型ですが低音が豊かで奥行きのある音楽を聞かせてくれるスピーカーです。しかし、このスピーカーには大きな不満が1つあり高音が不足して欲求不満になるんです。ブックシェルフとしては上品なイギリスらしい音作りとは思いますが上品すぎて私との相性は今一歩でした。そこで、隣に飾ってあったマークオーディオのスピーカーの繊細な高音とTANNOY Mercury 7.1の組み合わせを思いつきました。

材料としては、今回も本屋で見かけたStereo誌の付録2つ(スピーカーとエンクロージャー)を衝動買いして組み立てたものを改造しています。
・これならできる特選スピーカーユニット マークオーディオ編 特別付録:マークオーディオ製 8cmフルレンジ・スピーカーユニット
・スピーカー工作の基本&実例集2018 特別付録:マークオーディオ OM-MF5 8cmフルレンジ・スピーカーユニット対応エンクロジュア・キット

この組み合わせで製作したマークオーディオのスピーカーはH202xW120xD141(mm)のバスレフ構造で、このサイズとしては今までのスピーカーにはないマークオーディオらしい繊細な音質を聞かせてくれます。使用するスピーカー・ユニットOM-MF5の特性を見るとフルレンジですが15KHzをピークにだら下がりの特性なのでツイーターでもいけそうです。また私はソフト・ドーム・ツイーターを使った製品が比較的好きなので、マークオーディオを使えば刺激的ではなく高音をほんのりプラスしてくれるんじゃないかと期待していました。

早速、マークオーディオのキット・スピーカーの改造をしました。エンクロージャーは組立済みだったので、スピーカーが対象に見えるように下部を強引に切断してH202⇒H137のサイコロ型のサイズとしました。ネットワークには1μFのコンデンサを入れ試聴です。これは大失敗でした。エンクロジャーの下部を切断して底板をつければ、ただの密閉型のスピーカーでユニットが振動できず高音はさっぱりでませんでした。フルレンジ・スピーカーとしても詰まった音で使えたものではありません。マークオーディオの軽量メタルユニットを自由に振動させるには空気の流れを遮ってはいけなかったと反省しきりです。

マークオーディオ OM-MF5ツイーターの背面に開口部をつくる

今度はエンクロージャーの背面に空気抜きの穴を開けました。背面の板がなければいいのですがスピーカー端子を確保するため強引に穴を開けたので仕上がりが悪く恥ずかしいかぎりです。

再度、試聴してみましたが”すばらしい”の一言です。TANNOY Mercury 7.1に足りなかった高音が聞こえてくるじゃないですか。それも繊細な高音で全体のバランスも自然で違和感がまったくありません。マークオーディオの音質なら相性はいいと思いましたが私的にも大成功です。さらに私の好みでネットワークのコンデンサを1μF⇒2.2μFぐらいにして高域を少し増やしたほうがBESTだと感じています。

TANNOY Mercury 7.1は奥行きのある音楽を聞かせてくれるのが魅力のスピーカーです。マークオーディオのOM-MF5をツィーターとして使うことで高域がグレードアップして、より音楽を楽しく聞かせてくれるスピーカーに変身しました。

2022/01/10

SONY RESERVE-12 DC TIMER T-19H 修理(スカイセンサーのタイマー時計)

T-19は、SONYのラジカセ CF-1900専用の別売タイマーです。カタログに録音・受信・停止が自動でできる、電池式タイマー(別売T-19 4900円)です。写真のタイマーは、SONYスカイセンサーのT-19H 6500円になります。全く同じ外観と中身で何故か型番と価格が違っています。

当時の私の日課は、隔週に発行されるFM Fanの番組表を見ながらCF-1900とT-19の組み合わせでカセットテープに留守録することでした。T-19のタイマーには大変お世話になったのですがタイマーの時刻設定の精度が悪く1~2分ずれるのか唯一の欠点でした。今、オークションなどで入手しようと思うと5000円以上もの高値がついて手が出ません。古いタイマーに5000円もかける気ないのでジャンク品で安く手に入れました。この写真がそのジャンク品です。

ジャンク品なので時刻設定用ツマミを接続プラグが欠損している
幸いなことに時計は動作しましたがジャンク品の名に恥じず、いろいろ壊れていて修理が必要になりました。症状:①TIMER SETのツマミなし、②裏ブタの爪が破損して固定できず、③CF-1900と接続するピンジャックなし。
TIMER SETのツマミは小型なので市販品では代用できそうにありませんので自作することにしました。材料は、水性ペンのキャップ、水性ペンの中空の芯、プラリペア(プラスチックの造形補修剤)の3つです。

T-19H 時刻設定用のツマミ部品
水性ペンのキャップを1cmほど切断してツマミとして利用します。次に水性ペンのインクの芯を先ほど切断したキャップとプラリペアのプラスチックで一体化させて作ります。私はラジオのツマミ職人ではないので写真のような出来栄えが限界です。

プラリペアを使ってツマミを完成させる

裏蓋のプラスチックの細長い爪が破損していてプラリペアでも補修できそうにありません。あきらめて黒のプラスチック製スペーサとネジで固定できるようにしました。最後に新しいピンジャックを取り付けて完成です。

T-19Hの裏蓋と接続プラクの修理完成

ジャンク品はツマミ一つあることでオリジナルのような雰囲気に生まれ変わりました。今回の修理で懐かしい製品がまたひとつ部屋に戻ってきました。

ツマミがついて元の雰囲気に戻ったT-19H

2022/01/09

Toshiba IC-70 GT RADIO 修理(電池フォルダの受け金具の製作)

東芝 IC-70 GT RADIO 1969年(昭和44年) 9400円の製品です。自宅でも使っていた懐かしい製品です。小型でスタイルも良く高性能なラジオだったと記憶しています。

垢ぬけたデザインの東芝 IC-70

症状:電源が入らない:IC-70の蓋を開けてみます。

東芝 IC-70の蓋を開け内部を見る

長い間電池を入れたままにしていたのか、電池フォルダーのプラス側・受け金具が写真のように厚みのある緑青(ろくしょう)でおおわれていました。これでは通電できません。外部から6Vを直接つないでみるとラジオは元気よく鳴りましたので、受け金具がサビて通電できなかったことが故障原因です。

東芝 IC-70の電池フォルダーの受け金具が青い緑青で覆われている
 緑青の落とし方はネットでたくさん紹介されていますので調べてみてください。しかし、ラジオの金具のサビを落としてもしばらくするとまた通電しなくなりラジオを楽しむどころではなくなることがよくあります。
 今回は電池フォルダーの受け金具を交換してみたいと思います。まず、この製品の受け金具は独自の形状で他のラジオにはありませんので流用部品は手にはいりませんので、受け金具を自作することにしました。この受け金具の形状は100V電源プラグの受け側に似ていたことから電源プラグの金具を加工して作成します。110円で買った電源プラグは、電気系統の金具で電極を挟み込む形状でしかもビスで固定できる穴まで開いていますので材料としては理想的です。
東芝 IC-70の受け金具の材料になる電源プラグ

1時間ほど作業して写真のような受け金具が完成しました。元のラジオの金具より肉厚の金属で立派に見えます。

完成した東芝 IC-70電池フォルダーの受け金具

東芝 IC-70に作成した受け金具を装着する

最後に電池フォルダーを脱着を繰り返して金具のはさみ具合を調整をします。

東芝 IC-70の電池フォルダーと受け金具の接続を調整する
この自作の受け金具に交換してから通電トラブルは皆無になりIC-70を快適に利用しています。

2022/01/08

コロンビア T-96 6トランジタラジオ(ポケットラジオの修理で一休み)

COLUMBIA T-96 6トランジタラジオ 1970年(昭和45年)、3200円の製品です。この製品もかなり古く、ゲルマニウム・トランジスタを使っています。

オーソドックスなデザインのCOLUMBIA T-96

症状:電源を入れるとノイズがあり受信できない。本体スピーカーカバー右横に凹み傷あり。T-96の電源を入れると、大きな音でピィー、ガッーなどのノイズ音しかでません。そこで、選局ダイヤルをまわしてみると数か所の特定の位置で大きなノイズ音になります。これはラジオが発振しているときの現象です。電解コンデンサーの容量が抜けて発振したようです。基板を詳しく見ると、すでに電解コンデンサー1個が交換されていることに気づきました。過去にも同様の故障があったのでしょうか?また、ボリュームの丸い保護カバーがバラバラに破損しています。ボリュームを外した形跡もありませんのでラジオを落としたりして破損したのだと思います。

COLUMBIA T-96の内部ではボリュームの保護板が破損していた
まず最初に電解コンデンサーをすべて交換します。交換により、発振はなくなり正常にラジオが聞けるようになりました。次にボリュームに綿棒でコンタクトスプレーをつけてみがきます。ボリュームの保護カバーは他から移植しました。修理後は以下の写真になります。

COLUMBIA T-96の電解コンデンサ交換後の基板を見る

修理が完成まじかのCOLUMBIA T-96

次にスピーカーカバー右横に凹みの修理です。

COLUMBIA T-96の凹んだ四角いアルミのスピーカーカバー

スピーカーカバーの枠とカバー(穴あきアルミ板)を本体から慎重に取り外します。カバーの枠の内側から押して変形箇所を少しづつ元に戻す作業をします。アルミ板も傷がつかないように布や厚手のウェットティシュなどを使って工具で修理します。ラジオ本体に戻す時には、修理面を下にして取り付ければ傷が目立ちません。

修理してきれいになったCOLUMBIA T-96のスピーカーカバー

元の姿に修復できました。ポケットラジオの手軽な修理で息抜きして次の修理に取りかかりたいと思います。

2022/01/03

FMステレオチューナー 修理(ガラス管ヒューズ型電球の自作)

TRIO FMステレオチューナー KT-5500の故障で一番多いのはガラス管ヒューズ型電球が切れることだと思います。

TRIO KT-5500の美しいパネル照明

焼き切れたガ ラス管ヒューズ型電球です。 

焼き切れて黒くなったガラス管ヒューズ電球

一般に市販されていますが1個1000円と高すぎますし必要とする電圧もありません。そこで、KT-5500向けにLEDを使ったガラス管ヒューズ型電球を自作してみました。材料は、LED PARADISEエルパラから購入しました。ガラス管ヒューズ型電球を10個作成できる部品表で約2500円ほどになります。
材料一覧:5060 3chip電球色LED LP-5060H343W-3 10個セット×2 、チップ抵抗 1/4W 240Ω   10個セット×2 、T6.3バニティーランプ用両口金 10個セット×1 、T6.3バニティーランプ 5060 2LED基板 10枚セット×1
自作することにより必要な電圧や好きな色を選択できるのが魅力です。

完成したLEDガラス管ヒューズ電球
完成したLEDのガラス管ヒューズ型電球です。

TRIO KT-5500にLED電球を装着した様子

KT-5500への実装写真です。 

LED電球でよみがえったTRIO KT-5500の照明

新しいLEDによる素晴らしい照明でKT-5500が生き返ったのをご覧ください。お手持ちの古いオーディオ機器にLEDによるガラス管ヒューズ型電球を自作してみてはいかがでしょうか。

2022/01/02

PIONEER TX-50 AM/FMチューナー(ステレオ・ランプの修理)

 PIONEER TX-50 FM/AMチューナー 1969年 24,000円、プリメインアンプSA-50とペアになる製品です。この後発売されるTX-50Aは垢ぬけたイメージですが、私はTX-50の何となく哀愁を帯びたレトロなパネルが好きです。

レトロなデザインのPIONEER TX-50

PIONEER TX-50は海外ではTX-500の型番で発売されていました。写真はTX-500の回路図になります。電圧仕様により、いろいろなTUNER UNITがあるようですが回路そのものは同じなのでこれを修理の参考資料にしています。

症状:ステレオランプが点灯しない:ステレオランプが点灯しないのでLEDが切れていないかを確認します。LEDはOKなので、次に19kHz パイロット信号検出用の同調コイルを回してみます。同調コイルを回してもステレオランプ点灯しません。同調回路で19kHz パイロット信号を検出できないようです。

PIONEER TX-50の内部を見る
 ここで私は大変な失敗をしました。同調回路のコイルとコンデンサを基盤から取り外して確認しようとしました。あろうことか、同調コイルのリード線のはんだの残りで基板に引かかりリード線ごと破損してコイルを断線させてしまいました。修理どころかステレオランプ点灯は絶望的な状況です。普通は同調コイルの部品交換ですが、この時代に可変コイル20mHなんて売っている気がしません。今時、同調コイルを使う人がいるとしてもFMラジオを自作する数少ない貴重な技術者だけです。ネット通販で探しますがやっぱり見つかりません。修理は絶望的です。修理を諦めてから数日たって、もしかしたらと思うのは川崎や横浜ににあるサトー電気です。他のお店では見つからない古いラジオ部品を多く取り扱っています。ホームページがあるので部品を探すと奇跡的に20mHの同調コイルが販売されてました。20mH大量入荷?と書いてあります。誰が使うのか疑問ですが交換部品が見つかり早速注文しました。
パイロット信号を検出するための20mH同調コイル

 これが20mHの同調コイルです。

PIONEER TX-50の20mH同調コイルを交換

 チューナー基板に実装します。手前左側が交換した同調コイルです。同調コイルを回しますがやっぱりステレオランプが点灯しません。うまく19kHzに同調できないようです。

コンデンサを追加した様子

 そこで、同調周波数を再計算してコイルではなくコンデンサ側の容量を220pfほど増やしてみました。再度、同調コイルを回すとステレオランプ点灯するようになり成功です。最初からコンデンサ追加で様子をみればよかったとしきりに反省しています。

 今回は自分のミスで冷や汗をかく事態に陥り、たまたま見つかった部品に助けてもらった修理でした。

2022/01/01

TRIO KT-5500 FMステレオチューナー 修理(タンタルコンデンサのカラーコード)

 今回は、TRIO KT-5500 FMステレオチューナーの修理です。TRIO KT-5500 FMステレオチューナー 1975年 38,000円で5連バリコンを採用しています。プリメインアンプKA-5500とペアで販売されていた懐かしい製品です。KT-5500は一回り小さなボディーですが操作感は上位機種と同じ感触で高級感もあり個人的に大変気に入っているチューナーで今でも愛用しています。
 症状:電源が入らない:チューナーの中を覗くとヒューズが飛んでいるのでヒューズ交換します。再度電源を入れてもヒューズが飛んでしましました。どこかで過電流が流れているようです。ヒューズをたどり故障の原因はタンタルコンデンサ不良と判明しました。
 ご存じのようにタンタルコンデンサの故障モードはショートになります。そのためタンタルコンデンサが故障してショートになりヒューズが飛んで電源がはいらなかったみたいです。たぶん、チューナーの電源入ったままACコードを抜いたり、電源ON/OFFを繰り返したことによる経年劣化だと思います。タンタルコンデンサは定格電圧を超えるととすぐにダメになるので古いオーディオ機器では要注意です。
 しかし、タンタルコンデンサを交換しようと思ったのですが困ったことが発生しました。TRIO KT-5500の1975年発売当時の初期製品にはタンタルコンデンサの容量表示がカラーコード表示のため見方忘れてわかりません。KT-5500を数台もっているので、ためしに中をのぞいてみると故障個所は青いタンタルコンデンサに替わっていて容量3.3μfと電圧25Vと書いてあります。幸運に恵まれて問題は解決しましたが、KT-5500のすべてが数字表記のコンデンサに置き換わっていません。今後の修理に支障をきたしそうです。

今では貴重なタルタルコンデンサのカラーコードの見方

昔、タンタルコンデンサの読み方を何処かで見た記憶があり探すと古い手書き資料が見つかったのでご紹介します。 

TRIO KT-5500に実装されているタルタルコンデンサ

写真のタンタルコンデンサは特にわかり難いです。2色に見えますが3色として読みます。上から緑5、灰色8、灰色25V、白丸0.1μfで、5.8μf/25Vになります。 容量の欄には×100μF?などありますが古い記憶なので間違いがあってもご容赦ください。

2021/12/29

エーワイ電子 アナログ電源

今回は、Topping D3の電源部の改善のご紹介です。Topping D3の電源供給にはACアダプターを使っています。それもスイッチング式のACアダプターなので音質にはいい影響はありません。これは、トランス式ACアダプターに交換することで音質は確実に改善されます。実際にトランス式ACアダプターに変更すると音のザラツキがなめらかになり静寂性がアップします。しかし、どう見てもACアダプターなので電源部は貧弱です。更に良い電源はないかと探しあてたのが、株式会社エーワイ電子のアナログ電源です。

エーワイ電子 アナログ電源

エーワイ電子さんは、個性的なオーディオ機器を製造販売しています。他では手に入らないアナログ電源やケーブル類もありますので、一度ホームページをご覧になったらいいかと思います。

TOPPING D3と接続したエーワイ電子 アナログ電源の様子
アナログ電源は写真のようにTopping D3ヘッドホンアンプより高さがあります。エーワイ電子のアナログ電源に交換すると、トランス式ACアダプターより更に音のザラツキがなめらかになり静寂性が増すと同時に音に深みがでてきます。電源の影響が大きいことは、わかっているつもりでしたが音質改善の大きさに軽くショックを受けました。バスパワーやACアダプターのオーディオ機器は 電源部に無理があるのかと悩みは絶えません。※参考までにTopping D3は動作できる電圧は15Vと表示されていますが、実際には9V~15Vまでであれば正常に動作するようです。ACアダプターの電源部を一度見直して音質を確認してみることをお勧めします。
 
2024.11.10 電圧調整
 購入してから、数年経過したので出力電圧をチェックしたところ少し変動してました。アナログ電源の内部には、可変抵抗があり出力電圧を調整することができます。9V 3Aで購入しましたが、TOPPING D3の標準電圧の15Vに変更しました。 DACの音は標準電圧15Vの方が音の響きも良く最初に電圧調整しておけばよかったと後悔です。株式会社エーワイ電子のアナログ電源は電圧に汎用性があるのでお勧めです。

Topping D3 ヘッドフォンアンプ (オペアンプTHS4631へ交換)

いまさらですが、昔やったUSB DACのオペアンプ交換による改善についてご紹介します。PCオーディオを始めたのですが、正直USB DACを導入しても思ったような高音質を実現できていませんでした。

正面から見たTopping D3

私が愛用しているのはUSB DACのヘッドホンアンプ Topping D3です。発売開始:2013年、販売価格:21,800円、スペックも192kHzまでの古い機種です。筐体のアルミ削り出し全面パネルやボリュームの感触はこの価格帯では得られないものです。しかし、肝心の音を左右するオペアンプにはOPA2134が採用されています。

Topping D3の内部

Topping D3には写真のようにヘッドホン用とRCA用の2個のオペアンプ が使われていて、ソケットを付けオペアンプを交換できるようにしました。

Topping D3にICソケットを取り付け

Topping D3にTHS4631を実装した様子
オペアンプ交換による音質評価です。
OPA627AU:帯域は拡がりクリアですがバランスの良い音質に改善します。
THS4631:発振するのではないかと心配しましたが非常に安定しています。音質は広帯域で鮮烈で切れ味のある音の一言に尽きます。期待値を大幅に上回っていて昔ならこの価格に0を一つ追加してもこの音質は実現できそうにありません。
 いろいろなオペアンプに交換して音質評価しようと思っていたのですが、THS4631から他のオペアンプや新しい機種を交換する必要性は今でも感じられず使っています。また参考までに、Topping D10は最初からICソケット付になっているので、これもTHS4631に交換しても発振もせずに高音質を実現できることを確認済みです。
 私が慣れ親しんだアナログの世界では個人で改善できることが無数にあり、それがオーディオの一つの楽しみ方にもなっていました。PCオーディオにも個人による改善の余地があることが実感でき、また新しいオーディオに夢中になるのは確実のようです。