2024/03/03

SUNSUI サンスイ TC-505 AM/FMチューナー搭載ステレオプリアンプ

SUNSUI サンスイ TC-505 AM/FMチューナー搭載ステレオプリアンプの紹介です。1968年、37,500円の製品になります。サンスイはこの時期、TUシリーズ(チューナー)、TCシリーズ(チューナー搭載プリアンプ)、TAC(レシーバー)のラインナップで多くの機種を販売していました。 TC-505は、丸いダイヤルスケールで横幅もありチューナー単体より、バランスの良いデザインで今でも人気がある機種です。

上の図はチューナー部のブロック図になります。FMフロンエンド(F-1031)、FM IFセクション(F-1087)、FM マルチプレックスセクション(F-1099)、AMセクション(TRAM-4A)で構成されています。このプリント基板はチューナーTU-555と同一のものが採用されています。

上の図はチューナー以外の構成です。イコライザアンプ(F-1023)、トーンコンロールアンプ(F1074)、ヘッドホンアンプ(F-1077)でプリアンプを構成しています。TU-555に上記の3つのアンプを搭載した製品がTC-505です。

上から見ると、左下:トーンコントロールアンプ、その右中央がFMマルチプレックスセクション、中央がFM IFセクション、中央上がAMセクション、バリコン下がイコライザ-アンプになります。

裏から見ると、左上はヘッドホンアンプ、その下が電源部になります。 

修理作業に入りますが、まず最初に劣化部品は全て交換します。

次に電源試験をします。0.15A流れ正常のようです。

機能を確認します。ステレオランプが点灯しません。ステレオランプへの電圧はチューニングで変化するので回路は正常です。6Vの豆球と交換して再調整でランプは点灯しました。

ヘッドホンの出力波形が歪んでいるので、 2SB405×2を2SA1015×2と交換しました。

FM受信時にサッーという雑音がやや大きく聞こえます。フロントエンドのFET不良が疑わしいです。FMフロントエンド(F-1031)基板はバリコンと蜜に実装されていて修理が大変です。


 
FMフロントエンドのシールドケースや配線、ボルトを外してプリント基板を取り出します。三菱の初期型FETのMK10が採用されています。
MK10は手持ちのストックと交換です。海外輸出製品のTC-505には、2SK19が使われています。時間があれば2SK19や2SK192aに交換して動作するか確認してみたいものです。MK10の交換によりFM放送時のサッーという音は小さくなり改善されました。最後にチューナー部分を再調整して終了です。チューナー部分はTU-555と同じ手順で調整できます。
 
ヒヤリングしてみます。元気よく明るいトーンでキレのある音色です。バランスも良く帯域も広く感じます。TU-555単体とは違った音色に仕上がっています。同じ基板ですが音色が違うのはトーンコントロールを通したからでしょうか。
TC-505は完成度が高く安定感ある動作を感じることができます。Phonoでレコードを聴いてもいい雰囲気で聴かせてくれます。また、ヘッドホンが使えることも非常に便利です。TC-505とパワーアンプとの組み合わせにより、音のアップグレードが自由にできるのも魅力です。現在では見当たらない絶命危惧種のチューナー搭載型プリアンプです。個人的には自作のパワーアンプなどと組み合わせて使いたくなる個性的な製品かと思います。