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2023/10/01

SANYO サンヨー IC-ST71 AM/FM ステレオ・ラジオ(アンテナ端子を付加)

SANYO サンヨー IC-ST71 の紹介です。1972年頃、16,800円のSANYO TRANS WORLDシリーズのラジオです。TRANS WORLDシリーズは遊び心満載のラジオです。代表機種はRP-7500(トランシーバー機能を搭載)、MR-4180(初期のラジカセ)です。どちらの機種も外付けステレオキャスト(FMアダプタ)によりヘッドホンでFMステレオ放送を聞くことができます。今回のIC-ST71は、FMステレオ機能を内蔵した数少ないラジオ製品です。FMステレオ機能を内蔵した機種は他にもあり、17F-B88V、MR-416、10F-B56+MAX-56などです。IC-ST71の特徴はポータブルラジオでFMステレオ放送を左右の内蔵スピーカーで聴けることです。競合する機種がありナショナル のサウンドスコープRF-787、ソニーのマトリックスサウンドMS-3200などです。

 

ラジオ正面中央のメーターは面白い使い方をします。その名もバランス・インジケータ。左右の音の大きい側(LまたはR)に針が振れます。メーターの針が中央に来るようにバランスで調整します。名前の通り左右の音のバランスを確認するためのメーターです。

ラジオの状態を確認します。ボリュームの文字などが消えかかっています。 ステレオランプが点灯しませんし、ラジオは受信できますが不安定です。中を覗いて見ます。 両脇の丸いヒートシンクを付けたトランジスタが出力段のようです。ボリュームの配線につながる先はMPX回路かと思います。ステレオランプの接続先は19kHzの抽出回路でしょうか。中央にあるSANYO LA1201はIF用のICです。

ラジオ部品の一部に劣化の兆しが見られます。劣化部品は全て交換します。少しづつ交換しながらラジオを聞いて作業を進めます。交換が進むに従いノイズやラジオの受信状態が徐々に改善されてきます。

受信感度を調整します。次に上の写真の半固定抵抗を回しますがグラグラで接触不良のため交換します。取り外すとバラバラに分解してしまいました。これでは受信が安定しないのも当然です。 

調整によりステレオランプも点灯するようになりました。TONEをMIDDLEにすると落ち着いた音を聴かせてくれます。電波が弱いためかステレオ・ランプが揺らめいて安定しません。音もノイズが大きく感じられます。

見た目も大切なので、ボリューム目盛りと機能表示をテプラで修復します。ダイヤル針も赤い塗装を塗り直します。言い忘れましたが、IC-ST71のボリュームダイヤルやチューニングダイヤルの操作感は適度に重く非常に心地よいです。

この機種は外部スピーカーが使えるようにL,R別々に出力するピン端子が用意されています。

外部スピーカーを接続します。予想外の音がします。とてもいい音です。ボリューム3ぐらいで大音量です。出力にも余裕があります。ステレオ・セットで聴いているようです。しかしロッドアンテナでは電波が弱くFM放送はノイズが多く安定しないため改善したいところです。我が家の様に弱電界の地域ではFMステレオ放送を活かすことが出来ません。

F型コネクタから75Ω:300Ω変換をしてアンテナ回路に接続している様子です。

背面パネルにF型コネクタを配置しました。

スカイセンサーの様に外部アンテナ端子があれば受信レベルは改善します。前オーナーが背面パネルに付けた外部アンテナ用ケーブルの跡(穴)を使いF型コネクタを付加してみます。内部で75Ω:300Ω変換もます。外部アンテナ端子とアンテナを接続することで受信感度は大幅に改善します。外部スピーカーでヒヤリングしてみます。素晴らしいステレオ放送の音を聴かせてくれます。この音が、このラジオ本来の音なのでしょう。

 

FMシグナルジェネレータで1kHzをL+Rに送信します。ラジオ出力ではLchのゲインが小さくバランスが崩れていま す。ラジオのバランスを調整します。

外部アンテナを接続した環境で受信感度を調整します。FMシグナルジェネレータで1kHzをLのみを送信します。交換した半固定抵抗でセパレーションを調整します。調整により22dBを確保することができました。これにより音に広がりが出てきます。

当時、FMステレオ放送をスピーカーで手軽に聴ける小型のラジオは少なかったと思います。このラジオには外部アンテナ端子はなく弱電界地域での受信には無理があります。IC-ST71は購入者の電波環境に左右される製品です。簡単なTONE機能しかもたないFMステレオに特化したラジオです。外部アンテナ端子が必要なことはわからないはずがありません。それでも敢えて販売したことに競合他社へのこだわりを感じます。IC-ST71はFMステレオに力を注いだ当時の技術と競争の狭間で揺れ動いた製品なのかもしれません。

2022/11/23

SANYO サンヨー TRANS WORLD Groovy M RP-7500

 

SANYO サンヨー TRANS WORLD Groovy M RP-7500の紹介です。1972年製、16300円のMW,SW,FMの3バンドラジオです。RP-7500にはステレオFM放送を聴くためのステレオキャスト(ステレオアダプター)RB9090 4900円も別売で用意されていました。SANYOさんは個性的なラジオが多いですがRP-7500もその1台です。このラジオの特徴はSTEREOCAST端子とFMトランスミッター機能を搭載していることです。FMトランスミッター機能なしはRP-7000となります。

黒にメタリックを多く使用したボディ中央に大型メーターを配置した華やかなデザインです。

右からPOWER,BAND、VOLUME,TREBLE,BASS,AFC、そしてSTEREOCASTが使いやすく配置されています。

中央右の大きくて見やすいメータはTUNE/BATTとLEVELに切り替えることができます。RP-7500の特徴の一つはFMトランスミッター機能で、PRESS TALKボタンを押すと78MHzでFM波を送信することができます。FMトランスミッター機能ではスピーカーをマイクとして使用するためマイクは搭載されていません。ダイヤル目盛りに青字で78とトランスミッターの周波数表示があり、ここにラジオを合わせることで2台をトランシバー的な使い方ができるようになっています。当時はFMワイヤレスマイク搭載のラジオが多く販売されて人気がありました。

ラジオ2台の周波数が混信しないように背面パネルにはトランスミッター周波数を微調整できるトリマが設けてあります。

別売:ステレオキャスト(ステレオアダプター)RB9090は長期保管していましたが使ったことありません。ステレオキャストを試すためにRP-7500のジャンク品を購入してみました。 ステレオキャスト対応機種は私が知っている限り次のとおりです。RP6000,RP6600,RP7000,RP7410,RP7500,RP7600,RP7700,RP8200,RM8200。また、ステレオキャストを内蔵している ステレオマルチ端子つき対応機種は17F-888V,10F-B56になります。これらはステレオラジカセが発売されるまでの過渡期を彩ったラジオ製品群になります。

さっそくRP-7500のSTEREOCASTの上蓋を開けてRB-9090を接続してみました。ラジオの電源を入れてもRB-9090から音がでません。全くの無音です。そして、あろうことかラジオから異臭がして煙が出てきました。慌ててラジオからRB-9090を取り外して、ラジオの電源を入れてみるとラジオは正常で運よく故障を免れました。故障の原因がRP-7500なのかRB-9090なのかわかりませんが、給電にかかわる故障のようです。

ステレオキャストRB-9090を分解してみました。プリント基板やステレオジャックが隙間なく配置されているので取り出しは大変です。SANYOのステレオアダプタRB-9090はSONY STA-50,STA-60と違い接続プラグが2本出ています。まず最初にこのプラグの接続構成を調べてみました。

ラジオからRB-9090へ給電するための+5.5VとMPX信号は上の図のようにプラグと結線されていました。太いプラグは一般的なラジオのMPX OUTに相当します。そのまま、FMアダプタと接続することもできるようです。RB-9090は電源が不要で電池交換しなくていいので非常にありがたいのですが、今回はこの機能があだになったようです。

 
RP-7500のMPX OUT(太いプラグ)をスペアナで観測してみました。L+R(50Hz~15kHz)、パイロット信号(19kHz)、L-R(23kHz~53kHz)のMPX信号が正常に出力されていることがわかります。

ダメージを受けた箇所が判明しました。RB-9090を接続して過電流が流れスピーカー下のトランス左の抵抗から煙がでたようです。

RB-9090を調べてみたところ故障原因は配線が外れ電源がショートしていました。上の写真は絶縁チューブをかぶせて再配線した様子です。

いい機会なのでプリント基板を見てみるとSANYO A3311というMPX-ICか使われていました。トランジスタ2SB187と黄色い出力トランスとコイルで構成されています。ステレオランプは麦球が使われています。

 

 修理が終わりヘッドホンでFMステレオ放送を聴いてみます。ステレオランプがほんのり赤く光っています。電波が弱いとノイズが多くなり使えません。強電界の放送局ではステレオ放送が十二分に楽しめます。しかしステレオ放送なのでセパレーションが調整できているか気になるところです。テスト信号を流して測定してみると少し左右に信号が漏れています。RP-9090のコイルを赤⇒黄色⇒黒の順に測定器を見ながら調整します。調整が終わったラジオのFMステレオ放送は楽しくていつまでも聞いていたくなります。

70年代のトランジスタラジオ 全盛期に発売されたRP-7500は本当に個性豊かな製品です。今でも色褪せることのないデザインや機能そして操作感を十分に堪能することができます。

2022/01/28

SANYO 6C-055 6トランジスタラジオ修理(個性的なSANYOポケットラジオ)

SANYO 6C-055 6トランジスタラジオ 3900円です。1967年のSANYOのラジオ・カタログに6C-055が掲載されていました。SANYOのロゴから1961年(昭和36年)~1975年(昭和50年)だろうとは思っていましたが、1967年頃 の製品だとようやくわかりました。このSANYOのポータブルラジオはデザインも個性的でダイヤル目盛りを正面に見て右手で選局とボリュームを操作する他社では見ない珍しい斬新なデザインです。

前面から見たSANYO 6C-055はかっこいいデザインです

症状:音がでない。
まず6C-055のケースを観察すると大きな傷はなく比較的きれいな状態のラジオのようです。ラジオに電池を入れてスイッチをONにしても微かにプチッと音が聞こえますが無音状態です。あれこれ調べ、音が出ない原因は検波後の3段目増幅部のトランジスタ不良とわかりました。トランジスタを外してトランジスタテスタで測るとNG表示です。外から観察すると底面にひびが入りトランジスタの足がグラグラしていますのでトランジスタ内部での断線です。ラジオを修理しようと基板を外した作業中に一番角にあるトランジスタに強い力がかかり破損したものだと思います。

今回は故障したトランジスタ2SB185の代わりに規格が近い代替品2SB475を使用します。外観の違うトランジスタだと基板上で違和感がありますのでSANYOの古いトランジスタには少々細工をします。SANYO 2SB185と書かれた薄緑のカバーをカッターで切って取り外します。あまり見る機会はありませんがカバーを剥がしたトランジスタは銀色の筒で何も書かれていません。次にカバーを交換したトランジスタ2SB475にかぶせて少量のボンドで固定すると立派なSANYOのトランジスタに見えます。少々インチキくさいですが当時の雰囲気を残しておくにはいい方法だと思います。

SANYOゲルマニウム・トランジスタの薄緑色のカバーをはがした姿
薄緑色のカバーを交換した2SC475に被せるとSANYOの雰囲気になる 
再度、スイッチをONにして試聴してみますと今度はバリコンを回すとバリバリ音はしますがうまく選局できません。2つ目の故障はポリバリコンの破損です。写真でもわかると思いますがポリバリコン内部のポリプロピレンが破れてクシャクシャになっています。この6C-055ではよくある故障です。
SANYO 6C-055の内部が破損したポリバリコン

ただし、このポリバリコンは標準サイズ20mm角ではなく超小型の16mm角のものを使用しています。今では入手できない品物です。もう一つ壊れたポリバリコンがあれば分解して再構築できるのですが、ポリバリコンの再構築(修理)はAM用2連だと半日くらいかかってしまうので余程切羽詰まった状況でなければやりたくありません。あとはナショナルのポケットラジオR-166などから部品を拝借するしかないと思います。今回はたまたま手持ちの16mmポリバリコンがあったのでこれを使います。

入手困難な16mm角の超小型ポリバリコン

ポリバリコンを交換してようやく修理完了かと思ったら問題発生です。ポリバリコンの回転角が90度違いダイヤル目盛りがずれてしまいます。無理やり90度傾けてダイヤル目盛りの取り付けをしてようやく終了。

今度はピィーピィーガッーガッーとダイヤルを回しても選局できません。3つ目の故障は電解コンデンサーの容量抜けみたいなので交換します。交換後は発振は止まり選局できるようになりました。最後に受信感度を調整して終了です。

修理したSANYO 6C-055の基板を見る
今回のSANYO 6C-055には、故障個所が多く手こずりましたがようやく完成しました。小さなポケットラジオですが、当時のSANYOさんが新しい個性的な製品を生み出そうとする努力を実感できる修理でした。

2021/12/27

サンヨー 6C-19B 6石スーパーラジオ(62年製のポケットラジオ修理)

 もうラジオは買わないと思ったのですが、オークションでラジオ内部の写真をよくみると電解コンデンサーが見当たりません。珍しいので、誘惑に勝てずポッチと押して買ってしましました。調べてみると、サンヨー 6C-19B型 6石スーパー 三洋電機(株) 1962年 6,400円とこのとこです。

レトロな雰囲気のサンヨー6C-19B

サンヨー6C-19Bの基板には電解コンデンサが使われていない

 1962年(昭和37年)、電解コンデンサーの信頼性が低かったのかフィルムコンデンサーとコイルで回路を組んでいるようです。当時の電子回路でもコイルは極力使わない方向だったと思うのですが、信頼性重視もしくはコスト削減のためコイルを多用しているのか理由を知りたいものです。1つ言えることは、コイルを多用しているのでノイズには弱そうです。電解コンデンサーを使わなくてもコイルで同じ性能を実現させた当時の設計者にとっても現在のようなノイズだらけの生活空間はさすがに想像できなかったと思います。しかし、劣化しにくい部品で構成されているためか59年たっても部品交換もなく現役で活躍できるラジオだと思うとなんだかうれしい気持ちになります。ラジオを眺めていると勝手な妄想がとまりません。
 まずは、”鳴らないので普段つかいはできません”とのことなので蓋を開けて確認です。
電池ボックスのスプリングのサビがひどく、これでは通電しないので4.5Vを外付けでつないでみます。運よく故障個所はなく、このラジオは生きてました。生きているとわかれば修理作業です。
①トランスの修理:トランスのサビはひどい状態なので、トランスを基盤から取り外します。地金が出てくるまでサビを落として最後に紙やすりで仕上げ。塗装には我が家の車のカラーペイントを使います。サビ止め効果のある塗料で、筆までついていてとっても便利です。塗装により、少しは見れる状態になりました。

サンヨー6C-19Bの小型トランスの修理

②スピーカー:基板の裏側のスピーカー部分にサビが出ているので、電池の液漏れでもあったのでしょうか。これも同様に、丹念に地金が出てくるまでサビを落として最後に紙やすりで仕上げ。サビ止め効果のある塗料を塗れば、今後サビの心配はありません。
③電池ボックスのスプリング交換:壊れたラジオの電池ボックスのスプリングを修理部品に使いますが2か所交換が必要でした。

サンヨー6C-19Bのスピーカーの修理 

④イヤホン端子:イヤホン端子にはイヤホンを刺したときにスピーカーが切れる接点があります。音が出ないラジオの原因で、イヤホン端子の接触不良も多く見てきました。接点には、お約束のCRCのコンタクトスプレー(接点復活剤)をごく少量塗ればOKです。CRC 5-56ではありません。プラスチックを傷めないコンタクトスプレーを使います。
⑤ボリュームの清掃:このタイプのボリュームは、つまみを外し茶色の薄いカバーを慎重に取り外します。綿棒にCRCのコンタクトスプレー(接点復活剤)をつけて抵抗をこすって清掃します。
⑥ケースの洗浄:ラジオのケースは石鹸で水洗いします。ケースを洗うとラジオを持った時の手や指の感触がぜんぜん違うんです。
修理作業が終わったので、1度鳴らしてみます。

サンヨー6C-19Bのバリコンとコイルを使った調整
全体に音が小さく受信状態がわるいので、調整をすることにしました。OSCコイルはロウで固めてあり触ると危険そうです。OSCコイルを使わないで、受信感度や目盛り位置もなんとか調整することができました。個人的にいい感じで壊れているラジオの修理で、今日も2時間程度たのしい時間を過ごすことができました。