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2025/12/21

Pionner パイオニア F-003 FMステレオチューナー

シルバーの前面パネル
背面パネル

Pionner パイオニア F-003 FMステレオチューナーの紹介です。1979年、42,000円のFM専用チューナーです。 タッチセンサーターボロック方式による心地よいチューニングが特徴のチューナーです。昔、F-005を使っていましたがF-003でも操作感は同じで快適です。

AUDIO別冊ステレオコンポ回路図集(表紙)

F-003回路図

昭和53年7月 電波新聞社 AUDIO別冊 世界の銘器 ステレオコンポ回路図集にF-003の回路図が掲載されています。 

内部はF-005に比べると簡素になっています。pioneer独自のICが採用されています。このICは入手困難です。入手できても高額かもしくは代替基板になります。要注意のICです。

FM専用機らしく5連バリコン が採用されています。

簡単な動作確認をします。受信できますがレベルメーターとセンターメーターの動きがバラバラで不自然です。ステレオランプも点灯しません。タッチセンサーターボロックも動作しません。

交換した劣化部品

劣化部品は全て交換します。

電解コンデンサ セット(500個)へのリンク

再度、動作確認をします。無調整ですが正常に動作するようになりました。メーター、ステレオランプ、タッチセンサーターボロックも正常です。電解コンデンサの劣化による動作不良が原因だった模様です。あっさり修理が終わり拍子抜けです。故障箇所はないので再調整します。

調整後にヒヤリングします。重心が低くメリハリのある音がします。高域は程よく伸びており聞きやすい音です。S/Nも良いです。タッチセンサーターボロック方式により神経質にならずに簡単にチューニングできて快適な操作感です。

F-005よりシンプルで再調整しやすい機種です。音の好みは別としてタッチセンサーターボロック方式が欲しいのであればF-003の方がお勧めかと思います。今では見られない大型の筐体のチューナーです。鮮やかなシルバーと明るい照明のデザインが印象的です。全く古さを感じさせなFM専用チューナーが復活しました。

2025/10/04

PIONEER TX-15 真空管FM/AMチューナー

 

 PIONEER TX-15 真空管FM/AMチューナーの紹介です。1965年頃、31,800円の製品です。ダイヤルスケールの窓が大きく大胆で斬新なデザインです。

ダイヤル目盛りにステレオランプ、ビーム・インジケーター(マジックアイ)によりチューニングと受信レベルを知ることが出来ます。窓の横にはAGCスイッチがあります。

 

回路図はいろいろな雑誌に掲載されています。「電波実験 新ステレオ回路集」の回路図は2ページにわたり大きて見やすく部品配置図もあり修理にとても役に立ちます。

 

ここまではいつもの製品紹介です。外観は綺麗なのにやっかいな不具合や損傷のあるチューナーです。上の写真を見てください。MPX回路の中央T502、その左L502、L504が横倒しになって断線しています。コイルの損傷をくわしく調べましたが修理はできそうにありません。入手は困難な部品です。ジャンク品の保存部品からなんとか代替えできる部品を探して交換しました。

フライホイールと一体のダイヤルツマミの軸が折れています。しかたなく、ジャンク品から糸巻の位置の高さがあう部品を見つけて交換しました。交換作業は半日かかります。

電源も入りません。電源回路の200Ω8Wの抵抗が焼き切れて断線です。劣化による過電流が原因かと思います。セメント抵抗に交換して電源が入るようになりました。
内部は全体的に劣化が激しいです。劣化部品を全て交換します。各所の電圧を測定しますが、これもかなりズレているので抵抗で6か所ほど電圧調整しました。ハンダづけがあまく芋ハンダで接触不良が多いです。全て再度ハンダづけを施します。裸線の空中交差もありエンパイヤチューブなどで補修します。
この時点でためしに動作確認をします。受信はできますがステレオランプが点灯しません。
半固定抵抗VR502が不良でステレオランプが点灯しません。丁度良い抵抗値がなく高級なネジ止め付きのボリュームをセパレーションボリューム横のシャーシに取り付けました。また、セパレーションも不安定なのでボリュームを分解・清掃します。
上の写真が修理後の姿です。受信レベル、セパレーション、ステレオランプを調整します。しかし、80MHz付近で無音ですが受信レベルが上がりFM放送とバッティングしてFM放送が阻害されます。AGCも動作不良です。
この不具合の現象は過去にも経験しています。IFTのコンデンサ容量抜けです。初段のIFT一次側に20pFを入れます。無音の不要な妨害波はなくなり、80MHzのFM放送が正常に受信できます。
 
最後にスイープジェネレータを入れて確認します。 10.7MHzのIF波形はきれいな波形でOKです。
Sカーブを確認しますがバランスが崩れています。検波回路のダイオードを交換します。
ダイオードの交換によりSカーブのバランスが戻りました。この状態で再度調整します。
ヒヤリングします。FMステレオではホワイトノイズがやや多めです。FM放送はすっきりした音質で好感がもてます。真空管の劣化でしょうか受信レベルが低いのがホワイトノイズが多い原因かと思います。TX-15は昔のラジオ雑誌でよく広告を見ました。 TX-15のようなセパレートステレオは高級品です。我が家はがんばって家具調のナショナルSE-6200Aが精いっぱいです。現在ではTX-15はあまり見かけません。出回っている数も少ないチューナーです。手強い修理作業は昔を懐かしむ貴重な時間になりました。

2025/08/10

PIONEER TX-70 AM/FMステレオチューナー(バラクタ方式)

PIONEER TX-70 AM/FMステレオチューナーの紹介です。1969年、39,800円の製品です。正面右側の5個のプリセットチューニングが最大の特徴で当時としては斬新な機能です。パネルは賑やかですが整然と配置されています。操作が楽しく照明が美しいチューナーです。前面パネルの両サイドが木製で高級感があります。

背面にはセパレーションボリュームと音声ボリュームがあります。アンプを経由しないで直接テープレコーダーと接続できる音声出力端子が設けてあります。

FM局をプッシュボタンで選局できるプリセットチューニング付のAM/FMステレオチューナーです。プリセットチューニングの一番左のMANUALボタンを押すとダイヤル針の照明が点灯して本体側のダイヤルでチューニングできます。プリセットチューニングは1番~5番のボタンを押しツマミで選局をセットできるユニークな機構です。

内部を覗いてみます。フロントエンド、IF、MPX、電源と機能毎にプリント基板が配置されてています。

このチューナーはバリコン が印象的です。2連AM用バリコンのみでFM用バリコン がありません。

プリセットチューニングを実現させるためにFM用バリコンなしのボリュームでFM選局させるバラクタ方式を採用しています。 AM用バリコンの回転を歯車につたえボリュームと連動させています。FM受信周波数はこのボリュームを変化させてバラクタダイオード(バリキャップダイオードや可変容量ダイオードの名称でも呼ばれる)で選局させるユニークな仕組みです。

劣化部品は全て交換します。消費電流を確認しますが0.45Aも流れています。電源トランスも徐々に熱くなってくるので過電流のようです。ラジオは受信できるのでそれ以外の箇所で漏電していると思われます。AF UNITの3番端子を切り離すと0.25A程度に下がります。ただし、3番端子はPUSH SWITCH UNITの5番端子とステレオランプにつながっているだけで0.2Aも流れるはずのない回路です。PUSH SWITCH UNITの1μFの電解コンデンサの不良でした。過電流を想定していない危険な回路設計かと思います。対策として高耐圧160Vの1μFと交換します。過電流はなくなり0.25Aで安定しました。

次に動作確認をします。受信レベルが小さく放送局が混信します。調整してみますがフロントエンドのLoフェライトコアが破損して回りません。コイルの底が基板なのでフェライトコアを砕いてから逆さまして取り出します。新しいフェライトコアに交換すると受信周波数が調整できるようになります。

次に受信レベルが低いのはフロントエンドの性能劣化が疑われます。フロントエンドのカバーを取り外すと、2SK19×1、SE3001×2が使われています。FETとトランジスタを交換ます。2SK19は2SK192aに交換します。SE3001は代替事例がみつかりませんがSE3001の代わりに2SC1675に交換しました。FETとトランジスタの交換により受信レベルは正常になります。

FET 2SK192a:Amazonへのリンク  

トランジスタ 2SC1675:Amazon へのリンク 

次に高い周波数の放送局の受信調整が指定範囲に収まりません。フロントエンドのトリマーコンデンサが不良です。20pFのトリマーコンデンサを交換して高い周波数の放送局も調整出来るようになりました。

トラッキングのバンド幅が広すぎるのですが調整方法が不明でした。フロントエンド横のVRでバンド幅を調整できることが判り調整します。

このチューナーはランプの種類と数が多いです。ダイヤル針のムギ球、両側のガラス管ヒューズ型電球×2、シグナルメーターのE10電球が切れていたので交換します。

上の写真は交換した部品です。電解コンデンサは底のゴムが膨らんで劣化していものが多数です。フロントエンドに電源供給する外観では劣化がわからない電解コンデンサ220μFを交換するとステレオランプのチラつきなくなり動作が安定します。この年代のチューナーは全ての電解コンデンサを交換するのがよさそうです。

測定器を入れて音声出力を確認しますが調整してもモノラルでステレオになりません。MPX回路の19k Hz出力はOKですが38k Hz出力がNGです。1N60の故障です。交換して38k Hz出力がOKになり音声は正常にステレオ出力するようになりました。

次にステレオなのですがRight側の音声波形が小さいです。FM IF基板の出力トランジスタのベースで波形が小さいです。マトリックス回路のダイオードOA79が故障しています。4本中2本が故障です。1N34Aに全て交換します。Right側の波形出力は正常になりました。最後にセパレーションを調整して終了です。

ゲルマニウムダイオード 1N34Aへのリンク  

操作感ですが、ダイヤルノブは小さいですが小型フライホイールを採用していて操作は良好です。ダイヤルスケール幅は短くややチューニングしにくいです。プリセットチューニングのツマミは小さくチューニングしにくいですがボタンを押した感触はとても良いです。ミューティングはややきつめに動作し、AFCは穏やかに効く感じです。ヒヤリングします。音質は上下の帯域が広く感じます。パイオニアらしいあざやかな高音です。低域はダンピングが効いたように気持ちよく弾むような音がします。全体として上手くまとまった良い音がするチューナーです。

今回は 故障箇所が多く修理に苦労したせいか少しレトロなTX-70が気に入っています。微妙な調整が必要で作業が大変なチューナーですが完成したチューナーはとても良い音がします。当時のデザインやプリセットチューニング、バラクター方式などアナログ・チューナーの魅力が満載です。TX-70は多くの特徴があり使っても眺めても楽しいチューナーです。

部品の入手先

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2024/07/07

PIONEER F-005 (クォーツロック・タッチセンサーシステム搭載)

PIONEER F-005 FMステレオ・チューナーの紹介です。1979年、58,000円のクォーツロックとタッチセンサーを搭載したFM専用チューナーです。当時、F-005を愛用していました。5素子のFMアンテナを建ててFMエアチェックに使っていた懐かしいチューナーです。

上の写真はF-005の回路図です。電波新聞社 AUDIO別冊ステレオコンポ回路図集にPIONEER F-003、F005、F-007、F-26の回路図が掲載されています。 F-005のプリント基板には何故か部品番号が書かれていません。修理作業で回路の把握に少し時間がかかりそうです。

最初に劣化部品を交換します。交換後に動作確認をします。FMは受信できているようです。左右のOUTPUT端子からは音声が聞こえます。ただし、受信レベルメーターとチューニングメーターは調整要、STEREOとTUNE、LOCKEDランプは不点灯、トラッキングは大幅なズレがある状況です。受信レベルを調整してレベルメーターは正常に振れるようになりSTEREOランプも点灯します。しかし、TUNEとLOCKEDランプは不点灯のままです。チューナー部分は正常に修理できましたがクォーツロック回路に不具合がありそうです。

 
TUNEランプの動作を確認します。APC回路の同期出力:7番端子とチューニングノブのON/OFF検出が関係しています。APC回路の各電圧および周波数を調整しますが、TUNEランプが点灯しません。調べた結果、1つ目の原因はAPC10番端子に入力する中間周波数の波形が周期的に崩れていました。基盤側のQ4:2SK19の不良で交換して正常に波形出力します。
2つ目の原因はAPC7番端子出力により制御されるQ21、Q22(2SC945A×2)およびチューニングノブON/OFFを制御するQ12、Q14、Q15、Q17(2SC945A×4)を交換して正常に動作するようになりました。また、TUNEランプが正常になるとともにLOCKEDランプも正常に動作するようになっていました。

最後に音声出力の波形が歪んでいるので原因の切り分け作業をします。OUTPUTではFMジェネレータからの信号が大きいと波形がつぶれて歪んでいます。PA3001出力のHORIZ出力で波形正常。PA1001 L.P.F出力:68番、69番端子で波形正常。PA1002A出力:51番、54番端子で歪ありNGでした。PA1002Aの故障の模様です。PA1002Aを交換して波形は正常です。PA1002A交換により雑音を消しきれなかったミューティング機能も正常に動作するようになりました。スペアナ(19kHz)を見ながらパイロット・オート・キャンセラー調整用のVR5で最小になるように調整すれば終了です。

ヒヤリングしてみます。帯域も広く感じられクリアで明るい音質です。音にサラサラ感があり気持ちがいい音質です。また音のバランスも良く奥行も感じられる良質な音作りです。パイオニアらしい音を持ったチューナーかと思います。

今回のようなF-005の修理前提の購入はあまりお勧めできません。オートロックが故障していた場合、調整だけですめばいいですが故障していると原因特定に時間がかかります。パイオニアのFM用ICも入手が難しいです。しかも回路図が必要です。修理して再調整できれば、このチューナーは完成度も高く操作感も格別な製品に生まれ変わります。懐かしいチューナーです。F-005が発売された当時はオーディオ全盛期の穏やかでいい時代でした。